元実力派ゲームクリエイターが挑戦する英語教育──ゲーミフィケーションで広がる未来 | キャリコネニュース - Page 2
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元実力派ゲームクリエイターが挑戦する英語教育──ゲーミフィケーションで広がる未来

▲就職時、日本のゲーム業界がグローバル化の一途をたどる中で「英語の必要性を感じた」

▲就職時、日本のゲーム業界がグローバル化の一途をたどる中で「英語の必要性を感じた」

ヒューマンアカデミーは児童向けの英語学習アプリを使った「Game Englishコース」を新規開講しました。このアプリの開発を指揮したのは、全日制教育事業部戦略室商品開発課シニアマネジャーの岡田卓哉。日本を代表するゲームソフト会社でクリエイターとして活躍してきた彼の、英語教育にかける想いを探ります。【talentbookで読む】

ゲームの新たな活路を模索。「英語」と「教育」を選んだワケ

歴史シミュレーションゲーム『信長の野望』シリーズで知られる株式会社コーエー(現コーエーテクモ)、名作ロールプレイングゲーム『ファイナルファンタジー』シリーズを生んだ株式会社スクウェア(現スクウェア・エニックス)、eスポーツでも人気の対戦格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズの株式会社カプコン……。

大学を卒業してから25年の間、岡田卓哉は日本を代表する有名ゲームソフト会社を渡り歩いてきました。

しかし、岡田には約1年半のキャリアの空白があります。社会人6年目でコーエーを退社し、英語を学ぶために自費でイギリスに留学したのです。

岡田 「私が就職した当時は、ソニーが『 PlayStation』で家庭用ゲーム機市場に参入するなど、日本のゲーム業界がグローバル化に向かう時期でした。

英語の重要性を実感し、ビジネスで使える英語を身につけたい──。そう思い、イギリスで暮らすことにしたのです」

その後、ロンドンでスクウェアの欧州拠点に就職。約2年間、マーケティングやライセンスなど海外販売に関する業務を経験します。帰国後は、カプコンで約3年間ゲーム開発に携わり、2005年にスクウェア・エニックスに入社。ゲームの企画開発から制作全体を統括するプロデューサーとして活躍します。

家庭用ゲームソフトからスマホ向けゲームアプリまで、ジャンルも形態も多種多様なゲームを手がけてきた岡田は、やがてゲームの新たな可能性について考えを巡らせるようになります。

岡田 「ゲームの手法をほかのどんな分野に生かせるだろうか?と考えたとき、『教育』と『英語』というキーワードが浮かびました。

実は、私が最初に携わったゲームソフトは、『 EMIT』という英語学習ゲーム( 1994年発売)。プレイ中に日本語と英語の字幕・音声を自由に切り替えられるアドベンチャーゲームで、当時としては画期的な作品でした。

スクウェア・エニックスでも『 SUMMER STORY』( 2011年発売)というスマホ向け英会話学習アプリを開発し、ゲームと語学学習の相性の良さを感じていたのです」

こうして岡田は、ゲームで培ったノウハウとアイデアを「教育」と「英語」という分野で形にするため、ヒューマンアカデミーに転職しました。

これまで学んできた英語が使えない──イギリス留学で突きつけられた現実

▲自ら開発したアプリを手に、「ゲームを通じ、子どもたちに“生きた英語”に親しんでほしい」と語る

▲自ら開発したアプリを手に、「ゲームを通じ、子どもたちに“生きた英語”に親しんでほしい」と語る

教育の中でも岡田が特に「英語」を重視したのは、自身のイギリス留学経験が深く影響しています。

岡田 「現地の環境に身を置けばなんとかなるだろうと思ったのですが、英語を話せるようになるまで本当に苦労しました。中学・高校・大学と 10年間、学校で英語を学んできたのに全然使い物にならない。

ハンバーガー店で『 Eat here or to go?(店内でお召し上がりですか?お持ち帰りですか?)』と聞かれて答えられなかったのは、大変ショックでした。中学で最初に習う簡単な単語ばかりなのに、ことごとく聞き取れないんです」

イギリスの語学学校には日本から来た中学生の子もいましたが、岡田の英語力は彼にも追いつけませんでした。

岡田 「子どもは耳で英語を覚えるから、とにかく早い。語学は勉強じゃないんです。だから、できるだけ小さいうちから生きた英語に触れることが大事だ、と痛感しました」

しかし苦労の末に英語を話せるようになり、自分自身の世界が大きく広がることを経験しました。

岡田 「最初は『仕事のために英語を使えるようになりたい』という単純な動機でしたが、英語を話せるようになったことで外国人の友人ができて、異文化に触れ、自分の視野や人生の価値観が広がったのです。

