エスカレーターの片側空けはもう時代遅れ 新マナー「立って2列」は定着するか | キャリコネニュース
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エスカレーターの片側空けはもう時代遅れ 新マナー「立って2列」は定着するか

エスカレーターは、片側に寄って乗り、もう片側は急いでいる人のために空けておく。しかし、それがマナーだったのは昔のこと。最近は「2列に並んで歩かない」が正しいマナーになりつつある。

とはいえ、長年馴染んだ習慣はそう簡単には変えられない。3月14日の2ちゃんねるでも「エスカレーターでいつも右側に立って道塞いでた同僚がついに殴られたわけだが」というスレッドが立ち、マナーの混乱具合が浮き彫りになった。

エスカレーターの片側空けは「危険や不便をともなう行為」

時代とともに変わるとはいえ、定着までは時間がかかりそうです

時代とともに変わるとはいえ、定着までは時間がかかりそうです

投稿者の同僚は、エスカレーターに2列で乗るのを正しいとするマナーに則り利用していたが、利用方法で他の乗客と口論になり、暴力を受けたという。掲示板では

「エスカレーター二列が正しいってどっかに根拠あんのか」
「エスカレーターは真ん中に一人が乗るのが正しい乗り方なんやで」

など、正しいとされるマナーが数種類出ており、その混乱ぶりが伝わってくる。

文化人類学の観点からエスカレーターの片側空けを研究している、江戸川大学の斗鬼正一教授は同大学の紀要『情報と社会』25号内で、こう述べている。

「右側に立ち、左側を空ける片側空けが世界で初めてわれたのはロンドンの地下鉄駅といわれるが、いつ、どんなきっかけで始まったのかは明確になっておらず、1944 年ころ混雑緩和のために公務員が思いついたという説が挙げられているだけである」

日本でも、関西は「右寄せ・左側空け」、関東は「左寄せ・右側空け」と、寄せ方は違えどどちらかに寄るのがマナーだとされてきた。

しかし、日本エレベーター協会のホームページを見ると

「慣例となっているエスカレーターの片側あけですが、危険や不便をともなう行為だということが、少しずつ浸透してきました。多数の場所でエスカレーターの歩行禁止の呼びかけを始めています」

とある。また、鉄道各社でも昨年「みんなで手すりにつかまろうキャンペーン」を実施し、エスカレーターの片側空けをやめるよう呼びかけるポスターを掲示した。いったい何が起きているのか。

歩くより、立ち止まって乗る方が輸送効率がいい

実は昨年5月、「片側あけより、両側に立って乗ったほうが輸送効率が良い」というシミュレーション結果が、片側あけマナー発祥の地イギリスから発表された。これによれば、片側を空け、立って乗る人と歩く人を運ぶより、2列に立ち止まって並んだほうが、1分間に運べる人の数が多くなるのだという。

こうしたシミュレーション結果や、歩く人の荷物が当たって転倒し怪我をする危険性を下げる意味合いから、「2列・立ち止まって乗る」が推奨されつつあるようだ。

また、ダイバーシティ―上の事情もある。同協会ホームページには

「たとえば左手を骨折していて、右手でしか手すりにつかまれない方がいらしたとします。その方はエスカレーターの右側にしか乗れませんが、右あけが慣習となっていたらとても不自由で危険です」

とあり、これまでの片側あけで苦労していた人たちにとっても、マナーの変化は朗報になりそうだ。

しかし、通勤ラッシュの駅を想像していただければ分かるように、依然としてエスカレーターを歩行する人は後を絶たない。2020年のオリンピックまでにはこの光景も変わるのだろうか。次にエスカレーターを利用する際には、立ち止まって考えてみてもいいかもしれない。

※ウェブ媒体やテレビ番組等で記事を引用する際は恐れ入りますが「キャリコネニュース」と出典の明記をお願いします。

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