『お客様の顔を思い浮かべて料理をつくること』──元銀行員シェフの料理への想い | キャリコネニュース - Page 2
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『お客様の顔を思い浮かべて料理をつくること』──元銀行員シェフの料理への想い

▲銀行員時代の頭取・同期との懇親会にて (最後列右から3番目が佐々木)

▲銀行員時代の頭取・同期との懇親会にて (最後列右から3番目が佐々木)

元銀行員の料理人という異色のキャリアを持つ佐々木 洋次。2020年4月現在新規プロジェクトの立ち上げシェフとして従事しています。まったくの異業種への転職をDEAN & DELUCAにてスタートした佐々木ですが、そこにはある想いがありました。大きな声で主張をするのが得意ではなかった彼の成長をひも解きます。【talentbookで読む】

飲食業にチャレンジしたい──経営を学ぶために銀行へ

渋谷区と三井不動産がPPP事業で進める公園、商業施設、ホテルが一体となった“ミクストユース“型プロジェクト「MIYASHITA PARK」。ウェルカムは「MIYASHITA PARK」内のホテル、「sequence_MIYASHITA PARK」の全体プロデュース、レストラン・カフェ業態の企画運営に携わっています。

その内のひとつレストラン業態の新ブランド「Dōngxī Restaurant &Bar(ドンシー レストラン&バー)以降:ドンシー」を2020年8月にオープン予定。

2020年4月現在、佐々木 洋次はその店舗の立ち上げシェフとして開業準備を進めています。

実は佐々木は社内でも変わった経歴の持ち主のひとり。ウェルカムで勤務する前は地元、富山の地方銀行に勤めていましたが1年で銀行を退職します。

佐々木 「長く働くイメージがないまま銀行で働き始めてしまったというのが本音です。実は銀行で働くのを決めたときから、いつかは飲食業をしたいっていう漠然とした想いがありました。きっかけは学生時代の居酒屋のアルバイト。バイト先の一体感のある働き方がとても楽しかったのと、自分の調理の仕事振りを褒めてもらえるのも嬉しかったです。

だから銀行で働くことで経営に関することも学べるかも、なんてちょっとした打算もありました(笑)。だから銀行で、仕事にやりがいを感じられずにいればいるほど飲食業にチャレンジしてみたくなって。悩み始めて半年くらいでこの想いに抗えなくなって退職を決めました。僕は自分の想いや衝動を我慢できないタイプなんです」

「NY発カッコいい店」。人として、料理人として成長した東京での出会い

▲品川店時代の店舗イベントの1枚

▲品川店時代の店舗イベントの1枚

銀行を退職した佐々木は念願だった飲食の道に進むことを決め、地元の友人を頼りに上京を果たします。

佐々木 「東京での最初の勤め先は下北沢にあるノースサイドカフェという店でした。とてもカッコいい店だったので、アルバイト契約ではあったもののその店で働いていること自体にステイタスを感じられていました。

その後、約半年間勤務をさせてもらったのですが、ステップアップを目的に社員としてイタリアンレストランに転職をしました。実はそこで上手く働けなくて……自分を入れて社員3名体制のお店だったのですが、社員と上手にコミュニケーションを取ることができなくて。結局、1カ月くらいで退職してしまったんです……。

そんなとき、ノースサイドカフェ時代の元上司が『DEAN & DELUCAっていうNY発のすごくカッコいい店ができた』って話をしてくれたのを思い出して、品川店を見に行きました。ひと目で虜になりましたね。店も、商品もとってもセンスが良くて。おいしそうで……すぐに応募をしました」

こうして2007年にDEAN & DELUCAでの勤務をスタートした佐々木は、13年間の勤務で六本木店、丸の内店、品川店、八重洲店、吉祥寺店、横浜店の店舗を経験し、その内の3店舗ではシェフを担当。その後に購買担当、商品開発をへて実に8つのポジションでの業務を行い大きく成長を遂げます。

佐々木 「DEAN & DELUCAの総料理長の教えでもあるんですけど、『お客様の顔を思い浮かべながら料理をつくること』の大切さが年々わかるようになって来たんです。入社したてのころからいろいろな上司の下で言われていたのですが、やっとその本当の意味がわかってきたなと」

DEAN & DELUCAは中食の業態。一見、お客様が料理を食べているところを見ることはできないように思えるかもしれません。しかし、DEAN & DELUCAにはそのシーンをたくさん見る機会があり、佐々木もそこで多くの刺激を受けました。

佐々木 「料理教室のアシスタントを担当していたとき、毎回30名を超えるお客様が総料理長の調理したメニューを嬉しそうに食べるシーンをみることができました。

また、リミテッドレストランというPOP UP イベントのときは、自分のつくった料理を直接お客様にサーブ、提供し、食べたときの反応を間近で見ることができたんです。社内試食会では50名を超える社内メンバーが自身の料理を食べるシーンを見ることもできました。

