渋谷の人気コンセプトレストランで労働トラブル 着替え時間めぐり激しい応酬に | キャリコネニュース
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渋谷の人気コンセプトレストランで労働トラブル 着替え時間めぐり激しい応酬に

東京・渋谷にあるコンセプトレストラン「監獄レストラン ザ・ロックアップ」で労働トラブルが起きていたことが分かった。同店でアルバイトとして働いていた男子学生の相談を受けた首都圏青年ユニオンが2月8日、ツイッター上で告発。これに運営会社が「事実無根」と反論する事態になっている。

「学校やご両親にも連絡することになります」と脅し

「一部SNS上で発信されている内容について」

パートナーズダイニング社が発表した文書「一部SNS上で発信されている内容について」

首都圏青年ユニオンによると、昨年10月、学生が有給休暇を消化して退職しようとしたところ店長からLINEで以下の内容が送られてきたという。

「とりあえず、有給の件は別として、これまでの勤務中の不正行為等の件で証拠上がったから、今回は自主退社では無くなりますよ?」

学生は、この「不正行為」について思い当たる節がなかったため、具体的にどのようなことなのか店長に訊ねたがはぐらかされた。ユニオンがTwitterにアップしたLINEのスクリーンショットによると、店長と大学生の間で以下のやりとりがあった。

店長「あなたの勤務中の不正の件について掘り下げると、こちらも公な対応になるけど大丈夫ですか?」
大学生「とりあえず不正行為とはどういうことか教えて頂きたいのですが」
店長「そしたら事実確認のとれる公式な場でお伝えしますが大丈夫ですか?」
大学生「公式な場とはどこですか?」
店長「処罰を決定する場です。その際は、学校やご両親にも連絡することになります」

首都圏青年ユニオンの担当者によると、店長は「勤務中に差し入れを食べた」「友達が来たときに勝手に提供した」「友達が来たときに自分も料理を食べた」などの不正があったと主張しているという。学生は、勤務中に差し入れを食べたことは認めているが、残りの2つについては、身に覚えがないという。

「次回の団体交渉時に着脱の実演をお願いいたします」

また賃金に未払いもあったという。

店舗では、出勤時と退勤時にタイムカードを打刻していたが、確定出勤時刻はシフト通りのキリのいい時間になっていた。

加えて、着替えの時間の分も賃金が支払われていなかった。通常、学生はタイムカードを打刻する前に着替えていた。同レストランでは、従業員がコンセプトに沿った制服を着て働いていたため、着替えにはそれなりの時間が掛かる。この着替えに掛かる時間はおよそ15分として、その分の給与も請求しようとしたところ、レストランを運営するパートナーズダイニングは「着脱の実演」を要求してきた。

「制服については、『1回あたり15分』とした根拠も不明ですので、次回の団体交渉時に○○氏(大学生)に着脱の実演をお願いいたします」
「恥部などが現れないように予め準備の上、行えばよいだけことです(脱字は原文ママ)」

首都圏青年ユニオンは、店舗を運営する企業と団体交渉を行い、未払いの賃金を支払うように交渉してきた。運営企業は当初、団体交渉すらしぶるなど不誠実な対応を続けていたが、2月9日には一転して和解の提案をしてきたという。ユニオンは、和解の内容を検討するためにも、引き続き団体交渉を要求していくとしている。

「ジャージのようなものに着替えるのに15分掛かるとは思えない」

こうした流れを受けて、同社は2月10日、「一部SNS上で発信されている内容について」という文書を企業サイト上に掲載した。(その後、削除)

それによると、同社は「現在でも、法令を遵守するために、当時請求されていなかった労働時間について、正確に申告していただければ、すぐにお支払いする用意があることを繰り返しお伝えして」いるという。

同社とユニオンは一度、団体交渉を行っているが、そのときは「冷静な話し合いが出来る状況」ではなかった。

「(ユニオンは)団体交渉の際に、関係性も不明確な大人数で押しかけ(弊社が4人で交渉に臨んだのに対し、首都圏青年ユニオンは12人)(中略)とても冷静な話し合いが出来る状況ではありませんでした」

そのため「参加人数を常識の範囲内に絞り、冷静に交渉すること」などをユニオンに要望し、文書での回答を求めたが、ユニオンから具体的な返答はなく状況が膠着していたという。

そんななかユニオンのツイッター上で同社に対する告発が行われたが、これらは事実と異なると反論する。

「当該記載(ユニオンのツイート)は一方的な主観を基にして記載されているため、事実無根の部分がほとんどであり、法的な主張ではなく、このような手段を取った当該団体(ユニオン)関係者に弊社としては失望を覚えたところです」

同社の担当者はキャリコネニュースの取材に対し、次のように語った。

「ツイッター上で拡散されたLINEのスクリーンショットは、店長と大学生のやりとりのごく一部を切り取ったものにすぎません。大学生の不正については、詳しいことは公表していないが、他のアルバイトの証言やレジの記録などから、問題になっている大学生の不正行為である可能性が高いです」

賃金に関してもタイムカード通りに払っていると反論。争点となっている着替え時間については、「とても15分かかえるとは思えない」と語る。

「大学生が着用していた囚人服はジャージのようなもので、すぐに着替えられます。15分も掛かるということが明らかにならないと、その分の賃金を支払うことはできません」

また、ユニオンは、大学生が実際には休憩をしていないのに、記録上は休憩になっており、その分の賃金が支払われていないと主張している。これについては、「もしそれが本当ならきちんと対応しますが、ユニオンはいつの記録が誤っているのか詳しいことを教えてくれませんでした」と語った。

同社は、ユニオンとの間には事実関係の齟齬があるとしながらも、取引先などに迷惑を掛けたくないという思いから、ユニオンに和解を提案。ユニオンが主張している賃金の未払い分を支払う姿勢を示した。しかしユニオンはあくまでも団体交渉を求めているという。

両者の主張が食い違うなか、第2回目の団体交渉が2月13日に行われる予定だ。

あわせて読みたい:アルバイトでも団体交渉で未払い分の賃金を取り返せる

 

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