「最初はただの議事録係だと思っていました」 若手社員2人の奮闘 | キャリコネニュース - Page 2
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「最初はただの議事録係だと思っていました」 若手社員2人の奮闘

写真左から藤井聡子、2人をサポートしてきた開発本部の山田達也、山口直哉

写真左から藤井聡子、2人をサポートしてきた開発本部の山田達也、山口直哉

弥生では、自社の製品・サービスにおけるお客さまのIDをひとつに統合するプロジェクトを進めています。この全社プロジェクトをけん引するのは2人の若手メンバーです。今回は日々、切磋琢磨しながらプロジェクトを進める山口直哉と藤井聡子のストーリーをご紹介します。【talentbookで読む】

全社横断の重要プロジェクトをけん引する

2018年12月現在、弥生では「弥生会計」「弥生給与」「弥生販売」といったデスクトップアプリや、「弥生会計オンライン」「Misoca」などのクラウドアプリの利用に関するログインIDの一元化と、それに伴う基幹システムの統合を目的とした「ID統合プロジェクト」を推進しています。

現状、弥生はデスクトップとクラウドの双方でサービスを提供しており、それぞれ別のIDで顧客情報を管理しています。

デスクトップアプリのIDは「弥生シリーズ」販売開始当初からの顧客情報管理でした。クラウドサービスの提供開始の際に、「新しいサービス、また時代にあった顧客管理をおこない、よりお客さまの事業を支援できるようにしたい」との思いから、これまでとは異なる、新しいIDでの顧客情報管理がはじまりました。

つまり、デスクトップとクラウドの両方のサービスを使っているお客さまは、ふたつのIDを持っている状態になっているのです。

サービスにログインするためのIDを複数持たなければならないのは、お客さまにとっても使い勝手が悪く、弥生としても顧客情報の管理に余計な作業コストが生じてしまいます。

デスクトップとクラウドのIDを統一して「一人につきひとつのID」という状態を整えることができれば、お客さま一人ひとりが「どのようにサービスを利用しているか、どんな課題を持っているか」を把握しやすくなります。そうなれば、今よりもっときめ細やかなサポートを提供できるはずです。

長年変えられることのなかった体制を刷新し、未来に向けてさらに成長していくための土台をつくる――

社内的にも非常に重要な意味を持つID統合プロジェクト。数年にわたる議論を経て、2017年から本格的に動き出したこの取り組みのリーダーに抜てきされたのは、アクセンチュアから中途入社で転職してきた顧客サービス本部の山口直哉と、新卒として弥生に入社して4年目の開発本部、藤井聡子。

ともに20代、社歴も浅い若手社員です。

山口 「僕は中途入社で入った時に、上司からいくつか関わるプロジェクトの選択肢を提示してもらったんです。そのなかでも、『弥生がこれから何をしていきたいのか』という思想を把握できるような、全社的に動ける仕事がしたいと思って、このプロジェクトに参画することを決めました」

藤井 「私はすでにここに関わっていた上司に『来い』と言われて、よくわからないままに(笑)。会社の偉い人たちが話を進めているところに入っていったので、最初は『議事録係かな?』と思っていましたし、実際にしばらくは議事録をとることが自分の役割でした」

山口も藤井も、まさか自分がプロジェクトのリーダーになるなんて、はじめは思ってもみませんでした。

誰かがやらなきゃいけないのなら、自分たちが

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ID統合プロジェクトに入ってから3カ月ほどが経ち、2人はプロジェクトの全体像を把握できるようになりました。そして少しずつ、現状についての課題に気づきはじめたのです。

藤井 「全社プロジェクトなので、話し合いに参加する人数が多かったんですよね。多いがために、意見がなかなかまとまらない。

あと、メインとなる業務をほかにたくさん抱えている方ばかりだったので、『次回までにこれを考えてきてください』といったタスクがあっても、メンバーの時間が取れないことがほとんどでした。このことも、議論が前に進まない状態に拍車をかけていましたね」

プロジェクトの停滞感は、参加者の誰もが感じていたことでしょう。しかし誰もが忙しく、課題の解決に向けた積極的なアクションをとれないまま、時間ばかりがすぎてしまっていました。

このままではいけない――そう感じた2人は「自分たちがこのプロジェクトを前に進めていこう」と動き出したのです。

山口 「最初は、プロジェクトリーダーの補佐をすることが、自分に求められている役目なんだろうと思っていました。だから、積極的に自分がプロジェクト全体をリードしていくなんて、想定もしていなくて。

けれども、『誰かがやらなきゃいけない役目』があって、それに自分が気づいていて、ほかにやろうとする人がいないのなら……やっぱりやるべきなんだろうと思ったんです」

そこから2人は、議事録作成だけではなく、自分たちが気づいたことを会議の場に進言するようになりました。

「ここの素案は誰がつくりますか?」
「よければ、私たちのほうで一旦作成してみますが、いかがでしょうか?」
「ここは、こうした方がよいと思います」
「具体的な改善案を次回までにつくってきますね」

