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非正規だけ「カップ麺、外食禁止」の職場 その理由が衝撃的すぎた

小川さんがこの会社で働き始めたのは、2022年の秋のこと。商業施設やホテル、学校など建物の設備メンテナンスが主な業務だ。

勤務初日、小川さんは派遣先の社員から休憩時のルールについて説明を受けた。 そこで耳を疑うような内容が告げられた。

「正社員は外でも社内でも自由にお昼ごはんが食べられます。派遣・契約社員は、外はダメ。あと正社員はカップ麺を食べてもいいけど派遣、契約社員は禁止」

もともとこの会社には社員食堂があったが、コロナ禍や経費削減を理由に廃止された。その後、正社員は外で自由に食べるようになったが、派遣・契約社員には許されなかった。

「派遣、契約社員はレベルが低い」その理由は……

就業規則には、派遣・契約社員は勤務時間中に外出することは原則できない、やむを得ない場合は早退扱いという旨が書かれていた。

それなら尚更、派遣・契約社員だけがカップ麺を禁止されるのか、腑に落ちない。小川さんは、社歴30年だというベテラン男性社員に理由を尋ねてみた。すると、衝撃的な答えが返ってきたという。

「前に契約していた派遣会社の人間が、休憩室のシンクに食べ終わったカップ麺をそのまま流して、結果としてシンクの排水管が詰まったことが何回かあった。紹介予定派遣から契約社員、直接雇用になった人間も同じことをした」

「会社の認識として『派遣社員、派遣から契約社員になった人間はレベルが低い』ということになって、派遣・契約社員はカップ麺禁止になった」

一部の従業員の過去の行動を理由に、派遣・契約社員は「レベルが低い」と断じ、一律で禁止するとは、なんて理不尽だろう。休憩室にはそもそも電気ポットがなく、持ち込みも禁止。勤務時間中の外出も原則できないため、コンビニでお湯を入れて食べるということも不可能だった。

このルールに嫌気がさして辞めていく派遣社員もいたという。小川さんは当時の職場の雰囲気についてこう語る。

「『こんなルールは不公平、差別的だ』と主張、発言した人は仕事ができないとされ、配置転換されてました」

カップ麺以外にもあった「格差」

この職場は正社員が10人以下で、契約社員や派遣社員は少数派だった。小川さんの前にいた派遣社員も、こうした職場のルールが嫌で派遣会社自体を辞めてしまったそうだ。 理不尽な格差は昼食ルールだけにとどまらなかったと小川さんは続けた。

「社員は業務時間中に個人のスマホを私用で使えますが、派遣・契約社員はダメです」

情報漏洩などの理由から個人のスマホの使用を禁止している職場はある。だが、この職場では社員には使用を認めているため、小川さんは納得がいかなかった。

まず派遣会社の営業担当に様々な格差の改善を求めたが、「派遣先の会社のルールに従って欲しい」と言われるだけだった。 そこで、派遣先の上司2人、さらにはその上の役職者たちに会った際に、直接このおかしなルールについて訴えた。その結果、小川さんは別の現場へ異動させられることに……。

結局、小川さんは契約期間の満了をもってその会社を退職。今の心境をこう語る。

「紹介予定派遣でしたが、個人的には派遣先の会社の正社員になりたいとは思わなかったので、未練なく去ることができて、正直ほっとしています」

また、今回の経験で小川さんは会社のあり方について深く考えるようになったという。

「派遣会社も派遣先も旧態依然とした組織、体制で、これからの時代に対応できるとは思えません。人手不足が深刻化する中、雇用のあり方をアップデートしないと、今後はやっていけないのではないでしょうか」

雇用形態で人を「レベル」分けし、不合理なルールを押し付ける。確かに、そんな企業が人材不足が叫ばれる時代を生き残っていくのは難しいだろう。

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