ネカフェ難民の「所持金30円」を”自己責任”の言葉で切り捨てていいのか

西日本新聞が4月27日、ネカフェ難民の窮状を伝える記事を配信。ネカフェ休業後、路上生活をしている50代男性の「所持金はわずか30円」「生活保護を申請すれば娘に連絡が行き、ホームレスなのが知られてしまう」という記事中のコメントがネット上で大きな反響を呼ぶこととなった。

中には、悲惨な実態を憂慮する声もあったが、大半を占めたのは「生活保護を受けないという選択をしてホームレスなのは自業自得」「支援を受けないのならば自己責任」という批判的なコメントだった。

東京都が2019年に発表した「住居喪失不安定就労者等の実態に関する調査報告書」によると、都内のネットカフェなどで日常的に寝泊まりする利用者の推計値は約5100人のぼる。このうち、派遣社員、アルバイトなどの「不安定就労者」は41.2%。住居喪失中なのが75.8%だ。

つまり、約4000人は住居がなく、ネットカフェで寝泊まりしていることになる。平均収入は、手取りベースで12万円。雇用保険や年金に加入していない割合は6割以上にも及んだ。

また、住居がなくなってからの期間については「5~10年未満」「10年以上」の回答が合わせて22.3%になっている。リーマンショック、東日本大震災に何らかの影響があり、その後もネットカフェ難民となっていると考えるべきだろう。

新型コロナで住まい失う人、増える可能性も

これを「自己責任」と切って捨てていいものだろうか。個人の心情はともかく、社会として何らかの手を差し伸べる必要があったのではないか。

現在、新型コロナによる休業に耐えられず、宿泊業や飲食業の倒産件数が増えている。行政側はさまざまな補助金の拠出を発表しているが、手元に届くまでにはまだ時間を要するだろう。その間に生活に困窮し、住まいを失くす人が出てくる可能性は高い。

そして、生活に困窮するということは、心身を蝕み、思考も衰える。4月下旬には、路上生活の男が内覧中に不動産会社員の女性を刺す事件が発生。一部報道によると「コロナの影響で働けなくなり、生活が苦しかった」と供述しているという。

緊急事態宣言が長引き、営業自粛が続くことになれば、同様の事件が増えないとも限らない。彼らの困窮を「自己責任」などと切り捨てていると、治安が悪化して余計な生活コストがかかっていくことにも思いを巡らしていいのではないだろうか。