たばこ税増税、新たな税金の創設も 税制改正まとめと未来予想 | キャリコネニュース
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たばこ税増税、新たな税金の創設も 税制改正まとめと未来予想

2017年12月に、2018年度の税制改正大綱が発表された。この改正により、たばこ税の段階的な増税が決定した他、新たに「国際観光旅客税」や「森林環境税」の創設も盛り込まれた。さらに、所得税制の見直しも行われ、一部世帯にとっては増税となることが決定。2019年10月には消費税が10%に引き上げられる予定だが、今回の税制改正で既にある税金が増額されたり、税金の種類が増えたりと、庶民の税負担は増えるばかりだ。

増税や新設税で個人は負担増、企業は減税の流れ

できればあまり払いたくない

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今回の税制改正の内容を見てみよう。まずたばこ税について、紙巻きたばこは2021年10月までに1本当たり計3円の増税が決定。加熱式たばこも5年かけて増税を行う。

新設の「国際観光旅客税」は、外国人も含めて日本を出国する旅行者を対象に、1人1回1,000円を徴収。税収は「ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備」などに使われる。住民税に上乗せして年間1,000円を徴収する「森林環境税」は、地球温暖化防止や国土保全のために森林を管理する財源となる。

所得税の控除の見直しで年収850万円超の会社員が増税対象となることも決定し、今回の改正で税収は約3,700億円増える見込みだ。一方、賃上げや設備投資に積極的な企業の法人税を減税したり、事業継承を促すために相続税を猶予したりすることで、企業全体では900億円程度の減税になるという。【→詳しく見る】

たばこ税増税を契機に他の嗜好品の増税も?

2017年12月にNHKが行った世論調査によると、たばこ税の増税については賛成派が多数を占めていた。受動喫煙が社会問題化している昨今、世論の後押しもあってたばこは増税しやすい対象だったのだろう。

他方、「たばこが健康に悪影響を及ぼし、結果的に医療費を押し上げているという理由で規制のためにたばこ税が増税されるのであれば、他の嗜好品も同じ理由で規制されかねない」といった懸念の声も上がっている。

今後の増税対象としてまず頭に浮かぶのは、同じ嗜好品である酒類であろう。実際、2010年に世界保健機関(WHO)が発表した「アルコールの有害な使用を減らすための世界戦略」は、毎年250万人がアルコールによって死亡していると指摘した上で、飲み放題の禁止や値上げ・増税による規制を示唆している。【→詳しく見る】

諸外国で導入が進む「砂糖税」日本でも導入が検討される?!

健康への悪影響を理由に、消費を規制する目的で課税を考えるのであれば、真っ先に課税候補となるのは砂糖だろう。糖分の過剰摂取で病的な肥満になったり糖尿病を患ったりする人はますます増加し、世界的に問題視されている。

実際に、欧米では砂糖入り清涼飲料水やスナック菓子に課税を行っている国もある。すでにフランスやフィンランド、ハンガリーではソフトドリンクに税金が掛かっており、2018年4月からは、イギリスでも砂糖税が導入される。砂糖が100ミリリットルあたり5グラムを超える飲料が対象で、8グラム以上の場合には税率が高くなるという。

こうした世界的な流れを念頭に置くと、遠くない未来に日本でも「砂糖税」が導入され、飲料や菓子の値段が上がる日が来ても不思議ではない。【→詳しく見る】

節税に人気の「ふるさと納税」で住民税流出に苦しむ自治体も

こうした増税の流れの中、人気が増しているのが「ふるさと納税」だ。居住地に関係なく、全国から好きな自治体を選んで寄付を行うと、その額に応じて居住地の住民税控除が受けられ、さらに寄付をした自治体からは返礼品として農産物などの特産品を受け取ることができる。総務省によれば、2014年に388億円規模だった受け入れ額は、2016年には2,844億円と7倍ほどになり、この制度は爆発的に需要を増していると言える。

他方、割を食うのは寄付者が住む自治体だ。2017年に東京23区内で最も減収幅が大きかったのは世田谷区で、減収額は31億円に上る。その後には港 区の23億円、杉並区の14億円と続く。これらの自治体では、住民税が流出していることを訴えるチラシやパンフレットを配って居住地域の行政に影響が出うることを説明したり、寄付金の使用用途を選択できるふるさと納税制度を導入したりと、税収減に歯止めをかけるべく対策を行っている。【→詳しく見る】

税制改正、私たちの生活はどう変わる?

今回の税制改正のうち、新たに創設される「森林環境税」は、収入やライフスタイルに関わらず国民全員にかかわるものだ。一方、その他の改正内容では、年収850万円超のサラリーマン、旅行や出張で国外へ出る人、たばこを吸う人らが、直接的に税の負担増を受けることとなる。過去の税制改正を見返せば、増税の対象となる基準年収額は徐々に下がってきており、今後ますます所得税の増税対象が広がっていくことが予想される。加えて、世界的な流れからして、今後、より多くの嗜好品が課税対象となる可能性は高い。

税金の使われ方を指定できる「ふるさと納税」の利用が拡大している背景には、自分の納めた税金を有効に活用して欲しいという納税者の意向も伺える。ただでさえ少子化で人口が減り、働き手不足が叫ばれている状況で、増税が更なる人材の流出に拍車をかけないよう、政府や自治体には、税収を効果的に活用し説明責任を果たすことを期待したい。

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