候補者に真摯に向き合うことで選んでもらえる会社に ネクソンが求める人材は「VUCA時代に自走できる人」 | キャリコネニュース
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候補者に真摯に向き合うことで選んでもらえる会社に ネクソンが求める人材は「VUCA時代に自走できる人」

オンラインゲームの黎明期からゲーム開発・配信会社として確固たる地位を確立し、現在は世界190ヵ国にゲームを提供するグローバルカンパニーとして躍進を遂げた株式会社ネクソンは、新たなモバイルゲームの配信に向けて事業部の人員を大幅増員する方向を示した。

コロナ禍に加えて社会情勢の変化など不確実性の高まりが指摘される中、ネクソンは大幅な増員を実現し事業の推進を図るべく邁進しているという。競合他社との人材獲得競争を勝ち抜く人材戦略とはいったいどういうものなのか。管理本部人材開発チームリーダーの寺澤麻衣子さんに伺った。(聞き手:千葉郁美)

管理本部人材開発チームリーダーの寺澤麻衣子さん

活況のゲーム業界も人材獲得競争は激戦。「選ばれる会社」になるための採用戦略

――ゲーム業界は就職先として非常に人気ではありますが、一方で人材の獲得競争は激しいものになるのではとお察しします。御社では、これまでどのような採用戦略を取られていたのでしょうか。

IT業界、こと当社のようなゲーム業界は今まさに急成長している領域で、皆さんに働きたいと言ってもらえる業界になりました。競合企業が大小ひしめいている中でも当社は歴史のある企業ではありますが、当たり前に「選んでもらえる」わけではない、「選ばれる会社にならなければいけない」ということを強く感じています。

では、当社を選んでもらうには何をしたらいいのかといいますと、しっかりと候補者の方達に伴走していくことが大事だと考え実践しています。具体的には、以前は採用方法としてエージェントを頼っていて候補者の方に直接対応する機会がほとんどなかったところから、自社でのスカウトを強化するようになりました。そうすると候補者の方と直接やりとりができるので、当社に対する不安や疑問をお聞かせいただいて直接解消することもできるわけです。2016年以降はこのような形で候補者に寄り添ってニーズを聞き出しながら、意向をきちんと汲み取った採用を行うことに重要なポイントを置き、その結果年間で大体50~60名ほどの採用実績に至りました。

動画の活用や候補者の懸念を解消する真摯な対応が候補者の心を掴む

東京本社 ハングアウト(共同スペース)の様子

――コロナ禍においては、社員同士も候補者と直接会うことは容易でなく、採用活動にも工夫が必要だったかと思います。

緊急事態宣言が発令されるまでは基本的に全社員が出社している体制で、在宅勤務は非常にイレギュラーな場合で実施されていました。コロナ禍に入ったことで当社も在宅勤務を推奨することになり、一時は会社に誰もいないという状況になりました。

在宅勤務の体制下では、採用活動もすべてオンラインで実施していましたので、本来であれば行っていた候補者の方との対面のコミュニケーションやオフィスを見学していただくことができず、結構大変でした。

対応策として我々が社内の様子を撮影したものを候補者の方に見てもらったりしていましたが、社内には誰もいなかったのでコミュニケーションが盛んで和気藹々とした当社らしさを伝えることができない。そこで過去に制作してYouTubeに公開している社内の様子を見てもらって会社の雰囲気を感じてもらってクロージングをする、というような状態でした。

通常とは異なる採用活動でしたが、そんななかで複数社を検討して当社に決めてくれた方から「御社が一番丁寧にいろんなことに答えてくれた」という声をいただきました。コロナ禍にかかわらず、相手が知りたいと思っている情報を相手が欲しい以上にアウトプットして納得感を持ってもらうということは常に心がけてきたことです。例えば「残業時間は何時間くらいですか」という質問は企業側としては答えづらいことですが、そういったことでも細かく、全社の平均とその方の所属が見込まれる部署の平均を出す、という具合に対応してまいりました。悪いことも真摯に情報提供するという姿勢に対して、そうした声をいただけたことは印象に残っています。

