離乳食管理をもっとカンタンに――本当に使える育児アプリ、開発チームの想い

離乳食は子どもによって進め方に差があり、不安や悩みがつきないものです。メニュー本などはあっても、「おかゆの次に何を食べさせていいのか」「いつから食べさせていいのか」などわかりにくい部分がありました。

そんなママやパパの悩みを軽くし、離乳食に関する情報収集や記録を簡単、かつ効率的にしようと開発されたアプリが「ステップ離乳食」です。このアプリは2019年8月23日に「キッズデザイン賞」(※)を受賞しました。

「ステップ離乳食」が受賞したのは3部門あるキッズデザイン賞のうち、「子どもたちを産み育てやすいデザイン部門」でした。アプリは子どもの月齢によって、いつから、どんな順番で食べさせるかがわかり、食べさせた食材を簡単に記録できるツールとして、子育て中の多くのママやパパに安心して使っていただいています。

「ステップ離乳食」は現在、全体のディレクションを生出和紀、開発を髙橋和康、デザインを篠原みなみが担当し、チームとしてアプリを成長させています。

生出 「時期によって食材ごとの『食べてよい』『まだ食べないほうがよい』『こういう調理をすれば食べてもよい』といった基準を、管理栄養士の監修のもと ○ × △で一覧にしています。食べたものにチェックをつけるだけのワンステップで簡単に離乳食管理ができる、というのが一番の特徴です」

子どもの好き嫌いやアレルギーなどの反応を食材ごとに記録できるようになっており、何か詳しく書いておきたいときはメモを追加することも可。2019年9月現在、アプリ内には280以上の食材を時期や栄養素ごとに一覧にしており、ユーザー自身が食材を追加できるようにもなっています。

また、アプリに記録した情報は家族共有機能を利用して共有することもできます。2015年9月11日のリリース以来ユーザーは増え続け、2019年8月には過去最高のユーザー数を記録しました。

多くのユーザーから支持されるようになった「ステップ離乳食」は、ユーザーの方々からの声をもとにアップデートを重ねています。

※キッズデザイン賞
特定非営利活動法人キッズデザイン協議会が主催するキッズデザイン賞は、多様なステークホルダーとともに子どもの未来が持続的で明るいものであることを目指している賞です。そのため「子どもたちが安全に暮らす」「子どもたちが感性や創造性豊かに育つ」「子どもを産み育てやすい社会をつくる」という目的を満たす、すべての製品・空間・サービス・活動・研究の中から、子どもや子育てに関わる社会課題解決に取り組む優れた作品を顕彰しています。

SNSやレビューでユーザーの声を拾って優先的に機能に反映している

▲ 自身の経験から食に関心の薄いパパにも離乳食に関わってもらえるように、という視点で試行錯誤する生出(写真右) デザインの力でユーザー体験を向上させようと奮闘する篠原(写真左)

▲ 自身の経験から食に関心の薄いパパにも離乳食に関わってもらえるように、という視点で試行錯誤する生出(写真右) デザインの力でユーザー体験を向上させようと奮闘する篠原(写真左)

「ステップ離乳食」は子どもの離乳食を管理できるアプリですが、実際のユーザーであるママやパパの子育てのモチベーションアップも意識して設計しています。

たとえば、離乳食スタート時から食べた食材の数が3品目、5品目、10品目、以降10品目ごとに増えていくと、「食材コンプリート記念画像」という画像が表示されます。日々少しずつ成長している子どもと親の頑張りを認め、楽しみながら離乳食を進めていただけるようにという想いが、開発のベースにあるのです。

生出 「この画像はよく SNSでもシェアされています。画像を出すことで『褒めてもらえた』という実感につながったり、ゲーム感覚で達成感を得られたりするユーザーさんもいると思うので、子育てに楽しく取り組めるための工夫のひとつです。今は 100品目まで画像が表示されるようになっています」

また、2019年3月から2カ月ほど、監修の管理栄養士に食材について質問できるページを設置。ユーザーから約500件の質問が寄せられ、多かった質問とその回答をアプリ内に Q&Aとして反映しました。

髙橋 「約 250問分アプリに反映してあります。 Q&Aの項目だけで、 1日に 15,000くらいのビュー数があるんです。
食材ごとに見るとまたおもしろくて、ビュー数が時期でかなり変わります。旬の食材は特によく見られていて、夏場はトウモロコシが多かったのですが、 8月後半からはブドウが上がってきています」

無料で気軽に栄養士に質問できるという試みは非常に反響がよかったため、再度の実施を検討中。その他に気づいたこととしては、離乳食に対して悩んでいる人が多いということでした。

生出 「『毎日さつまいもを食べているけど大丈夫でしょうか』とか、逆に『食べなさすぎて悩んでいます』とか、個人的な悩み相談みたいなものも多かったんです。そういう悩みを相談できる場や窓口を、他のところで提供できたらいいなと思います」

食材に関する Q&Aをザインした篠原は、アプリのレビューや問い合わせ内容、SNSでのつぶやきなどをチェック。ユーザーから寄せられることの多い意見を拾って、新たな機能追加に着手しています。

