「事故物件はセンスが良く、安くてお得というイメージにしたい」 ”成仏不動産”の社長に聞く事故物件取引の最前線

通常の不動産買取では、再販売価格を見極め、リフォーム内容や販売方法などを検討して、買取価格を提示する。同社の花原浩二代表取締役は、「事故物件は相場が曖昧な上、普段なら発生しない特殊清掃も必要になります。再販方法も確立されていませんでした」と話す。

特殊清掃に慣れていない業者を頼むと、時間の経過とともに腐臭などがしてくる「臭い戻り」が発生する場合もある。また、本来不要な場所まで解体・リノベーションなどを行い、費用が増すこともあるという。

事故物件は、成仏不動産に掲載するほか、賃貸が借りづらい高齢者・外国人を対象とした同社運営のサイト「賃貸MATCHING」でも紹介する。事故物件に抵抗のない人に正しい情報を明示した上で買い手や借り手を探すという。

不動産業界は「買取」「施工」「管理」「販売」などがすべて分業となっているが、「事故物件は市場も小さいですし、買取から販売までセットにしてはじめて適正価格での買取が出来ると考えています」と説明する。

「損をするかもしれないから事故物件ということを隠して売りたい、という人もいます。でもこっそり売った場合と、堂々と売った場合では相場が変わります。まず正しい価格で買取り、リフォームも施すことによって事故物件はセンスが良くて、安くて、お得だというイメージになればと思っています」

事故物件は「怖い」「汚い」というイメージもあるが、同社は特殊清掃からお祓い、物件処理などをワンストップで行う「成仏SOS」のほか、事故物件にアート作品を展示したり、事故物件をDIYしたり、太陽光発電を付けたりと、事故物件のイメージアップを狙う施策も行っている。

事故物件になると価値はどれだけ下がる? 人によって心理的ハードルは違う

実際、事故物件になると、価格はどれほど下がるのか。花原代表は「事故内容、田舎か都会、か、相場で変わります」と話す。事故内容は、最も価格が下がるのは他殺で、次いで自殺だという。孤独死は「都内ではあまり差がありません」と話す。

「田舎だと孤独死でも大きく価格が下がります。近隣住民が事故物件であることを知っており、人の出入りも少ないために『あの家で孤独死があった』と言われ続ける傾向があるので。一方、都会は人の出入りも激しくため、気にしない人が多いようです」

また、事故物件は安いと比較的すぐに売れる。そのため花原代表は「本来、価値の高い物件でも、不当に安く買い叩かれるケースも。事故物件の買取を透明化して適正価格での売買ができるようになれば、と考えています」とコメントしている。

成仏不動産では事故物件を、7つに区分している。「お墓や火葬場、葬儀場が見える物件」「共用部分や他の部屋などで事故があった物件」という正確には事故物件ではない物件。ほかは、「発見まで72時間以内の孤独死、病死物件」「発見まで72時間以上の孤独死物件」「家事や事故で人が亡くなった物件」「自殺物件」「殺人物件」だ。花原代表は、

「成仏不動産を運営する中で、意外と事故物件を平気だという人が多いことが分かりました。その中でも『祖母を思い出すので女性の孤独死物件は嫌だけど、男性なら大丈夫』など精神的なハードルが違うことも分かり、事故物件の区分を作りました」

元々、大和ハウスに勤め、空き家問題に注目していたという花原代表。事故物件専門サービスを立ち上げたのもそのためだという。

「今後も世の中の困りごとを解決するビジネスをやっていきたいです。事故物件を『負動産』から『富動産』に切り替えたいですし、事故物件”を”扱っている会社ではなく、事故物件”も”扱っている会社にしたいです」

と語った。