またその場で採点シートに評価される経験もしました。実はこの試食会はすごいプレッシャーなんですよ。ジャッジされることの怖さを強く感じました。でも、こうやって実際に食べているシーンを見て、評価された経験によって、『お客様の顔を思い浮かべながら料理をつくること』の大切さが痛感できたんです」

DEAN & DELUCAでの新たな挑戦─新ブランド立ち上げにあたって

▲購買担当時代の鹿児島の生産者さんを尋ねた際の懇親会 (前列右から2番目が佐々木)

▲購買担当時代の鹿児島の生産者さんを尋ねた際の懇親会 (前列右から2番目が佐々木)

多くの学びを得てまい進する日々。そんな中、入社して12年たったある日、佐々木は店舗勤務時代に多くのことを教わった元上司より、新たなプロジェクトの右腕として力を貸して欲しいと打診を受けます。そのプロジェクトこそが現在佐々木が立ち上げシェフとして関わっている『ドンシー』でした。

佐々木 「打診された内容を聞いたとき、『やりたい!』という想いが湧き出てきたのと同時に、家族のことが頭に浮かんできました。今僕は本社勤務なので、ある程度安定した働き方ができているけど、シェフは不規則な働き方になります。小さい子供もいるので、当然共働きの奥さんに大きな負担を掛けることになってしまいます。

ただ心はやりたいと反応してしまったんです。外食の道を途中で逃げ出してしまったことに対するコンプレックスはずっと自分の中にあったのも大きいと思います。しかし、自分ひとりでは決められないので家に帰って家族に相談をしました。

すると、『やりたいって思ったんだったらやりなよ。あなたはやりたいと思ったら我慢できない人でしょ』って言ってくれたんです。僕の性格を理解してくれて、応援してくれて。家族の理解があってようやく決心をすることができました」

新たなチャレンジを行うことになった佐々木は、自分を誘ってくれた上司のためにもしっかりと役割を果たそうと新店ドンシーの成功に強い想いがありました。

佐々木 「ホテルのレストランはモーニング営業があるので営業時間がとにかく長いんです。朝から夜までお店を運営するために多くのメンバーを抱えることになるので、気持ちよく働ける場をつくること。そしてメニューをしっかりと表現すること。そして、その先のドンシーをブランドとして成長させること。この三つが今の目標です」

与えられたポジションを全力で──可能にさせたウェルカムの環境

▲開業準備期間中の佐々木

▲開業準備期間中の佐々木

入社して13年、新ブランド立ち上げという重大な役割を担うことになった佐々木。入社してから今までを振り返ると良き上司の存在がありました。

佐々木 「ウェルカムには個性的なメンバーがたくさんいますし、個性を尊重する社風でもあります。僕自身、自分でやりたいことを主張したり、大きな声で主張をしたりは得意ではなかったんですが、会社はそれも個性として受け入れてくれました。

上長たちは下のメンバーまでしっかりと良く見てくれていて、事実、僕はたくさんのチャンスをもらったんです。もちろん失敗もありましたが、いつもフォローをしてくれる仲間がいました。だからこそ、僕は、与えられたポジションには全力で取り組めたんだと思いますし、その自負があります。

そして、その度にやりがいを感じられたし、新しい目標もできたんです。だから今後に関しても今の役割をまっとうしていく中で何か見えてきたらいいなと思っています」

入社して多くの人から助けをもらい感謝する毎日。年月がたつにつれ佐々木にも多くの後輩もできました。そんな彼だからこそ先輩にしてもらったように後輩に対して特別な想いがありました。

佐々木 「後輩たちに対して少しでも自分の経験で良い影響を与えられたらと思っています。

僕は本格的な調理の経験はDEAN & DELUCAしかありません。そんな僕が新たなプロジェクトのシェフとして成功を収めれば、後輩メンバーにも同じような新たなチャレンジができるステージが用意してあげられるんじゃないか思っていて。そうなったらとても嬉しいですね。

また与えられたチャンスには怖がらずにチャレンジをして欲しいです。僕自身も失敗を怖がって尻込みしそうになることもありましたが、やったことすべてが自身の成長につながりましたから」

自身の興味や想いを大切に行動しつつ、実体験からの学びを後輩に伝えていくことにやりがいを感じている佐々木は、ウェルカムが大事にしている行動指針である「DRIVE YOUR PASSION」「GROW THE TEAM」を体現してくれているメンバーのひとり。

今後も佐々木のように、仕事を通して個人としても成長を遂げるメンバーが一人でも多く生まれることを願っています。

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