社員の平均年齢は40代後半で、「私が1番若く、40代以上しかいなかったです」と振り返る。そこは何かにつけて早出のサービス労働を強いてくる会社だった。
「週に2日、始業30分前に出社して強制的に会社全体の掃除をする日がありました。毎日15分前に来るようにとも言われましたが、どちらにも手当は一切つきません。しかも、4人体制の当番制でトイレ掃除があり、自分の番になったら1週間早出しないといけませんが、これも手当無しです」
こうした「早く出て会社に奉仕」するスタイルは昭和の時代には珍しくなかっただろうが、これは2023年の話だ。20代の女性には理不尽にしか思えなかっただろう。
「面接の時に始業前に掃除というのは聞かされていましたが、タイムカードを始業時間にしか打刻させてもらえず発覚しました」
と語っており、その実態は入社してから知ったという。
「わざわざ全て印刷して、手作業でペンで合っているか確認するんです」
不満はこれにとどまらなかった。効率の悪い時代遅れの作業にぶち当たったのだ。
「ペーパーレスのこのご時世に、やり取りはFAX、処理した書類はパンチで穴を開けてファイリング。あまりに時代錯誤でした。FAXでやり取りをする取引先では、紙に手書きするスタイルです。メールでのやり取りがなく、届いたかどうかもいちいち電話で確認していました」
ただ、パソコンが無かったわけではなく在庫管理などはPC作業を行っていた。ところがこれも、女性にとっては歯がゆいやり方でしかなかった。
「在庫管理は他社に委託しており、そこの在庫表がこちらのExcelデータと比べて正しいかチェックする作業がありました。でも、うちで管理している在庫表と書式が違っていて、統一すれば関数で数分で出来る確認作業が出来ませんでした。わざわざ全て印刷して、手作業でペンで合っているか確認するんです。3時間ほどかかりました」
せっかくExcelで管理していても、アナログ過ぎる確認作業に辟易してしまった。一方で、専用ソフトを使うデータ入力の作業もあり、こちらは「マニュアルが無いので初めてのソフトの使い方がよく分かりませんでした」と教育体制も整っていなかった。
色々と不満が募るばかりだったが、辞める決定打となったのは意外なことだった。
「ウォーターサーバーがありまして、上長に自由に飲んでいい、コップも使っていいと言われていたので備え付けの紙コップを使っていました。なのに、直属の上司に『コップは自分で持ってこい』と言われ……。この時点で完全にやる気が無くなったので退職しました」
直属の上司は経費削減に厳しい人だったのだろうか。しかし時代錯誤にドン引きの連続だった女性にとっては我慢の限界だった。即行で退職したことについては
「後悔はしていません。時代遅れの作業を続けていたら耐えられなかったと思うので」
と心境を語った。
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【即行退職シリーズ】