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「銀行を超えたテックカンパニー」目指す 住信SBIネット銀行が成長分野のキャリア採用を強化

住信SBIネット銀行 執行役員 人事・データサイエンス担当の酒井剛士さん

住信SBIネット銀行 執行役員 人事・データサイエンス担当の酒井剛士さん

住信SBIネット銀行は、2007年にインターネット専業銀行として創業後、ユニークな進化を遂げてきました。2015年に住宅ローン販売を開始し、2020年には日本初のフルバンキングBaaSサービスとして「JAL NEOBANK」をリリースしています。

2023年に東証スタンダード市場へ上場を果たし、9期連続で最高益を続ける同社は、いまどのようなポジションで、どのような人材のキャリア採用に注力しているのか。同社執行役員 人事担当の酒井剛士さんに話を聞きました。(取材日:2025年4月25日。文・構成:キャリコネニュース編集部)

預金残高10兆円超。成長するデジタルバンク事業

住信SBIネット銀行 執行役員 人事・データサイエンス担当 酒井剛士:早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。大手銀行で個人営業、リテールビジネス企画、市場運用・ALM業務、海外駐在を経て、人事部で人事業務全般の責任者を務める。2024年より現職。

住信SBIネット銀行 執行役員 人事・データサイエンス担当 酒井剛士:早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。大手銀行で個人営業、リテールビジネス企画、市場運用・ALM業務、海外駐在を経て、人事部で人事業務全般の責任者を務める。2024年より現職。

――御社は現在どのような事業を行っているのでしょうか。

当社は「銀行を超えたテックカンパニーを目指す」という経営方針を社内外に掲げ、現在4つの事業を展開しています。ネット銀行として物理的な店舗を持たない分、テクノロジーを最大限に活用することで、少ない人数でも高い生産性を実現し、伝統的な銀行とは異なるビジネスモデルで成長している点が強みです。

1つ目は、中核事業のデジタルバンク事業です。最先端のテクノロジーを用いたフルバンキングサービスを提供し、業務粗利益の約9割を占めています。口座数は2025年1月現在で800万を超え、預金残高も2024年末に10兆円を突破しました。これは、大手地方銀行に匹敵する規模です。

成長を支えているのは自社開発のアプリで、優れたUXでお客様から選んでいただくことに徹底的にこだわり、国内外の外部機関による顧客満足度調査にて高い評価をいただいています。例えば、Forbesの「World’s Best Banks」では7年連続で日本No.1、CNBCの「Best Banks Asia-Pacific」では第1回調査で日本No.1ほか、さまざまな外部機関調査で高い評価を得ています。

住信SBIネット銀行の事業概要

住信SBIネット銀行の事業概要

2つ目のモーゲージ領域は、住宅ローンを提供しています。デジタルバンク事業などで集められた預金のほとんどは住宅ローンの貸出に活用されており、2023年度の住宅ローンの新規実行額では国内トップの実績を誇ります。

当社の住宅ローン実行額は、2023年度は1.7兆円、2024年度も1.93兆円とたいへん多くのお客さまにお選びいただき、ご利用いただいております。国内全体の住宅ローン新規実行額が年間約20兆円であることから、市場シェアは8~9%に達する水準です。

3つ目のBaaS事業(Banking as a Service)は、銀行機能を他社に提供するビジネスモデルです。現在、大手百貨店や家電量販店、鉄道会社など22社の提携パートナー企業に対し、「NEOBANKⓇ」というプラットフォームを通じて預金・融資・決済などのフルバンキングサービスを提供しています。

4つ目は、THEMIX(テミクス)事業です。非金融ビジネスへのチャレンジとして、企業の広告・マーケティングDX支援や、環境・一次産業領域でのカーボンクレジット創出、林業DXによる脱炭素・地域活性化支援など、非金融分野を対象とした新規事業を展開しています。社会課題を解決するプラットフォーム事業としても位置づけています。

AIと代理店モデルで住宅ローン市場トップシェア

――御社はネット専業銀行で支店を置いていませんが、住宅ローン市場のトップシェアをどのように獲得したのでしょうか。

当社の強みは、代理店モデルによる販売網を構築している点と、住宅ローン審査の9割をAIが仮審査から本審査まで行っている点です。

多くのお客様は不動産物件を実地で確認後に対面での申込みを希望しており、代理店を活用してお客様に寄り添った体制を整えています。これにあわせて、すべての審査をAIで迅速かつ正確に行う組み合わせで成功しています。

