世田谷区・まんがワークショップの騒動巡り「ネット私刑」活発化 「被害者への共感はわかるがそれと晒し上げは別」識者が注意喚起 | キャリコネニュース
おかげさまで9周年 メルマガ読者数
65万人以上!

世田谷区・まんがワークショップの騒動巡り「ネット私刑」活発化 「被害者への共感はわかるがそれと晒し上げは別」識者が注意喚起

『岡崎に捧ぐ』で知られる漫画家・山本さほさんが、世田谷区のイベントに講師として参加した際、職員から杜撰な対応を受けたとする騒動。世田谷区は10月4日、公式サイトに謝罪文を掲載した。

10月5日に山本さんはツイッターで、担当職員の上司2人から謝罪があったことを明かした。しかし、ネットでは、職員本人からの謝罪がなかったことに不満を漏らす人も少なくない。中には、職員の本名や顔写真などを特定し晒そうとする人も出ている。

ITジャーナリストの井上トシユキさんはこの動きについて、ツイッターの投稿を見る限り「担当職員の対応が適切でない」とした上で、「その問題と、晒し上げるのは別問題」と警鐘を鳴らす。

人権侵害で刑事事件として訴えられる可能性もある

ネット私刑を行う人とは?

ネット私刑を行う人とは?

井上さんは「被害者に共感し、加害者を『ひどいやつ』と思う気持ちは分かる」というが、「相手のプライバシーを侵害することはもっての他。人権侵害で刑事事件として訴えられる可能性もあります」とコメント。ネット上では、山本さんが担当職員を特定できる表記で漫画を書いたことに問題がある、という声も上がっているが、

「山本さんは相手を匿名化して書いているし、それこそ『担当職員に罰を与えてくれ』と言ったわけではない」

と、忖度が過剰だと指摘した。

「ネット私刑」が起きるのは、当事者の望みに関係なく被害者に勝手かつ過剰に忖度をして情報を拡散する「道徳自警団」が増えているためだと言う。

「ストレス発散のために『明らかな悪人』を叩く人もいますが、『悪いヤツが罰を受けないなんておかしい、誰もやらないなら自分が懲らしめてやる』と本気で思っている、自警団・仕置人気取りの人が行っているとも考えられます」

背景に格差社会「叩いても文句を言われない奴見つけると徹底的に叩く」

現代は「正規雇用か否か」「同じように生きていても給与が違う」など格差が目立つケースが多く、不満を抱きやすいとしている。そのため「叩いても文句を言われない悪いヤツ」を見つけると、日々の鬱憤を晴らすように徹底的に「ネット私刑」を行うという。

「しかし行き場のない不満を抱える人はいなくはなりません。今後もネット私刑は無くならないでしょうし、チャンスがあれば叩く人がいると思います。しかし日本は法治国家なので、他者に憤慨しても無関係な自分が勝手に制裁を加えてはいけません。また法で裁くまでのものでないなら、当事者同士で解決するのが一般的です」

近年は、「ネットに晒されたり誹謗中傷を受けたりすると相手は傷つく、ということを気にしない、または知っていても鈍感なフリをしている人が多くなった」とも振り返る。現代社会の闇は深い。

【PR】注目情報

関連記事

次世代バナー
次世代バナー

人気記事ランキング

  1. 学童保育でワーママ悲鳴「貯金尽きた」「受入人数多過ぎで目が届いていない」 保育園だけじゃない預け先の悩み
  2. 落合陽一が語るAI時代の生き残り方 大事なのは「自分の収入と生み出している価値の差をしっかり把握すること」
  3. 上司に出す印鑑は「左に傾ける」のがマナー? ネットは「狂ってる」「社畜魂だな」と大批判
  4. 若新雄純氏、「30歳成人式」を提唱 「18歳で準成人、30歳で成人と段階を踏むほうが、今の社会に合っている」
  5. 「店員がマスクして接客ってあり?」に反論相次ぐ 「食品扱う職業はマスクしてほしい」「不特定多数のお客様が来るから風邪予防もある」
  6. 1人暮らしにありがちなこと 「郵便受付がいつの間にかパンパン」「冷蔵庫内の賞味期限切れが多発する」
  7. 【新型肺炎】野田洋次郎、マスク買い占めに苦言「過剰反応は備えではない」 ファンからは"買えない"報告相次ぐ
  8. コンサルタントが働きやすい企業2位デロイトトーマツ「昇給は毎年」、3位アクセンチュア「有休と別に年160時間の傷病休暇」
  9. ソニーが「アロマスティック」体験イベントを開催 「香りを持ち運ぶ」新しいライフスタイルを提案
  10. 「レジでお金を投げてくる客」ってなんなの? 店員の心情を的確に表現した動画が話題

アーカイブ