「嫉妬」を職場のエネルギーにする方法 負けの原因は「努力の差」と考えさせることが大事

嫉妬の存在と効能を肯定しよう

嫉妬の存在と効能を肯定しよう

社会的には嫉妬は、できるだけしないにこしたことはない、あまりよくない感情と思われているようです。しかし、私はそうは思いません。その感情が悪辣な行動につながってしまっては問題ですが、嫉妬自体は人間のエネルギー源の一つであり、誰かに対して負けたくないとか、その人よりも優位な立場に立ちたいと思うことは、大きな熱量を生み出し、行動力につながっていきます。

昔から採用の際に「挫折経験がある人を採れ」と様々な会社で言われてきましたが、その理由は、(劣等感の意味での)コンプレックスが仕事における大きなエネルギーを生み出すからです。

人から評価されている他人に嫉妬してもらって、あからさまに悔しがってもらって、頑張ってもらう。大いに結構なことではないでしょうか。まずはこういう嫉妬という感情の効能を肯定することから始めることです。

逆に、嫉妬をダメなものとして否定してしまうと、どうなるでしょうか。強迫的に生じてしまう嫉妬を無理に抑え、ないことにするためには、人は自分を騙すための「偽のストーリー」を作り、その状況を合理化しなければなりません。

つまり、嫉妬から生じる怒りなどの感情が、自分が負けているから嫉妬しているのではなく、対象である「彼/彼女に非があるから」というストーリーを作り出し、信じ込むことになります。そして、本来なら良き競争相手として切磋琢磨すべき人を、何らかの理由で非難したり、足を引っ張ったりしてしまいます。

成功を「偶然」に帰属させるとやる気がなくなる

しかし、そんなことをしていて、職場は働きやすい場所になるはずもありません。成果を出して評価されている人を追い落とすようなことをするくらいなら、前向きな嫉妬はやはり認めるべきです。

さて、嫉妬を認めたうえで、さらにそれを前向きなものにするためにはどんな工夫が必要でしょうか。それは、嫉妬の対象となっている人と比べ、嫉妬をしている人がなぜ成果を出せていないのかについて、どのような理由付けをするかが重要なものになります。

社会心理学者のバーナード・ワイナーらの研究によれば、仕事の成功を「能力」に帰属させると有能感を高めることができますが、「仕事の難易度」や「偶然や運」に帰属させるとモチベーションは高まらないそうです。自分が達成感に酔っているときに、上司から「運が良かっただけだね」と言われたらやる気がなくなるのと同じです。

また、仕事の失敗を「努力」に帰属させると、有能感を傷つけず、さらに失敗が再現するのではないかという恐れを排除することができますが、自分でコントロールできない「仕事の難易度」や「偶然」に帰属させると、また失敗するという恐れを減らすことはできず、次の課題に対するモチベーションが高まらなくなります。

つまり、失敗は「努力」に起因すると考えるべきということです。嫉妬、すなわち人との競争に敗れた失敗に対する怒りの感情が生じたとき、対象に自分が負けているのは「努力」の差である、そう考えれば、嫉妬のパワーを素直に努力の方へ向かわせることができるでしょう。それ以外のものに起因すると考えると、あまりよいことはありません。

「乗り越えられる」と思わせるのがリーダーの役目

それでは組織のリーダーは、この嫉妬の感情をどう使うすべきでしょうか。ビジネスや仕事における競争は、至るところに存在します。メンバー間だけでなく部署間、企業間にもライバルはおり、勝ち負けが生じます。まずは自分の負けを認め、それが自分たちに原因があると素直に認めさせることが必要です。

しかし、敗北の原因をメンバーたちが「能力差」だと考えれば、自己の有能感を傷つけて自信を無くしてしまうかもしれません。「仕事の難易度」だとすれば、自分たちだけが負荷の高い仕事をさせられているのだと不公平感を生じさせます。「偶然や運」だとすれば、自分で統制できないものなのでやる気が出ません。

とすれば組織のリーダーは、自然な感情である嫉妬を肯定した上で「その感情は”努力”によって乗り越えることができるかもしれない」とメンバーに思わせることこそが、役目となるのではないでしょうか。

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