この感覚を、ひとりでも多くの子どもたちに伝えたい。世界中の人たちと自分の言葉で、直にコミュニケーションを取れる喜びを知ってほしいし、そんな国際人を育てたい。

そう考えるうち、特に低年齢の子ども向けに英語学習コンテンツを作りたくなったのです」

英語を学んだことがない子どもたちも、ゲームを通して自然に「生きた英語」に親しみ、楽しみながらリスニング力やスピーキング力を鍛え、会話に必要な語彙力を伸ばしていく──。

英語学習アプリ「Game English」の基本コンセプトは、こうして生まれたのです。

ゲーミフィケーションの活用で、語学学習に欠かせない反復練習を楽しく

▲英語学習アプリは、幼児でも直感的に楽しく操作できるよう修正を繰り返した

ヒューマンアカデミーの「Game Englishコース」では2019年現在、3種類の英語学習コンテンツが用意されています。同じ文字を指で一筆書きするパズルで遊びながらアルファベットを学ぶ「 Letters to Know!」、話しかけるとキャラクターが成長するゲームで英単語を学ぶ「 Words to Know!」、そしてラップのリズムに合わせてリズムゲームのように会話フレーズを学ぶ「 Let’s Chant!」。

いずれのアプリも、ゲームの要素や特徴をほかの分野で生かす「ゲーミフィケーション」が活用されています。

岡田 「ゲームには多くのジャンルがありますが、すべてに共通しているのが『同じようなことを繰り返すが、少しずつ変化していく』ということ。

難易度が上がったり、ゲーム画面が変わったり、ストーリーが展開していったりと、どんなゲームも必ず、少しずつ変化していきます。だからプレーヤーは同じような操作を繰り返しても飽きないし、もっとやりたいと思うのです。

言語学習には、反復練習が必須です。ゲームの手法を英語学習に取り入れることで、子どもたちの『もっとやりたい』『続けたい』という意欲をかきたてて、自発的に楽しみながら反復練習が行えるようになります」

英語学習アプリの開発は、2018年5月からスタート。モニターの子どもたちが実際にプレイする様子を観察しながら、開発と修正が進められてきました。

岡田 「開発で特に苦労したのは、ユーザーインターフェイスの部分です。細かいルールや操作方法を文字や言葉で説明するのではなく、直感的に伝えるにはどうすればいいか

子どもたちの反応を見ながら、画面やキャラクターの動きや表情などを工夫していきました」

未来の大人たちに新たな景色を見せたい 子どもたちが受け取った切なる想い

▲モニター調査からは「自らの言葉で外国人とコミュニケーションを取るんだ」という、子どもたちの強い意志を感じたという

▲モニター調査からは「自らの言葉で外国人とコミュニケーションを取るんだ」という、子どもたちの強い意志を感じたという

こうして改良を重ねられたアプリは、子どもたちからの反響も上々。夢中になる子が続出しています。今年小学校に入学したばかりの岡田の子どもも、4月からの4カ月足らずでアルファベットをすべて覚え、約200単語の発音や聞き取りをマスターしたと言います。

ゲームで英語を学ぶと、子どもがゲームの世界だけに没頭するのではないか──そんな不安も、開講前に行った1カ月間のモニター調査で、杞憂にすぎないとわかりました。

岡田 「 Game Englishコースでは、アプリを使ったレッスンとワークブックに加え、 4週目に外国人講師と実際に話すオンラインレッスンがあります。

モニターの様子を見ていると、ネイティブの先生と対面して英語を話す『生身の体験』が、子どもたちにとってすごく大きいことがわかりました。

ネイティブの先生に自分の英語が通じた子は大喜びし、うまくできなかった子はその部分を、ものすごい勢いで復習する。『自分の言葉で外国人とコミュニケーションをとるために英語を勉強している』という一番大事な部分が、子どもたちにはしっかり伝わっているのです」

「Game English」は2019年度末までに、さらに2種類のコンテンツをリリースする予定です。

岡田 「 2020年からは、小学 3年時からの英語授業が必修になります。 Game Englishコースは就学前の年中児からが対象なので、まずはゲームで『英語っておもしろいな』と思ってもらい、次に進んでほしい。

なぜなら、私自身がそうであったように、英語をマスターして自分の言葉で異文化を直接体験できるようになることは、この先の人生の可能性を大きく広げるに違いないからです」

国際人であることをベースに、広い視野で自己実現を目指す子どもたちが増えていくこと。

それが、英語学習アプリ「Game English」に込めた岡田の願いなのです。

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