在宅勤務を終了し完全出社へ 直接のコミュニケーションから生まれる変え難い価値

――2020年からの約2年間で、テレワークや副業の一般化や働き方に対する価値観の多様化など、企業や働く人たちのそれぞれにとってさまざまな変化をもたらしました。現在、少しずつ平時の生活を取り戻しつつありますが、御社の働き方に対する方向性や採用戦略に変化はありましたか。

人によって本当に価値観が違う世の中になったと感じています。そんな中で当社は2022年9月から全社員が完全に出社という従来の体制に戻しました。テレワークがこれだけ普及しましたし、当社もそれまで在宅勤務を推奨していました。その環境に慣れたがゆえ「在宅で働きたい」という理由で退職される方がいるのも事実です。しかし、これは会社の方針であり、働く場所の多様性を考えれば会社が悪いわけでも、会社を去る方が悪いわけでもありません。これがまさに環境変化なのだな、と感じています。

――「全員が出社する」ということにこだわる理由はどんなところにあるのでしょうか。

やはりコミュニケーションが円滑になるということ、それによるメリットが一番大きいです。もちろんコロナ禍においてはチャットやオンラインビデオ通話など、皆さんさまざまな方法を駆使してコミュニケーションの方法を確立してきていると思いますが、「今話したいんだよね」ということをすぐに話せたりですとか、すれ違いざまに「そうだ、あの件が!」というように瞬発的なコミュニケーションが生まれるのは、リアルに接することの大きなメリットです。

社内でのメッセージのやり取りひとつをとっても、人の温度感を表現するのはなかなか難しいですよね。業務連絡のみのやり取りが冷たい会話に見えてしまう。そういったところにも直接対話をすることの良さがあります。

不確実な時代でも自分の足で丁寧に走っていける人材

――冒頭にもお話しいただきましたが、ゲームの開発会社や配信会社は多数あり、非常に活況です。優秀な人材を求める企業も少なくないですし、求職者の方は競合他社と御社とで悩むこともあると思います。そんな中で御社に決めてもらうために、どのような工夫をされていますか。

他社様と比較していただくために、当社の強みとして二つお伝えしています。まず一つは、当社はグローバル市場で10年以上続く人気のゲームタイトルを複数有しており、安定的に売上収益を維持・拡大することが強みな点です。安定した財政基盤により社員をしっかりと守れるということは第一前提で、さらに新しいことへのチャレンジできる環境があります。新しいゲームの企画にチャレンジできるのもそうですし、PCタイトルやモバイル、マルチプラットフォームなど社内でいろいろな経験ができるという点も強みとして挙げています。

もう一つは、当社の「人の良さ」です。とにかくいい人が多いんです。それは社内を見学していただいて見て感じていただけるところですが、社員の皆さん、コミュニケーションが闊達で本当に和気藹々としているんです。そういった当社の魅力を感じてもらいたいと思っています。

――今後の採用計画はどのように実施していかれるのでしょうか。

当社は来年以降、日本事業を強化していく方向でゲームタイトルをますます増やしていこうとしています。ゲーム業界が激戦の時代を進んでいかなければいけないという状況下で、事業を動かす部署の人員について大幅に増員する予定です。そのため、引き続きスカウトに注力していくことや、リファラル採用も今後は強化していきたいと考えています。

――最後に、今後の採用において御社が求める人材像を教えていただけますか。

人物としては、VUCAと言われる先の見えない世の中、ゴールが決まっていない状況下でも走っていけるような方を採用していきたいと考えています。目標がこれであると決められていないと走り出せない人もいますが、当社が求めているのは自分で目標を決めてそこに向かって走っていき、少し目標がずれていると分かれば自ら道を修正していけるような柔軟性のある方です。

韓国で発足して2003年に日本に本社を移転し19年、当社がここまで長期で会社を存続してこられたのは、先の見えない中でも自らの意思で前に進んでいく、そういう考え方で取り組んできた人たちが作ってきたからなんです。こうしたことをしっかりと発信して、不確実な環境の中でも自分は頑張ると自ら手を上げてくれる人を増やしていきたいですし、そうした方に当社を選んでいただきたいと思っています。

【プロフィール】
寺澤麻衣子(てらさわ・まいこ)株式会社ネクソン 管理本部人材開発チームリーダー
株式会社リクルート他人材コンサルティング企業を経て、現在は株式会社ネクソンにて人事全般を担当。

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