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「自分の子どもには絶対教員になってほしくない」 文科省の「#教師のバトン」に教員たちが悲痛な声を寄せた理由

ハンドルネーム「かっぱ巻き」さんは、初任時代に経験した地獄の日々をツイートした。

「初任の頃、全国レベルの部活動の顧問が転勤し、誰も後任をしたがらなかった。困った管理職が目をつけたのが一番若かった私。やったこともない種目の指導はまさに地獄。一年間で1月1日と8月15日しかきちんとした休みが取れなかった。一年間で2日しか休めなかった地獄の日々でした」

とりわけ最後の文にある「年間休日日数2日」は衝撃的だ。かっぱ巻きさんはキャリコネニュースの取材に「私のような犠牲者を新たに作り出したくない」と投稿理由を明かした上で、こう語った。

「自分の子どもには絶対教員になってほしくないので、我が子に遺言を残すような思いでツイートしています。このツイートを見て、教員を目指す人が少なくなれば、過重労働を改善しようという動きがでるかも…という期待もあります」

初任の頃のエピソードを振り返る人は多く、同「うつの私」さんもその一人だ。

「初任で未経験の運動部顧問になりました。土日は練習や大会で消えていき、連勤が続きました。授業準備もろくにできず、身体も授業もボロボロでした。休みなく働いた結果、自殺を考えるようになりました。うつ病でした」

さらには「未来ある初任者の皆さんには私のようになっては欲しくはないです」と続ける。投稿しようと思った理由を聞くと、次のように答えた。

「部活は貴重な体験ですが、過熱した活動は顧問の犠牲が大きすぎることを知って欲しいというのもありました。休みがなくて当然と言う方がいますが、教師も生身の人間なのです」

バトンの持つ意味とは「若い先生に同じような思いをしてほしくありません」

「中高ではいつも成績上位。大学首席で卒業。海外で教育を学んだ後、採用試験一発合格」など華々しい経歴を持つ同「りんご」さんも、教員の厳しい労働環境を目の当たりにした。

「3年勤めて精神疾患になりました。土日休めない。毎日残業。毎月90時間近くの時間外労働。死にたいってずっと思ってた。労働環境の改善こそが、これからの先生たちに届けたい、本当のバトンです」

りんごさんは「先生になりたいと言ってくれる教え子たちにこの労働環境を引き継いではいけない」という思いからツイートしたという。「これからの若い先生に、同じような思いをしてほしくありません」と語る。

幼い子どもがいる同「スカイベリー」さんも、配慮のない教員現場の働きづらさに憤りを隠さない。やはり部活動が負担だった。

「やりがい搾取。一歳児がいるのに、誰もいないからという理由で運動部の正顧問をもたされる。保育園の迎えが間に合わないと言っているのに18時以降に家庭訪問。我が子が急病で入院しているのに出張行かされる。きれいごとだけではない」

スカイベリーさんは「朝早く出勤して夜遅く帰る教員こそやる気のある教師だ、みたいな古い考えが未だに教員の世界にはある」と現場の雰囲気を明かす。

「もちろんやりがいのある楽しい仕事だと思いますが、生徒への愛情とか、子どもたちの笑顔のためとか、きれいごとでごまかすのではなく、労働者としての私たちの権利もきちんと守られるべきです」

文科省「厳しい中であっても、前を向いて頑張る姿を後押ししたい」

同省の専修学校教育振興室はこうした声を受けて「当初から長時間勤務や部活動による厳しい勤務実態があることは想定していましたが、改めて多いと実感した」と印象を語る。さらに「働き方改革に努めていかなきゃいけない意思を強くしています」と話した。

今後についても、35人学級や教員数の増員、教員免許制度の改革など「皆さまの声を受けてさらなる取り組みをしていかなければならないと感じている」とコメント。今回のプロジェクトは「継続しなきゃ意味がない」とした上で、

「投稿の中には『他の先生方の学ぶ様子を見れた』など勇気づけられたというものもあった。厳しい中であっても、前を向いて頑張る姿を後押ししたい」

とまとめた。同プロジェクトをめぐっては、萩生田光一文科相が30日の会見で「願わくば学校の先生ですから、もう少し品のいい書き方をして欲しいなっていうのは私個人としてはございます」などと発言。ツイッターでは、これに反発する声も相次いでいた。

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