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台風19号の影響で27年前の学術書がツイッター話題→重版決定 出版社「今までにない反響」

同書は1992年刊行で、歴史や地図から自然と都市の関係を読み解いた都市学の定番本。どのような地形の上に、どのような生活や文化が根付いていったのかが記されている。

国交省のハザードマップポータルサイトを見ると、東京23区の東側はリスクが高く、西側はリスクが低い傾向があるとされている。この災害リスクの低い西側に位置する山の手エリアだが、同書によると「台地と谷地が交差する複合的な地形」とあり、「そのことがまず、都市の建設にとっての最大の基底条件となった」とある。

江戸時代中期から後期にかけて、都市の展開と中心部の密集が進んだ。例えば高級住宅地のイメージが強い青山、麻布だが、この時期にはすでに条件の良い高台はすべて大名屋敷や中・武家地に占められていたという。

一方、下町はどうだろう。同書には「東京の下町は、自然そのままの上にできたものではない。逆に、近世初めに飛躍的に進んだ土木技術によって自然を改造しながらつくられた」とある。

とはいえ、「ただし、現代のような技術のおごりはなく、細やかな条件を飲み込んで、現地形に従いながら、自然と共存する都市の仕組みが生み出された」という。荒川と多摩川の間に広がる武蔵野台地と千葉方面の下総台地の間については、

「東京湾へ注ぐ利根川・荒川水系が流れ、沖積平野(河川に運ばれた堆積物でできた平野)を形成していた。そこが下町の発展する舞台となったのである」

としている。山の手と下町では、土地の作りからして違うことが分かる。

「台風が東京に上陸した12日にツイッターで紹介され、知る方が多かったようです」

『東京の空間人類学』について、同社の担当者は、

「台風19号の日以降に問い合わせ件数が増えました。13~14日に東京の大型店では動きがあり、悪天候にも関わらず1日で5冊売れた店舗もありました。三連休明けの15日には書店や一般の方から多くの問い合わせをいただきました」

と話す。同担当者は「サントリー学芸賞受賞作のロングセラーではありますが、このような盛大な反響に驚いています」という。今回の重版で累計発行部数は19刷3万5500部となる。

「台風が東京に上陸した12日にツイッターで紹介され、こちらで初めて本書を知った方もいらっしゃったようです。今回の台風で東京の水害について考えを深めた人が多かったと思います。東京と水の関係を歴史から読み解きたいという人にはおすすめの一冊です」

と語った。重版分は11月8日ごろから都内、11日以降には全国書店に並ぶ予定だ。

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