会社で気持ちよく働くために──社員一人ひとりが自分の強みを見つけるには | キャリコネニュース - Page 2
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会社で気持ちよく働くために──社員一人ひとりが自分の強みを見つけるには

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管理部門はサービス業──会社と取引するお客様がいるように、管理部門のお客様は社員だと捉える笠井 伸幸(管理部門 執行役員)。笠井の関わった会社の土台作りと業務への捉え方が今なお社員に息づいているのは何故か、彼自身の個の強みの出し方とともにお伝えします。【talentbookで読む】

職種を決めたきっかけはゼミのディスカッション内容の興味から

大学時代のことです。僕の在籍するゼミで日本的雇用慣行(高度経済成長期を支えた雇用システムの3つ<終身雇用・年功序列型賃金・企業別労働組合>)がディスカッションテーマとなっていました。

僕らが就職をする1980年代に終身雇用や企業内組合というのが中心になり、日本経済が発展してきました。そしてこのころから、終身雇用っていうのは今後どうなの?と言われ始めたことがテーマにあがるきっかけでした。

ゼミでは終身雇用が「なくなる派」「形を変えて残る派」という2派に分かれ、ディスカッションを進めていたのですが、僕は形を変えても残るんじゃないかという方のグループにいました。

実際、そのときにならないと分からないこのテーマはディスカッションが終わった後も気になっていました。しかし、デリケートな部分なので企業には聞きづらいし、うちの会社はこうなりますって教えてくれるわけでもありません。だから、僕が就職するにあたって、現場でどうなっていくのかを確かめたいなという想いを持って就職活動をしていました。

思えばゼミをきっかけとして、人を管理する部門を希望して入社をし、今まで富士テレコムと関わってきました。

入社してからは、人をどのように「使っていく」ではなく、「仕事をしてもらう」ためにどういう仕組みがいいのかとか、今のルールの中でどういう風に会社がうまく回るのか、そのためには、すでにあるルールをどういう風に解釈をして、会社のために働く人たちの為にどのように浸透させていけばいいのか、ということを常に考えながら仕事をしていました。

当時から人に興味を持って業務に取り組んでいたので「〇〇さんの4年前の経歴はなんだっけ?」と先輩や上司に聞かれると、一緒に仕事をしたことがなくても、すぐに答えられるぐらいに記憶していました。暇なときは入社前の資料や辞令簿とかを読み返し、「この人この時期に課長になったんだ、部長になったんだ」っていうところまで全部見てました。

そうやって人に興味をもって内発的に行動している人が少なかった上に、本人達も覚えてないところもあるし、会社の上の人たちも分からないところがあるので、聞かれたときにパッと答えられる、そこで「なんで知ってるの?」と言われるのが快感だったな、と記憶しています。

こつこつ積み上げる努力が生んだ信頼

ある資料をデータ上で活用しようとしたときのこと。整ったデータがほとんどなかったんです。これでは修正するにしても、配布できる状況ではないと思い、1回文章を丸写ししました。その上でデータ作成に取り組んだのです。すごく大変でしたが、つくりながら文字を読んでいるので、頭で覚えてしまうんです。丸写しができたときには内容を空で言えるぐらいになっていました。

今度は整ったデータを土台に、内容を変える必要がありました。つくったデータを使って、どの部分をどう直すか提案する資料もつくれるようになっていました。そこまで来たときは「会社の土台を俺がつくってるんだ」という気持ちでやってたので、楽しかったのを覚えています。

何より管理部門の社員は、安心して働ける環境をつくらなきゃいけないと常に思っています。「僕たちが会社を支えているんだ」っていう意識と誇りを持って仕事をしています。しかしながら、「気持ちよく仕事をしてもらうために、自分たちができることをまずやりましょう。管理部門はサービス業だよ」ということは大切にしてほしいので、役職ついてからは部下にも言っています。

僕は管理部門だけでなく営業部門も経験しています。人事異動で、統括部長として営業部門に異動しました。すると当然、営業も「自分たちが会社を支えているんだ」っていう意識を持っています。仕事を受注して利益を生み出すのは彼らで、管理部門だった僕は、「営業部門の社員のために自分ができることは何か」ということを異動後に探す努力をしました。これは入社のころから変わっていないのかもしれません。そういったスタンスで、関わることに自分の価値があると理解していました。

教えられることでは身に付けられない「乗り越える力」

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誰しも、初めて補助輪なしの自転車に乗ったときは、うまく乗れなかったのではないでしょうか?自転車の練習をするとき、僕の子どもたちはまず「できない、できない」って言っていたのですが、「やる前にできないって言っちゃだめだよ」と言うようにしました。

社員にも同じように、「失敗してもいいのでまず挑戦してみてください」と言うようにしています。挑戦してからそれが良い選択だったのかそうではなかったのかを考えさせて、個の成長を促します。もちろんいつもうまくいくわけではないので、失敗したときは手助けしますが、挑戦する機会を常に与えるようにしています。

皆さんにも自身の成長にはまずは挑戦が大切だと思ってほしいです。なので、最初からできないっていう言い方をして欲しくないなという想いを持っています。

そして、楽観的な考え方を持つというのも大切です。意見の食い違いは議論の中で当然あるということを理解しながら、たとえばこちらの考えと経営者の考えが相反する場合は意見を受け入れる必要があります。

こちらが良いと思って言うことも、経営的な観点からはダメって言われることがあります。そこではもちろん悔しい想いになりますが、今の立場は、経営者の代わりに部門の運営をしていくっていう位置づけなので、互いにあくまで会社をよくするための議論であるということを常に意識するべきだと考えています。挑戦の中でも議論の中でくじけない楽観さを持つことのできるモチベーションが必要と感じています。

社会人になって身についた「個を生かし、会社をうまく回す」ルール

「途中で辞めて、また何か新しいことを」というよりは、ひとつのことを突き詰めたいというのが、会社に入るときからの僕の想いです。そういう意味で終身雇用は僕の中ではなくなっていないです。労働市場はかなり流動性が高くなっていますが、だからといって終身雇用がなくなっているかと言うと結局、定年制はまだ残っているわけですよね。

やっとここ数年、富士テレコムで定年退職する方が出てきています。そういう方を見てるとやっぱり終身雇用って終わらなかったんだな、と30年越しにひとまず答えを身をもって感じることができました。

実際に僕自身も新入社員からずっと今までも会社はやっぱり好きですし、できるのならずっと働いていたいなと思っています。なので、同じ場所で長く働けるスタイルが僕にも合っていると感じています。

これから先に終身雇用が残ったとしても、なくなったとしても、自分の強みを持つことが大切なことは変わりません。

最後に、強みの見つけ出し方を伝えたいと思います。働く上で、少なくとも自分が何をやりたいかっていうのを持っていてほしい。それを実現するかしないかっていうのは結局個人なので、その可能性をどのようにどの会社で見つけ出すのか。

就職活動では、「自分のやりたいことをやらせてくれる会社」という目線で見てしまうと難しいのかもしれませんが、「この会社ならできそうかな」というよりも「自分はこれがしたい」という想いで会社を選ぶのがいいなと僕は思います。

自分がまずやりたいことを持って、その会社の中で、「やらせてくれない」ではなくて、「自分がやるんだ」って想いで挑戦していってほしいです。

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