「世界中から必要とされる開発メーカーになりたい」 愛知の原田車両設計がビジョン実現に協力してくれる“人財”を募集 | キャリコネニュース
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「世界中から必要とされる開発メーカーになりたい」 愛知の原田車両設計がビジョン実現に協力してくれる“人財”を募集

トヨタ自動車の超小型2人乗り電気自動車「i-ROAD」。原田車両設計は実証実験用の車両開発に参加した

トヨタ自動車の超小型2人乗り電気自動車「i-ROAD」。原田車両設計は実証実験用の車両開発に参加した

原田車両設計は、愛知県みよし市に本社を構えるモノづくりの会社だ。大手有名自動車メーカーや自動車部品メーカーとの直取引で設計図や製品を納品するほか、先進的な実証実験プロジェクトに設計等で参加するなど、各方面から高い信頼を得ている。

社員は約100名で、エンジニアが8割を占める。会社は「2025年までに世界中から必要とされる開発メーカーとなる」というビジョンを掲げるが、今後どのような道筋で実現していくのか。代表取締役の原田久光氏らに詳しい話を聞いた。(構成:キャリコネニュース転職編集部)

「設計」と「製造」の2本柱。試作品から量産品まで対応

原田久光(はらだ・ひさみつ) 原田車両設計株式会社 代表取締役。大学の海洋学部を卒業後、クジラやイルカと会話するインターフェイスの開発を夢見たが水族館からの求人がなく、技術系の派遣会社に就職。「エンジニアが定年まで安心して働き続けられる会社」を創ることを目標に、個人事業として原田車両設計を創業。モットーは「会社は社員の為にある」。趣味は家庭菜園、料理、ヨット。

原田久光(はらだ・ひさみつ) 原田車両設計株式会社 代表取締役。大学の海洋学部を卒業後、クジラやイルカと会話するインターフェイスの開発を夢見たが水族館からの求人がなく、技術系の派遣会社に就職。「エンジニアが定年まで安心して働き続けられる会社」を創ることを目標に、個人事業として原田車両設計を創業。モットーは「会社は社員の為にある」。趣味は家庭菜園、料理、ヨット。

――原田車両設計は、原田社長が設立された会社なのですね。

原田社長(以下、原田) 1993年に創業して、来年で30周年を迎えます。もともと私は、技術者派遣の会社で主にワイヤーハーネスの経路設計に携わっていました。ワイヤーハーネスとは、自動車の血管や神経に例えられる電線の束のことです。

自分が考えて取り組んだ部品がクルマに組み込まれて世界中に販売される仕事には、大きな喜びを感じていました。しかし、エンジニアがやりがいと誇りをもって生涯安心して働ける会社を創りたいとの思いが強くなり、独立して開発を請け負える会社を立ち上げました。

独立する際には自分なりに「いい会社」の定義を考え、「給与賞与の高い会社」「設備投資を惜しまない会社」「経営者が真面目に働く会社」「社員と経営者がつながっている会社」の4つを掲げて、少しでも理想に近づけるよう頑張っているところです。

――現在の売上の内訳はどのような構成ですか。

原田 クライアントで分けると、新しい移動手段としての次世代モビリティを含めた「自動車業界向け」が9割近くを占めています。また、かつて大きなプロジェクトに参加していたこともあって、航空機業界のお仕事もいただいております。

仕事の内容は、売上ベースで「設計」と「製造」が半々で、年によっては製造がやや多くなることもあります。設計は、CADを使って図面を起こし、設計図や製品を納品するまでが仕事で、大きく「量産品」と「試作品」に分けられます。

――量産品と試作品では、仕事の仕方はどう違うのですか。

原田 量産品で多いのは、モデルチェンジなどの際にメーカーからベースとなるデータをいただいて、要件を基に新規開発や図面を修正するケースです。得意とする設計部品は、内外装の樹脂部品から機能部品、シート、ワイヤーハーネスなどの設計です。当社には50台以上のCADがありますので、大量の図面データを迅速に作成することができます。