篠原 「今やろうとしているのは、食材を食べた履歴のリスト化です。現在は食材にチェックをつけると日付が表示されるだけで、それを時系列で並べることはできません。全部で 280強と食材数が多いので、食べた食材だけを確認したいという声も多くあり、それを表示できるようにしようとしています。また、過去の食材コンプリート記念画像を振り返って見られる機能も検討中です」

圧倒的に月曜日に使われている!利用状況からみるユーザーの傾向

▲ エンジニアの高橋は、アプリのコンセプトを壊さないように機能検討を行ない、開発するよう心がけている

▲ エンジニアの高橋は、アプリのコンセプトを壊さないように機能検討を行ない、開発するよう心がけている

アプリをより良くしていくために、ユーザーの声を取り入れることももちろんですが、さまざまな事情で現時点では難しいケースや、あえて入れていない機能もあります。

生出 「たとえば、食材コンプリート記念画像は 100品目までしか表示していません。 280強の食材すべてをコンプリートすることが離乳食の目的ではないからです。もしその機能があったら、僕はコンプリートしようとして、自分の子どもにたくさんの種類をむりやり食べさせて、妻に怒られそうですね (笑)。あくまで離乳食時期の手助けをするものなので、コンプリート感が逆に負担になることもあると思って、あえて機能化していません」

一方で、ユーザーからの声はあるものの、対応できていない課題もいくつかあります。

髙橋 「ユーザーの声として多いものが優先にはなりますが、開発にかかる時間との兼ね合いもあります。また、機能を入れることで動作が重くなれば、その機能を必要としていない人にとっては余計なものでしかありません。シンプルだからこそ使ってもらえる部分もあると思うので、その機能が本当に必要とされているのか、どのくらいの割合で必要とされているのかなど、今の良さを打ち消さないように、常に葛藤しています」

篠原 「ステップ離乳食は、アプリ検索をしたあと、詳細のプロダクトページを開かずに直接インストールしている人が多いです。

離乳食の管理ツールなので、他のレシピアプリと併用しているからではないかと推測しています。そういった傾向を見るのもおもしろいですね」

ユーザーの傾向で顕著なものの例として、月曜日の起動率、記録率が圧倒的に高いということがあります。週末は平日に比べると使っている人が少ないのです。一方で、共有機能の利用率は週末に上昇。平日は仕事で忙しいパパが週末にアプリを利用していることがうかがえます。

生出 「土日は病院が開いていないので、月曜日に新しい食材にチャレンジする傾向が強いです。同様に、年末やゴールデンウィークも少ないです。現状では機能の特性もあって、病院がお休みの期間にはアプリを利用する人が減ってしまいますが、今後は平日休日問わずアプリを開く楽しみや仕掛けをつくっていきたいと思っています」

家族みんなで使い、育児を楽しんでもらえるアプリに

▲ ママはもちろん、子育てに関わる全ての人に喜んでもらえるアプリを目指して、これからもアプリ開発チームの奮闘は続く

▲ ママはもちろん、子育てに関わる全ての人に喜んでもらえるアプリを目指して、これからもアプリ開発チームの奮闘は続く

キッズデザイン賞の受賞もきっかけとし、今後「ステップ離乳食」はさらに進化していく予定です。

生出 「僕たちも入社前はそうだったように、パパの離乳食への知識や興味関心は少ないと感じています。それを上げていくために、今は共有機能や記念画像を通して、子どもの成長を楽しみつつ『奥さん、頑張っているな』と感じてもらえるしかけを用意しています。

こうしたしかけをもっとブラッシュアップして、パパがママたちと同じようなレベルまで知識や興味を持って育児を楽しめるようになったら最高だなと思っています」

髙橋 「『授乳ノート』というアプリと比べると、ステップ離乳食の共有機能の利用率は今、半分くらいです。個人的にもそこまで離乳食に対して興味がなかったので、なぜパパは興味がないのかというところを考えていく必要があると思います。

そもそも食材に関して、もっと初歩的な知識から入っていかないとパパは興味を持てないのかなと。僕はデータが好きなので、グラフなどでデータが可視化できるともっと興味が出てくるパパもいると思っています」

篠原 「アプリ名でSNS検索をかけると、『友だちが使ってたからこっちに変えよう』とか、『友だちがいいと言っていたから』という声がたくさん出てきます。特に女性は、化粧品などもそういう傾向があると思いますが、本当に口コミが大切です。

今後もステップ離乳食は安心、使いやすいアプリという口コミが広がっていくように、 SNSで拡散しやすい要素を組みこめたらなと考えています」

担当しているアプリがキッズデザイン賞を受賞したことについて、3人はそれぞれに喜びや手ごたえを感じています。同じメンバーで「授乳ノート」というアプリにも注力しており、「ステップ離乳食」と並行して強化しています。

チームでやってきたことが評価されたという経験は、今後必ず生きてくるはず。これからも、子育て中の親を手助けするというコンセプトは崩さず、機能一つひとつに想いを込めてアップデートしていきます。

株式会社カラダノート

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