【老後資金2000万円】貯蓄ゼロの35歳、退職金なしでも大丈夫 ポイントは「お金の隔離」と「制度の徹底活用」 | キャリコネニュース - Page 2
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【老後資金2000万円】貯蓄ゼロの35歳、退職金なしでも大丈夫 ポイントは「お金の隔離」と「制度の徹底活用」

資産形成でまず覚えておいていただきたいのは、毎月あらかじめ指定された日に、半ば強制的にお金が引き落とされる仕組みを作ることです。「毎月、銀行口座に○○円残す」方法よりも、例えばお給料が振り込まれたタイミングでお金を別の場所に「隔離」した方が、効果的に貯められます。重要なのは、簡単に引き出せない仕組みを作ることです。

この方法を実践するにあたって使い勝手が良いのが、iDeCo(個人型確定拠出年金)とNISA/つみたてNISA(少額投資非課税制度)です。両者は、個人の資産形成を後押しする目的で、海外の既存制度を参考に制度設計されました。

iDeCoは、国民年金や厚生年金などの公的年金に上乗せして、任意で加入できる私的年金の一種です。毎月一定の金額を積み立てて(「拠出」)、それを元手に投資をして(「運用」)、60歳以降に受け取る(「受取」)という仕組みです。

つまり、老後のために自分で積立貯金をし、そこに資産運用の要素が加わるようなイメージです。投資信託のほか、定期預金などの元本確保型商品も選べ、複数の商品を自由に組み合わせることもできます。

最大のポイントは、この「拠出」、「運用」、「受取」の3段階にわたって税優遇を受けられるという点です。特に、毎月の「拠出」によって得られる節税効果は大きく、掛金と収入に応じて、数万円単位の税金が確定申告や年末調整で戻ってきます。企業年金のない会社員(第2号被保険者)の場合、毎月の掛金の上限は2万3000円です。

なお、老後の所得保障を目的としているiDeCoでは、手厚い税優遇を認める代わりに、原則60歳まで資金を引き出すことは認められていません。

つみたてNISAでさらに節税+コツコツ積み立て

NISAとは、毎年一定金額内の範囲で投資信託などの金融商品に投資し、利益が出た場合、通常約20%かかる税金がまるまるゼロになるという制度(口座)です。2018年1月から始まったつみたてNISAは非課税期間が20年と長く、積立に特化している点が特徴です。

選択できる商品は、金融庁が定めた要件を満たす投資信託に限定されているので、投資初心者でも安心です。非課税枠の上限は年間40万円。これを12か月で割ると、毎月の積立上限額は約3万3000円になります。

企業年金のない会社員(第2号被保険者)で35歳の方を例にした場合、上記2つの制度を徹底的に使い倒し、20~25年かけて積み立てていけば、ゼロからでも2000万円を作ることができます。

iDeCo
2万3000円/月×25年で1000万円を目指す(累積積立金額690万円)
⇒目標運用利回り:2.9%

つみたてNISA
3万3000円/月×20年で1000万円を目指す(累積積立金額792万円)
⇒目標運用利回り:2.3%

なお、私たちの公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の実質的な運用利回りは約3%です。必ずしも大きなリターンを狙う必要はありません。小さな金額から始めたとしても、時間をかけてコツコツと積み立ててくことが重要です。

筆者近影

筆者近影

【筆者プロフィール】
篠田 尚子(しのだ しょうこ)
楽天証券経済研究所 ファンドアナリスト
AFP(日本FP協会認定)

国内の銀行において個人向け資産運用のアドバイス業務に携わった後、2006年ロイター・ジャパン入社。傘下の投信評価機関リッパーにて、世界中の機関投資家へ向けて日本の投資信託市場調査および評価分析レポートの配信業務に従事。同時に、世界各国で開催される資産運用業界の国際カンファレンスで日本の投資信託市場にまつわる講演も数多く行う。2013年にロイターを退職し、楽天証券経済研究所に入所。各種メディアで投資信託についての多くのコメントを手掛けるほか、銘柄選びに役立つ各種コンテンツの企画や、高校生から年金受給層まで、幅広い年齢層を対象とした資産形成セミナーの講師も務めるなど、投資教育にも積極的に取り組んでいる。著書に「本当にお金が増える投資信託は、この10本です。」、「新しい!お金の増やし方の教科書」(ともにSBクリエイティブ)などがある。

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