一方、試作品の開発は、一点モノの開発となります。お客様がある程度ベースとなるデータをお持ちになって、その中身を確認しながら手を加えることもあれば、ラフスケッチを基に「こんなモノを作りたい」という要件や仕様を聞きながら、一からデータを作ることもあります。

積み重ねた信頼関係が大手メーカーとの直接取引に

大手メーカーの次世代製品の創造を技術力で支援する(画像は原田車両設計が参加したコンセプトモデルの一部)

大手メーカーの次世代製品の創造を技術力で支援する(画像は原田車両設計が参加したコンセプトモデルの一部)

――量産品と試作品では、どちらの比重が高いのですか。

原田 量産品や一点モノの試作品の案件は年度により変わるので、案件数は一概にはいえないですね。また、当社は量産工場を持っておらず、量産品の製造はパートナー企業に発注していますが、一点モノの試作品は社内の試作工場で加工し、組立てまで行っています。

量産品と試作品が連動するケースも少なくありません。量産品用の金型を作るためには100万円単位の費用がかかるので、まずは試作品を作って確認し、見た目に問題がないかなどをチェックしてから、量産品の設計に移ることがあります。

当社には樹脂3Dプリンタが3台、金属3Dプリンタが1台ありますので、設計した試作品を実際に形にすることができますし、最終製品を小ロットで量産する場合もあります。

――大手メーカーからの受注が多いとのことですが、指示通りに仕事をするだけでなく、御社ならではの提案を盛り込むこともあるのでしょうか。

原田 それはありますね。自動車の場合、外観のボディはそれぞれの車種で異なりますが、ベースとなる車体は共通の部品を使うこともあります。当社はさまざまな部品の設計や製造に携わってきましたので、強度などの品質を確保しながら、設計によってコストを下げられるとか部品点数が減らせるとか、といったご提案をさせていただくことも多いです。

そういった積み重ねを通じた信頼関係が、大手有名自動車メーカーや部品メーカーと直接取引させていただくことにつながったのだと思いますが、大変ありがたいことだと思います。

――今後、会社が目指す方向をどのように考えていますか。

原田 当社は「2025年までに世界中から必要とされる開発メーカーとなる」というビジョンを掲げており、実現に必要な技術や人財、経験、ノウハウを強化することが課題です。特に強化したいと考えているのは、当社の技術を活かす上流の「企画やアイデア」を基にした仕様書作成を行う開発構想設計や、制御プログラムを作成するソフトウェア領域です。

企画と制御開発力強化で「ゆくゆくは自社製品の開発を」

青木 優(あおき・すぐる) 高校時代からプログラムに興味を持ち、大学では電気電子情報工学を専攻。自動車関係のソフトウェア開発に携われる会社を探し、2008年に原田車両設計に入社。現在は組込ソフトウェア/技術部制御チーム リーダー

青木 優(あおき・すぐる) 高校時代からプログラムに興味を持ち、大学では電気電子情報工学を専攻。自動車関係のソフトウェア開発に携われる会社を探し、2008年に原田車両設計に入社。現在は組込ソフトウェア/技術部制御チーム リーダー

――次に、制御を担当している青木優さんにうかがいます。あらためて「制御」とはどのような領域の仕事なのでしょうか。

青木優(以下、青木) 簡単にいうと、スイッチを押したらモーターが回る、センサーに反応があったらLEDを点灯させる、といった「命令パターン」を機械に組み込んでいく仕事です。現代のモビリティは、機械というより電子機器といった方が近いほど、数多くの組込み型コンピューター(ECU)によってさまざまな動作がコントロールされています。

エンジンやブレーキはもちろん、ライトやドア、ミラーも、ECUなしには動きません。制御の仕事は、ECUに組み込むソフトウェアの開発から、周辺回路の設計、基板の製作、組み付けまでを行います。また、小型モビリティの各種モーター制御や、シリアル通信や無線通信などの各種通信技術の活用も行います。

私自身は大学で電気電子情報工学を専攻し、自動車関係のソフトウェア開発ができる企業を探して当社に入社しました。これまで機械設計のエンジニアが多かった当社ですが、現在は制御部門の強化を図っています。入社後は小型モビリティ向けの制御開発が主な仕事となりますが、ゆくゆくは自社製品の開発に携わるチャンスもあります。

