宮崎駿氏も「こういうトコで死にたい」 高齢者と園児が交流する「幼老施設」が話題 | キャリコネニュース
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宮崎駿氏も「こういうトコで死にたい」 高齢者と園児が交流する「幼老施設」が話題

江東園のホームページよりショートムービー「おともだち」

江東園のホームページよりショートムービー「おともだち」

朝のニュース番組「あさチャン!」(TBS)でユニークな施設が紹介され、ツイッターなどで話題になっている。いわゆる「幼老施設」といって、高齢者施設と保育園が併設された場所が増えているというのだ。

番組で紹介されたのは、東京都江戸川区にある江東園(こうとうえん)。以前は別々に建てられていた江戸川保育園を、改修を機に「併設」という形で建て直したのだという。

園児と高齢者、保育士がみんな笑顔になる

園児と高齢者の朝は「おじいちゃん、おばあちゃん、元気ですかー」「元気でーす」という元気なあいさつから始まる。体操も合同で行い、ほとんど毎日いっしょに遊んでいる。

高齢者は、園児たちにお昼ごはんを食べさせたり、1歳未満の乳児のおむつを保育士と一緒に換えたりする手伝いもする。保育士は「おむつ換えをやってくれて、すごく助かっています」と喜んでいる。園児や高齢者も、

「おじいちゃんが好き。笑うところ!」
「なんかこうやって子どもが来るとホッとする。うれしいよなぁ」

と、お互いがとても嬉しそうだ。

高齢者施設と保育園を併設するメリットはいくつかある。併設によってスペースが生まれ、待機児童を多く受け入れられるようになること。かつての大家族のように、保育士以外にも目が行き届くようになること。高齢者も園児といっしょに遊ぶことで元気がわくことなどだ。教育学者の斉藤孝さんもこう話す。

「子ども時代にいちばん大事なのは、情緒ですからね。情緒は人間関係の中で一番培われますから。子どもと出会うと、お年寄りもすごく元気が出ますよね」

「崖の上のポニョ」の世界を連想する人も

「虫眼とアニ眼」では宮崎監督の理想郷がスケッチされている

「虫眼とアニ眼」では宮崎監督の理想郷がスケッチされている

番組では保育園のほか、中学校や学童保育が高齢者施設に併設された例も紹介された。この番組でそのような施設の存在を初めて知った視聴者も多いようで、ツイッターやフェイスブックなどでは数多くの書き込みが寄せられている。

「保育士の負担も減るし、幼児は献身性が身に付くし、高齢者は生き甲斐にもなるだろうし。win-win-winみたいな感じだね」
「別々にするよりいいに決まっている。昔のコミュニティはみなそうだった」
「じいばあが近くにいない子にとっても良さそう。 施設のおじいちゃんたちも楽しそうだし、子供たちも先生以外に甘えられる大人がいて楽しそう」

なかには「ポニョの世界じゃん!」と、宮崎駿監督のアニメ映画「崖の上のポニョ」を連想する人もいた。主人公・宗介の通う保育園はデイケアサービスセンターの隣にあり、宗介ら園児たちは、センターの高齢者たちといつも交流している。

実はこうした「幼老施設」の構想は、以前から宮崎監督の頭の中にあったようだ。「ポニョ」の公開より6年も前の2002年に出版された「虫眼とアニ眼」(徳間書店)という書籍の巻頭には、宮崎監督が「妄想」する理想郷「イーハトーブ町」のスケッチが詳細に描いてある。そのなかに出てくるのが「保育園と地つづきでホスピスを!」という提案だ。

簡単な木の柵だけで囲まれた開放的なホスピスに、保育園の子どもたちが「侵入」してくる。砂でつくったおダンゴを高齢者にプレゼントする女の子や、「おじいちゃん、まだ死なないの?」「ハハ、もうジキだなぁ…」と子どもならではのストレートな質問をする男の子が交流する様子が描かれている。

宮崎監督「天井の蛍光灯みながら死ぬのヤダ」

本書に描かれた絵の中で、宮崎監督はこうつぶやく。

「オレ、こういうとこで死にたい。管だらけになったり、天井の蛍光灯みながら死ぬのヤダ」

宮崎監督は、こうした発想の根幹にある考え方として「生活のあり方をかえないとこの文明は亡びる」「家をかえよう町をかえよう。子どもたちに空間と時間を!」という危機感があることを同書で示している。

今回の「幼老施設の広がり」を見ると、宮崎監督が考える「生活のあり方」に少しずつ近づいている部分もあるのかもしれない。

あわせてよみたい:弘兼憲史氏「イクメン部下は仕事から外す」で炎上

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