高プロ推進する竹中平蔵「適用する人増やさないと日本経済は強くならない」 ネットでは批判殺到「二度と騙されない」
竹中氏はこの制度の必要性について、「かつての工場労働のように、1時間長く働けばその分生産が増えるという仕事ではなく、今私たちが直面している仕事のいくつかはもっと柔軟に時間ではなく成果で認められなければならないということ」と指摘した。
製造業が主流だった時代は、労働時間に応じて賃金を支払うということが妥当だった。しかし情報通信業等が優位になった現代では、労働の成果に対して賃金を支払う方がよいという主張だ。
同制度は「多様で柔軟な働き方」を実現すると喧伝されている。しかし法政大学の上西充子教授は、「間違った謳い文句だ」と指摘する。
「労働時間の規制というのは、使用者を縛るものなのでそれを外してしまうということは『柔軟な働かせ方』ができるということ。働く人からすると労働時間が自由になるわけではなくて、『この時間は働け』というような命令は残ります」
同制度には健康確保措置として、4週間で4日以上かつ年間104日の休日確保が定められている。加えて、勤務間インターバル、労働時間上限、2週間の連続休暇、臨時の健康診断のいずれか1つが義務付けられる。
この点について竹中氏は、「年間104日の休みというのはほとんど完全週休2日制です。4週間で必ず4日取るというのはものすごく厳しい規制です」と評価していた。一方、日本労働弁護団の棗一郎弁護士は「これで労働者の健康が守れる保証はない」と指摘する。
「4週間で4日ということですが、4週間28日のうち4日間をまとめて休ませれば、残りは24時間24日間働けという業務命令も合法になるのでブラック企業が利用しないとも限らない」
「派遣法も最初は専門職など極一部の人たちだけに適用されていた」
現在は年収1075万円以上と対象者が限定されているが、竹中氏からは「これを適用する人が1%ではなくもっともっと増えていかないと日本経済は強くならない」と対象の拡大を求めるような発言もあった。
放送終了後、ネットでは竹中氏への批判が殺到した。年間104日の休日という健康確保措置についても、不十分だという声が相次いだ。
「週休二日だけで盆暮れ正月はなく、また、最低でも何日置きに休ませろという運用に関する規定もないゴミのような規制だ」
「104日休ませれば、何時間働かせても問題なし。どう考えてもブラックだろう」
竹中氏が小泉政権で推進した派遣法の規制緩和で非正規労働者が増え、格差が拡大したことを指摘する人も多かった。
「派遣法も、初めは専門職など極一部の人たちだけに適用されていました。二度と騙されない」
「こいつのせいで派遣切りやらワープアやらどんだけ悲劇が生まれたか皆さんご記憶ですよね」
同制度についてはかねてから反対が根強くある。しかし同制度を含んだ「働き方改革関連法案」は5月31日、衆議院本会議で可決され、今国会で成立する見込みだ。