2人が工数や時間のかかる作業を巻き取って、アイデアを議論できる形に落とし込む役割を担うようになると、プロジェクトは目に見えて進捗するようになりました。

その勤勉な働きかけ、主体性を持った仕事との向き合い方が少しずつ評価され、2人はプロジェクト内で自他ともに認める“リーダー”として、全体をけん引する存在へと成長していきました。

「常設のSkypeごしに終日無言だったこともありました」

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若手2人がプロジェクトのまとめ役として奮闘するのを陰で支えてきた開発本部の山田達也は、彼らの率直な気づきの力と将来性に、大きな期待を寄せています。

山田 「2人とも、自分のなかに生じた違和感を大事にしてくれる人なんです。単純に『これは何かおかしいぞ?』と感じたことについて、藤井は『おかしいから改善しましょう』と自分の意見を貫き通せるパッションがあるし、山口はステークホルダーとの関係性なども含めて『現状をどうしたら変えられるか』と丁寧に考えることができます。

当たり前のことではありますが、この先の会社や社会を担っていくのは、彼らのような若い人たちです。今後の弥生の成長は、彼らの成長と共にある。

だからこそ、挑戦的ではありましたが、このプロジェクトは2人に引っ張っていってもらおうと思っていました。まだまだ道半ばではありますが、本当によくやってくれていますよ」

ともあれ、すべてが順風満帆に進んでいる……というわけでもありません。現在の仕組みに違和感があっても、若手ゆえの知見のなさから「なぜそうなっているのか」という背景が分からず、残すべきものと変えてよいものを判別することができないことが多々ありました。

また、仕組みがつくられた当時のことを知る人が周囲におらず、さまざまな部署を右往左往してようやく過去の経緯を知る人が見つかった、と思いきや昔のことなので詳しいことは忘れてしまった、ということが何度もありました。

そして普段、山口は大阪、藤井は東京と別々の場所で働いています。

直感的に素早く物事を推し進めていくタイプの藤井と、熟慮して堅実にロジックを積み重ねていくタイプの山口、もともと性格的にも正反対の2人です。遠隔コミュニケーションゆえの行き違いなどもあって、一緒に素案をつくりはじめた頃は、毎日ケンカが絶えませんでした。

山口 「前提をすっとばして結論から話すんですよ、藤井は。相手の理解度を確認しないでどんどん話を進めていくから、そういうところにイラっとすることがあって」

藤井 「私は私で、『なんでさっき言ったのにわかってないの?』みたいな気持ちになってしまって。話し合いをするためにSkypeを常設してつないでいるのに、おはようございますとお疲れさまでした以外には何も話さない、なんてこともありましたね(笑)」

ぶつかり合う度に、相手のことを理解する努力を重ね、落としどころを探しました。そうして、2人のあいだには、仕事を進めるうえでの「守るべきルール」ができ上がっていきました。

山口 「何も言わずに『相手もわかってくれるはず』『相手が一方的に悪い』と思うのは、傲慢なことなんですよね。暗黙の了解になっていそうなことほど、ちゃんと言葉にして確認し合うことが大切で。そうやってひとつずつルールを明文化していくことで、日頃のやり取りも円滑になったし、相手への理解が深まりました」

藤井 「今ではお互いの得意・不得意をわかり合っているので、『ここはやるから、こっちはお願い』といった仕事の分担、頼り合いも自然にできるようになりました。それでもケンカすることはありますけど(笑)、相手の長所も短所も“その人らしさ”として受け入れたうえで、コミュニケーションができるようになったかなと感じています」

今だけではなく、未来を見すえて

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2022年までにすべてのIDを統合することを目標として、弥生ID統合プロジェクトは全社を駆け巡りながら、今日も前へ前へと進んでいきます。その船頭を司る2人は、弥生の未来をしっかりと見据えているようです。

山口 「このプロジェクトを通して、会社全体を俯瞰する機会が増えていて。今、会社のどの部署で、どんな課題があるのか。みんなが働きやすい会社であるためには、どんなシステムや制度があるといいのか……そんなことを、普段からよく考えるようになりました。

今は統合プロジェクトに注力していますが、いずれは今回得た知見やネットワークを生かしながら、職場の細かい課題を見つけ出してケアしていくような役割を担えたらと思っています」

藤井 「弥生IDは『統合してハイ終わり』というものではありません。IDを統一した後の世界で、私たちがお客さまに何を提供できるのか、どんなサービスの向上につなげていけるのかが、重要だと考えています。その点を今のうちから真剣に考えて、さらにお客さまの課題解決に貢献できるサービスにしていけるよう、力を尽くしていきたいです」

若手社員は経験も少なく、失敗することも多いでしょう。しかし、彼らは若手だからこそ、凝り固まっていない独自の視点や、未来に向かっていく推進力を持っています。弥生にとって、それこそが大きな財産です。

山口や藤井のように、活気あふれる若手がその個性を生かして活躍できる会社でありたい――私たちはそんな思いを抱きながら、よりよい未来を生み出すサービスづくりにまい進していきます。

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