港区・白金台の保育施設計画に「公園なくすな」と反対運動 「住民が本当に恐れているのは道路建設の遅れ」と関係者 | キャリコネニュース
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港区・白金台の保育施設計画に「公園なくすな」と反対運動 「住民が本当に恐れているのは道路建設の遅れ」と関係者

港区が、来年4月の開設を目指していた臨時の保育施設を、一部住民からの反対を受け延期した。

区は、都営三田線・東京メトロ南北線の白金台駅から徒歩4分のところにある「白金台3丁目遊び場」に、待機児童問題の緊急対策として「白金台保育室」を作る計画だった。30日放送のフジテレビ「とくダネ!」、「グッディ!」で報道された、今月5日に開かれた住民向け説明会の音声では、保育室開設に関する区の説明の不十分さを糾弾する声や、「この場所に作らなくてもよいのではないか」と、代替地を求める声が多く出ていた。

港区は今月、南青山の児童相談所開設が周辺住民から反対を受けたことで注目されている。ネットではこの情報と合わせ、「港区は子どもに冷たい」という声も多く出ていたが、キャリコネニュースが関係者に取材したところ、報道で広まっている印象と現状にはやや乖離がある可能性も見えてきた。

建設費用2億7000万円「今ある子どもたちの遊び場を潰してまで作る必要があるのか」

画像はグーグルマップのキャプチャ。当該の土地は、白金台駅から徒歩数分のところにあります。

画像はグーグルマップのキャプチャ。当該の土地は、白金台駅から徒歩数分のところにあります。

フジテレビの報道では、説明会で反対住民から上がった声として、

「樹齢100年以上の木を伐採してほしくない」
「公園に設置してあるトイレがなくなると高齢者が困る」
「今ある子どもたちの遊び場を潰してまで保育施設を作る必要があるのか」

などを紹介していた。大きな論点として上がったのは、施設の利用期間の短さと建設費用の高さだ。

白金台保育室が建てられる予定の「白金台3丁目遊び場」の土地は、2023年には環状4号線が通ることが計画されている。道路開通に合わせ保育室は閉鎖する必要が出る。道路計画が変わらなければ、施設を使えるのは最大でも4年程度になる。

建設費用の高さもやり玉に挙がっている。保育室は2階建てで、建築面積は約419平方メートルの予定だ。プレハブをリースする計画だが、撤去費用も含め2億7000万円かかるという。

説明会ではこうした事情から、「税金の無駄遣いだ」「2億円もかける必要があるのか」と批判が出ていた。ネットでも、「4年くらいしか使われないかもしれないなら、何億もかけて公園潰してまで作らなくてもいいんじゃ」と、住民らの意見に理解を示す人もいる。

公園は、保育室が出来なくても道路建設で取り壊される予定

住民らの「公園を壊してまで作る必要はない」という声からは、区が保育施設をつくるために公園の取り壊しを考えているという印象を受ける。しかし、事情に詳しい関係者は、「区は、あらかじめ取り壊しが決まっている公園の土地を、期間限定で保育室として利用したいという趣旨だった」と話す。

港区が白金台保育室の開設を計画を発表したのは2017年4月で、東京都の道路計画より後になっている。どのみち壊される予定なら、道路が作られるまでの間だけ区で活用したい、という順序だったようだ。

また、「数年で壊すのはもったいない」という意見は、そもそも区が作ろうとしている保育施設の性質上、仕方ないことと言えそうだ。区が予定している臨時の保育施設「保育室」は、保育園とは違い、増え続ける待機児童解消策として港区が独自に設置している施設を指す。

2018年10月31日時点で青南保育室、新橋保育室など区内に12箇所設置されているが、全て暫定的な施設でいずれも利用期間が数年と短い。白金台保育室の利用期間が特別短いわけでない。

建設費用が高すぎるという指摘も、正しいかどうか疑問が残る。区の資料によると、0歳児~3歳児37人を定員に2013年に開設された愛宕保育室は、建設費用が1億1655万円だったという。白金台保育室は、開設初年度は0歳~3歳児51人、その後4歳~5歳児定員と合わせ、最終定員100人を超える施設だ。認可保育園2園分程度の大きさになるため、児童数や広さを勘案すると、他の保育室と比べて割高とは考えにくい。

「高齢者の目には『保育施設ばっかり作って』と映るのかもしれない」

その上でこの関係者は、「反対している人達の本当の理由は別にある」と指摘する。

「中心になって反対しているのは隣接する団地に住む高齢者たちです。団地は環状4号線に近接することになるため、分譲賃料の上昇が見込めますし、防災上の理由からも道路計画に賛成しているんです。公園がなくなることも了承しています。彼らが本当に懸念しているのは、一時的とはいえ保育室が建設されることで、道路計画に遅れや支障が出るのではないかという点です」

説明会には保育室の建設ではなく、都の進める道路工事計画に反対する人達も出席していたという。「『公園を守れ』『木を切るな』って、公園がなくなるのはほとんど決定事項のようなことなのに。この議論はなんだったのかと思います」と首をかしげていた。

「港区は大規模なマンションが多く建ち人口も増えています。これに合わせて保育施設も増加しているため、高齢の方々の目には『保育園ばっかりで自分たちのことは何もしてくれない』と映るのかもしれません。待機児童問題も、新しく入ってきた住民と昔からの住民の方々が交流する機会がないため、そもそも問題があることが知られていないように感じます」

港区は、昨年4月時点で待機児童が164人と、一昨年の同じ時期より100人増加している。「グッディ!」の報道によると白金台地区には、保育を必要とする未就学児が約320人いるにも関わらず、現状では認可保育園が1つしかないという。

区の担当者はキャリコネニュースの取材に対し、白金台地域の保育室建設について、19か所を検討したという。しかし、「他の場所については活用中だったり、敷地が狭いなどの理由により、施設を整備できなかった」と説明している。

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