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成績優秀者は「セルフモチベート」がうまい 採用面接者は「学業」についてもっと聞こう

成績が良い=「ガリ勉」はもう偏見

成績が良い=「ガリ勉」はもう偏見

私は今年で50歳、いわゆる団塊ジュニア世代です。大学時代はテスト以外で授業に出る学生は多くなく、アルバイトやサークルなどの課外活動ばかりしている人も珍しくありませんでした(実は私もそうでした)。

「日本の大学はレジャーランド」と揶揄されていた時代です。真面目に授業に出て良い成績を取っている人は、偏見も甚だしいですが「せっかくの自由を謳歌せずに勉強ばかりしているガリ勉」と、必ずしも就活などでは評価されていなかったと思いますし、未だにそう考えている企業人事もいるようです。

成績が良い=「ガリ勉」はもう偏見

その証拠に、企業の採用面接では今でも多くの面接担当者が、アルバイトやサークル、インターンシップなど「課外活動」の話ばかり尋ねます。学業のことをきちんとヒアリングをする面接担当者は、それほど多くはありません。

学業とは単に知識をインプットする受動的な行為であり、それを「ガリ勉」のごとく、いくら一生懸命やっていたからといって、仕事で成果を出せる能力にはあまり関係がない。それよりもキャンパスを飛び出して、自分で何かを能動的に行うことの方が大切、などと考えているのかもしれません。

しかし、実は状況は変わっています。私たちのころとは異なり、今の大学生はみなきちんと授業に出ているのです。学生の本分は学業ですから当然といえば当然ですが、これは今時の学生が真面目になったからだけではありません。文部科学省の方針が変わり、いわゆる「シラバス厳格化」が進んだためです。

要は「ちゃんと授業に出てこういうことを学ばないと、単位は出ません」となったということです。国立教育政策研究所の調査によれば、最近の学生は授業や研究、予習・復習などに1週間で約25時間を使っています。平日平均で約5時間。一方、アルバイトは週10時間未満、クラブ・サークルは約5時間にとどまっています。

ハイパフォーマーは「自分で動機付け」できる

シラバス厳格化の是非は、ここではあえて問いません。ただ、これが今の現実であるとするならば、この状況の中で「学業成績が良い」ということをどう捉えればよいでしょうか。昔であれば「真面目」「勉強好き」と考えてもよいかもしれませんし、競争相手も少ないので比較的簡単に良い成績が取れたかもしれません。

しかし、今は授業に出て勉強するのが当たり前で、出るか出ないかに選択の余地はありません。つまり、今の学生の学業成績は、「やらねばならないこと」「義務」に対して、どれだけ頑張れるかという「能力の結果」とも言えるのです。

実は、義務に対して自分で動機付け(セルフモチベート)して、「どうせやるなら楽しくやろう」と仕事を楽しむことのできる人は、ハイパフォーマー(高業績者)に多いのです。

好きなことを頑張れる人は普通です。ところがハイパフォーマーは、多くの人が「嫌だなあ」「できるならやりたくないなあ」と思うようなことでも(仕事ではこういう場面が多い)、自分で楽しめる意味づけを行ってセルフモチベートし、一生懸命頑張って高い業績が出せるのです。

「セルフモチベート」がうまい成績優秀者を見つけよう

現在私が代表をしている人材研究所と履修データセンターの共同で、GPA(成績の平均点)が上位5%に入る人がどんな人たちなのか調査を行っています。彼らに「なぜ良い成績が取れたのか、取ろうと思ったのか」と聞くと、やはり自らいろいろな意味づけ、セルフモチベートを行っていました。

奨学金や留学の権利の取得を目標におき、そのために成績を上げようとする人。自分の興味・関心となんとか結びつけて授業を選び、学ぶこと自体をエンタテイメントにする人。親や推薦で入学させてくれた母校への恩義で学業への意欲をかき立てる人や、ゲームのように捉えて1番を目指そうと考える人など、内容は様々ですが、それぞれうまく意味づけをしていました。

このように考えると、面接で学業以外のことばかり聞いているのはもったいないと思います。むしろ学業外のことは、自分でやろうとしたことなので頑張るのは当たり前。学業における行動の方が「(やらなければならない)仕事でも頑張れるか」を評価するにはよいかもしれないぐらいです。

コロナで学生の課外活動が制限されて「面接で聞くことがない」と嘆く面接担当者は多いのですが(学生も「言うことがない」と嘆いています)、学業はコロナ下でもやっているはず。面接担当者はどんどん聞いていくべきですし、学生も胸を張って学業での成果を話すべきです。面接の中心テーマが、もっと学業についての話になっていけばよいと思います。

sowa_book【筆者プロフィール】曽和利光
組織人事コンサルタント。京都大学教育学部教育心理学科卒。リクルート人事部ゼネラルマネジャーを経てライフネット生命、オープンハウスと一貫として人事畑を進み、2011年に株式会社人材研究所を設立。著書に『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)、『コミュ障のための面接戦略 』 (星海社新書)、『組織論と行動科学から見た人と組織のマネジメントバイアス』(共著、ソシム)など。

■株式会社人材研究所ウェブサイト
http://jinzai-kenkyusho.co.jp/

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