新潟で石油噴出「石油王?」夢見る若者、地元民は「迷惑」「ウチの敷地で出てほしくない」【現地レポート】 | キャリコネニュース
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新潟で石油噴出「石油王?」夢見る若者、地元民は「迷惑」「ウチの敷地で出てほしくない」【現地レポート】

現場の画像

溢れ出た石油が水面を覆っている。そこに周囲の風景が映りこんでいる。(撮影:箕輪 健伸 以下同)

新潟県新潟市内の某所で、石油が池に湧きだしている。石油といえば「石油王」という言葉があるぐらい儲かるイメージがある。しかし、いざ周辺で聞いてみると、多くの住民が迷惑顔だ。いったい何が起きているのか?(取材・文:箕輪 健伸)

上の写真は、新潟市秋葉区(旧・新津市)の山間にある池の写真だ。山の斜面から池にかけて、黒くなっているのは「石油」のせいだ。池の辺り一帯は強烈なガソリン臭が漂う。正直、10分もいれば気持ち悪くなってしまうレベルだ。

「市には早く何とかしてほしいです」

池の画像

水面が黒くなっている

「石油が出た」と聞くと、アラブの石油王などをイメージし、「金持ちになれる!」などと思う人もいるかもしれない。しかし、住民の話を聞くと、どうやらそう単純な話ではないらしい。「どうにかしてほしい」と切実な声を上げるのは、池のすぐ近くに住む40代女性だ。

「市の担当者が言うには、これくらいの産出量ではとてもじゃないけれど、採算が取れないらしいです。石油の質も悪くて、火も着かないのだと言っていました。それにこの臭いでしょう?市には早く何とかしてほしいです」

金にもならず、臭いだけ。これではストレスが貯まるのも当然だ。

同じ地域に住む60代男性は次のように心配する。

「もし自分の敷地内で石油が出たら、現段階では片づける費用はすべて住民の自己負担だと聞いてるよ。量によっては何十万円、何百万円かかってしまうんじゃないかと本当に心配だよ」

このように、話を聞いた現地住民は一様に迷惑がっている。ただ、場所を少し移すと、望みを捨てていない人もいる。新潟市内の場外ボートレース場で話を聞くと、人々の温度感はガラリと違った。簡単にまとめると、「石油が出たら、周辺住民は金持ちになれる」と信じる人が多かったのだ。

現場の画像

市から委託を受けたと見られる業者がポンプで石油を吸い上げている。

たとえば、桐生ボートレース場のメインレースを熱心に予想していたTさん(60代男性)は、「庭を掘ってみた」と語る。

「何か月か前から突然石油が湧いて出たというのが話題になっててさ、うちの庭で出たら『億万長者だ』と思って、掘ってみたわけ。2日くらいかけて。出なかったけどね、いつか出るかもしれない。カミさん?もう諦めているよ、俺のやることは」

Tさんは、庭から石油が出たら配送の仕事はやめる、しかし場外ボートレース場やパチンコ店への「出勤」はやめないと語っていた。

石油が出たと聞いて、もう仕事を辞めたという猛者もいた。開店前のパチンコ店に並んでいたSさん(20代男性)がその人だ。

「新津に石油が出たって聞いて、反射的に会社を辞めちゃいました。理由?でかい油田を掘り当てたいから。会社に行っていたんじゃその時間が捻出できないでしょう?」

「会社に行く時間はなくても開店前のパチンコ屋に並ぶ時間はあるのか」という質問は胸に留めておいた。それに、油田を掘り当てると言っても採掘には法律やら権利やら、さまざまなハードルがあるようだが……。とりあえずのところは健闘を祈りたい。

かつて「新津油田」という油田があったこの地域。江戸時代以前から平成にかけて石油の採掘が行われ、1917年(大正6年)には産油量国内最多となった。この明治~大正期には、中野貫一という人物が最初の試掘から29年の歳月をかけて商業規模の油田を掘り当て、「石油王」と呼ばれるまでになった。もしかしたら、新潟から「第二の石油王」が生まれることもあるのだろうか……?

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