Salesforceの開発に強いパソナテキーラが「請負開発をやめた」理由 | キャリコネニュース - Page 2
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Salesforceの開発に強いパソナテキーラが「請負開発をやめた」理由

米Forbes誌の「世界で最も革新的な企業」で4年連続第1位に選ばれたセールスフォース・ドットコム。同社の製品Salesforceを使ったシステム開発や運用支援で注目を集めているのが、株式会社パソナテキーラ(東京・大手町)だ。いま求めるデベロッパー(開発エンジニア)の人材像などについて取締役社長の佐藤潤氏に話を聞いた。

デベロッパーには楽しく創造的な仕事をしてほしい

――ユニークな社名ですが、テキーラはお酒の名前が由来ではないのですね

佐藤 総合人材サービス会社のパソナグループが、ヨーロッパにおいてSalesforce.comの有力コンサルティングパートナーとして実績のあったテキーラ社と提携して設立した会社なので、そういう名前になりました。2012年の設立当初は、Salesforce認定有資格者の派遣事業を主力事業としていましたが、現在は、コンサルティングおよびシステム開発の割合が大きくなっています。

パソナテキーラのシステム開発サービスの特徴は、準委任契約によるプライム案件(元請け)に専念していることです。サポートサービスは設立当初より、Salesforce.com社の技術認定を取得した社員をシステム管理者としてお客様に派遣しており、開発は行っておりません。

――開発とサポートを切り分けたのはなぜですか

佐藤 エンジニアにイキイキと楽しく働いてもらう仕組みを、ベストの形で作りたかったからです。デベロッパーは新しいシステムやサービスの開発が好きなので、できればそれに専念させたい。開発後のサポート業務を受注せずにプロジェクトから切り離すことで、デベロッパーのモチベーションを維持したいと考えました。

準委任契約にしたのも、私たちがお受けしている類のシステム開発は、基幹システムのように仕様をがっちり決めてから請負契約で作業をするものではないからです。お客様と対話しながら迅速に対応するアジャイル開発なので、契約は柔軟な方が合っているのです。ちなみに準委任ではありますが、開発者単体での客先常駐派遣(SES)はやっていません。

このあたりは、以前会社の公式ブログに「請負開発やめました」という記事を書きました。パソナテキーラに興味のある方には目を通していただければと思います。

pt01

株式会社 パソナテキーラ
取締役社長 佐藤 潤
ジャストシステム、SAPジャパン、アクセンチュアにて営業、新規事業開発に従事。2014年パソナテキーラ入社。2015年7月 執行役員就任。2016年7月より現職。同社のSalesforce認定の有資格者数は業界有数。パソナグループにおけるクラウド導入実績も多く、従業員150名で幅広いサービスを提供できる体制を整えている。

――準委任契約ということは、原則として再委託をしないのですか

佐藤 はい。わたしたちの技術力を評価していただけるお客様とだけ取引をすると決め、基本的に自社デベロッパーのみで高付加価値なサービスを提供する体制に切り替えました。お客様の課題を私たちが直接お聞きしながら、それを解決するためのシステムをお客様と一緒に作っていくやり方に絞り込んだということです。

契約が準委任になったからといってプロジェクトが楽になったということはなく、むしろタイムアンドマテリアル(設定単価に業務時間をかけ合わせた額を請求)に変わったことによりデベロッパーに対する顧客の期待値が高まり、それによってデベロッパーの責任意識が高まりました。

その結果、より効率的な開発を進めて当初の予算を下回るケースが多くなっています。予算が残れば引き続き次の開発を検討できる余裕ができ、お客様にもメリットがある形になっていると思います。

裁量労働制でも長時間労働にならず

――デベロッパーはどのような働き方をしていますか

佐藤 プロジェクトによって異なりますが、客先にてプロジェクトを行っているチームもあれば、社内で開発を行っているチームもあり、どこにアサインされるかはその時々の状況で変わります。しかし、いずれもプロジェクトマネージメントは当社が行い、時間管理や社員のモチベーションの維持については細心の注意を払っています。

人事制度は、裁量労働制を採用しています。リモートワークもできますが、コミュニケーションを取りながら仕事をするために出社する人が多いです。中途入社1年目の30歳前後のデベロッパーも、チームの実質的なリーダーを務めるなど大きな裁量を与えています。もちろん責任は上司が持ちますが。