――設計から製造、制御まで、それも量産から一点モノまで手掛けることができるとなると、企画次第で自社オリジナルの製品を作れることになりますか。

青木 すでにこれまでも「アイデアはあるが製品化する手段がない」といったお客様からのご相談に対し、総合的な提案をするエンジニアリングのサービスを行ってきました。これは設計や開発、製造といった事業領域を横断して行うもので、自動車開発で培った豊富なノウハウを基にして初めて可能になるものです。

また、制御チームは参加していませんが、会社としてトヨタ自動車様の次世代モビリティ「i-ROAD」や、ヤマハ発動機様のパーソナルモビリティ「TRITOWN」、アイシン精機様の「ILY-Ai」など、新しいカテゴリのモビリティのプロジェクトに参加させていただいております。

その意味では、自社オリジナルの製品を作る潜在的な力はついていると思いますが、これまでのプロジェクトはいずれも、企画自体はクライアントや大手メーカー様で立案されたものです。また、制御においても、モーターの駆動やセンサー、車両の電気系の領域は経験ができていますが、GPSを使うなど「自動運転の脳」の部分の経験はまだ浅いです。

今後は社会のお困りごとを踏まえ、上流の企画段階から自社オリジナルのアイデアで製品を作るべく、不足する技術や人材、ノウハウを強化しているところです。現在、とある会社と自動運転に関するプロジェクトを立ち上げており、この中でハードウェアからソフトウェアまで自社の技術で一台のモビリティを作り上げたいと考えているところです。

「働きやすさ」へのこだわり。男性でも3ヶ月の育休取得

「原田社長は働きやすい環境に関する社員の提案は大歓迎してくれる方」

「原田社長は働きやすい環境に関する社員の提案は大歓迎してくれる方」

――そのような多忙な青木さんですが、昨年育児休業を取得されたのだそうですね。

青木 3ヶ月の育休を取得しました。妻の妊娠が安定期に入った段階で、人事と上司に「ぜひ育休を取らせてもらいたい」と相談しました。人事には会社として実績ができると歓迎してもらいましたし、上司にも「業務は調整するよ」と言っていただいて、事前に仕事の割り振りなどを行ってもらいました。

実際に取ってみると、子どもとの時間がすごくできてよかったです。一番喜んでくれたのは妻ですね。子どもから目が離せないときに、自分が買い出しに行ったり家事をしたりすることで、精神的に余裕ができてありがたかった、と言ってくれています。

自分が不在の間は、後輩がメインでお客様と調整をしてもらい、難しいところは上司にカバーしてもらいました。最初の一ヶ月で打ち合わせのために一日だけ出勤して、あとはテレビ会議や電話を使ってリモートで打ち合わせや連絡をすることで乗り切りました。

――会社はもともと柔軟な働き方を許容する雰囲気はあるのでしょうか。

青木 原田社長は、働きやすい環境に関する社員の提案は大歓迎してくれる方で「こうしたい」という希望にはよく耳を傾けてくれます。フレックスタイム制はコアタイムなしですし、リモートワークも可能な職種の社員は積極的に活用しています。勤怠は1分単位でつけるのでサービス残業もありませんし、会社が有給休暇の取得を促進する日を設けてくれています。2021年度の有休取得率は71.1%でした。

短時間勤務をしている社員もいます。介護・育児休業法では、従業員の時短勤務は「子が3歳に達する日まで」制限していますが、当社の場合は中学校にあがるまでは時短勤務が可能です。今後はさらに伸ばそうという計画がありますし、女性の為に妊活のための残業時間の制限や妊活休業といった取り組みも始めています。

――最後に、御社としてどのような方に入社して欲しいですか。

青木 原田車両設計が求めている人財は、必ずしも「能力の高い人」だけとは限らず、物事をどう捉えるかの考え方と熱意を大事にしています。多様な個性やバックグラウンドを尊重しながら、それぞれの社員の頭の中にあるアイデアや叶えたい夢を、仕事を通じて実現していただきたいですね。

関連記事:エンジニアが設計したモノが、新たな時代を創る
(取材:Achieve Career/株式会社アルバイトタイムス)

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