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超巨大台風が来たら新宿区でも浸水被害!? 高潮警報の対象に加えられた背景

都庁画像

東京都のシミュレーションでは……

海に面していない新宿区でも高潮で浸水被害が出る可能性――。気象庁は5月26日、高潮警報の対象となる地域を拡大し、全国21の自治体を加えた。

高潮とは、台風や強い低気圧によって海面が異常に上昇する現象。時には堤防を越えた海水が押し寄せて大きな災害をもたらすことがある。しかし、今回、海から距離があるように思える新宿区や目黒区も警報対象に追加された。一体どういうことなのか。(文:昼間たかし)

かつて東京は何度も高潮被害に見舞われてきた

防災の行き届いた現代の日本では、津波に比べ高潮はいまいち恐ろしさを知られていない。だが、過去の歴史を振り返ると東京のような低地が広がる地域では津波よりも発生頻度が高く警戒すべき災害である。

今ではタワーマンションが並ぶ中央区や港区の湾岸部には、あちこちに水門や防潮堤の設備が備えられている。この地域はそもそも、明治時代になってから埋め立てで広がった土地で、何度も高潮の被害を受けてきた。『朝日新聞』1911年7月27日付朝刊では、こんな被害を報じている。

海嘯月島を襲ふ
工場、人家を一嘗め
米と泥と糠の混交

大暴風雨はついに海嘯を来し月島一号地二号地の東南海邊の堰防一面を破壊し尽くして急激に登場を氾濫せしより一面に浸水し見る見る内に床上一、二尺の高さまで浸水を蒙る

1尺は約30センチ。大したことない水位に思えるが、深さ30センチの膨大な水が瓦礫と共に押し寄せれば人家はひとたまりもない。1917(大正6)年10月1日の高潮は満潮時に発生したことから東京湾全域に被害が及び、海沿いには無数の死体が転がっていたと、今でも語られてる。現在、湾岸エリアに防潮施設が広がっているのは、過去の災害を反映したものだ。

多摩川・荒川だけでなく神田川も氾濫 都の衝撃シミュレーション

では、そんな湾岸の災害と思われてきた高潮の警報対象地域に、なぜ今回、新宿区と目黒区が加えられたのか。

経緯を見ていくと、まず2015年に水防法が改正され各都道府県に浸水想定区域を公表することが義務づけられた。これを受け東京都は2018年に「高潮浸水想定区域図」を発表。これがまさに、高潮の被害が内陸部にも及ぶという衝撃的なものだった。

シミュレーションでは、まさに最悪の事態を想定している。日本に上陸した最大規模の台風として知られる室戸台風(1934年、910ヘクトパスカル)と同規模の台風が東京湾周辺を通過。高潮などによって堤防が決壊する。さらに排水施設が水没や停電で機能停止する可能性も考慮に入れた。こうした諸々の状況を想定すると、23区のうち17区で高潮による浸水が発生するというのだ。

河口部の潮位が上昇すれば内陸の河川でも氾濫が起こる可能性がある。浸水想定区域図では、多摩川・荒川のみならず神田川・目黒川も氾濫し、新宿区や目黒区でも高潮の被害が発生している。

神田川沿いでは新宿区の地下鉄江戸川橋駅から飯田橋駅まで広い範囲が1メートル以上浸水。千代田区でも、JR水道橋駅から地下鉄神保町駅あたりまで沈む。

目黒川沿いでは目黒区の東急線不動前駅周辺が浸水する。そのまま川に沿って品川区のJR五反田駅周辺も沈む。港区では海沿いだけでなく内陸の地下鉄麻布十番駅周辺も浸水域だ。多くの地域では地下も利用されているから人的被害が出る可能性も十分ある。今回の気象庁の高潮警報対象地域の拡大は、これを受けたものだ。

シミュレーションのような超巨大台風が東京湾周辺を通過するのは1000~5000年に1回だというが、高潮の危険性は知っておいてもいいだろう。自分が住んでいる地域が浸水想定区域に入っていないか、念のため確認しておきたいところだ。

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