午後7時には、オフィスはほぼ無人になります。月30時間の裁量労働手当の範囲をオーバーする社員は、月に数えるほどしかいません。

――開発内容にはどのようなものがあるのですか

佐藤 セールスフォース・ドットコムは、法人向けSaaSベンダーの世界シェアトップの会社ですが、パソナテキーラでは同社の提供するPaaS(force.com)を主に活用した開発を行なっています。SalesforceというとSFA(営業支援システム)をイメージされるかもしれませんが、その形はすでに大きく変わっています。

基幹システムのようなものを除けば、資産管理や採用管理といった社内管理システムから、AIを使ったサービスまで、Salesforceでできることの幅は非常に大きくなっています。最近はIoTで取得したデータをSalesforceのプレゼンテーションモジュールで見せるシステムを手がけましたが、もはや「なんでもできる」と言ってもいいかもしれませんね(笑)。

業務用参考図書が並んだ書棚の前で、社員とともに

業務用参考図書が並んだ書棚の前で、社員とともに

――Salesforce以外の開発や運用も行っているのですか

佐藤 親会社のパソナと共同開発した「AGAVE」というサービスをSaaSで提供しています。これは海外駐在員をサポートする人事部門向けのシステムですが、Salesforceが提供する別の(force.comではない)PaaSであるHeroku上で開発したシステムです。

当社はHerokuを使ったシステム開発の実績が多くあり、Salesforceの良さを活かしつつ、より柔軟なシステムでビジネスを実現したいお客様には、Herokuとの連携によるシステム構築を提案しています。

「Create Happiness」のミッションを一緒に

――デベロッパーを募集していますが、どういう人材がマッチしそうですか

佐藤 現在募集しているのは、SalesforceデベロッパーとRubyデベロッパーです。プログラミングスクールの卒業生など、エンジニア実務未経験の方も採用実績があります。入社後の研修では、Salesforceの認定資格を取得していただきます。

特に歓迎したいのは、システムインテグレーターで基幹システムに関わるなどして、ある程度の技術力と経験を積みながらも、もう少し新しいことを自由にやりたいな、と考えているような人ですね。ビジネス寄りの経験が活きる仕事だと思います。

基幹システムの一部だけを担当し続けるだけでは、つぶしの利くスキルは身に付きにくい。当社のエースデベロッパーたちは現在40代中頃ですが、将来ある程度の年齢になってもマネジメントではなく、デベロッパーとして活躍したいと考えている人には、魅力のある仕事ではないかと思います。

生き残りのためには、時代に合った技術を身につけることも大事です。当社の案件のように技術力を評価してくださるお客様とともに、すべてが見通せるコンパクトな案件を裁量と責任を持って担当する経験は、ある程度若いうちから積んでおいた方がいいのではないでしょうか。

「卒業生のデベロッパーも友人を連れて遊びに来てくれます」(佐藤社長)

「卒業生のデベロッパーも友人を連れて遊びに来てくれます」(佐藤社長)

――「てきめし」というイベントを定期的に開かれているそうですね

佐藤 「てきめし」は、パソナテキーラとご飯を合わせた造語で、当社のオフィスで社内外のデベロッパーが交流する食事会です。ごはんとお酒などを楽しみ、その後にちょっとした技術的なお土産を持って帰ってもらえるようなイベントにしています。

今年9月には第4回の「てきめし」を開催し、「Salesforceクイズ大会」をしました。若手デベロッパーが中心となって企画を作ったのですが、普段はあまり話すことのない社員同士や社外の方と交流でき、新鮮でよかったという話を聞きました。卒業生(元社員)のデベロッパーも、友人を連れて遊びに来てくれました。

――社風についてお聞きしたいのですが、外資が入っている影響は何かありますか

佐藤 当初は合弁パートナーのテキーラから外国人COOを迎えるなど外資系企業の雰囲気もありましたが、現在の経営陣はすべて日本人ですし、スタートアップ・ベンチャーに近いのではないでしょうか。

親会社のパソナの連結子会社ですし、福利厚生などもグループ共通です。ただ、私は外資系企業出身ですし、デベロッパーには外国籍の社員も多く、ピュア・ジャパニーズ(典型的な日本企業)の社風ではないかもしれません。

パソナテキーラのミッションは「Create Happiness」。「役に立つもの」や「使いたくなるもの」、つまり「ユーザーが喜ぶもの」を作ることを大切にしています。このマインドに基づき、社会の役に立つ独自のサービスを一緒に開発してくれるデベロッパーの応募をお待ちしています。

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