また当社には、住宅ローンの申し込みから実行までの手続きをデジタルで一元管理できる「かんたん住宅ローン」というサービスがあります。不動産会社や銀行代理店の担当者、ペアローンのパートナーなど、手続きに関わる全員が同じプラットフォームを使い、協力しながら手続きを進められます。

2024年からは、国内銀行で初めてLINE公式アカウントを活用した住宅ローン手続きも提供しています。オンラインからの申込の場合、LINE上で仮審査の申し込みから必要書類の提出、正式審査、融資実行まで、すべての手続きが完結します。審査状況の確認や手続きのリマインドもLINEの通知で受け取れ、忙しい方でもスマホ一つで簡単・迅速に住宅ローンを進められます。

このような業務効率化のメリットをお客様に還元すべく、業界最低水準の金利での住宅ローン提供を実現しています。お客様の支払い負担が減れば、その分を教育資金など他の目的に活用できますので、業務効率化がお客様の豊かさにつながる好例といえます。

金融機関の中でいち早く自社型AIの開発を推進

金融機関の中でいち早く自社型AIの開発を推進

――AIの業務活用がかなり進んでいるようですね。

顧客の取引データを分析して融資判断を行うトランザクションレンディングをはじめ、マーケティングや不正検知など多岐にわたる業務にAIを実装しています。

住宅ローン審査では、通常であればベテラン社員が数十分かけている与信判断を、AIが1秒未満で完了しています。興味深いことに、AI審査の利用率が高まるほど期待損失率(貸出債権に対する将来損失見込みの割合)が下がっており、0.015%まで大幅に改善しました。これは人間よりもAIによる審査の方が高精度である可能性を示しているといえます。

また、最近の取り組みとしては、昨年8月からカスタマーセンターに生成AIによる電話自動応対を導入しています。電話をかけてくださったお客様をお待たせすることなく、バーチャルアシスタントが音声で自動応対する仕組みを一部の問い合わせ窓口で開始しています。

社内業務にもAIを活用し、金融事業特有の複雑なデータ集計や要因分析、グラフ作成などを、AIとのチャットを通じて誰でも簡単かつ迅速に行えるアプリ「Shadow」を内製開発して社員に提供しています。

パートナー企業との協業で拡大するBaaS事業

――BaaS事業のビジネスモデルについて詳しく教えてください。

「NEOBANK」は、当社の銀行機能をパートナー企業に提供し、パートナー企業の本業に資する新たな顧客接点となる金融サービスの開発を支援するというビジネスです。収益モデルは、提携パートナー企業が獲得した口座数に応じて発生するアカウント手数料を毎月受け取り、顧客が振込や決済、融資などの取引時に発生するトランザクション手数料等をパートナー企業との間で分配するため、パートナー企業においても新たな収益を受け取ることができます。

ただし、このサービスのユニークな点は、それ以外の付加価値にあるといえると思います。多くの提携パートナー企業は金融ビジネスそのものをやりたいのではなく、目的はあくまでも自社顧客に新たな価値を提供することで本業をさらに成長させることにあります。

提携パートナーは上場大手企業を中心に拡大中(2025年3月期通期 決算説明会プレゼンテーションより)

提携パートナーは上場大手企業を中心に拡大中(2025年3月期通期 決算説明会プレゼンテーションより)

例えば、日本航空(JAL)さまとの提携では、「JALマイレージバンクアプリ」を当社が受託開発し、JAL NEOBANKの機能も組み込んだアプリをご提供いただいています。さらに「JAL NEOBANK」は、お客様が住宅ローンを利用したり、外貨預金や定期預金などの取引をするとマイルが貯まるなど、JALさまならではの仕組みで独自性のあるサービス展開をすることにより、お客様がJALを利用するインセンティブを高めることが期待できます。

また、北海道日本ハムファイターズさまとの協業によりご提供している「F NEOBANK」は、ファンビジネスと銀行取引を結びつけています。例えば「F NEOBANK」ユーザーなら、Fビレッジ公式アプリの会員証を提示いただくことで、エスコンフィールドHOKKAIDOに先行入場ができる特典は、ファイターズのファンにとっては非常に価値のあるものです。このように、金利以外の価値で差別化を図れる点がBaaSの面白いところです。

成長分野で求める人材像と採用方針

――現在どのようなキャリア採用に注力していますか。

現在注力している採用領域は、BaaS事業、デジタルバンク事業の企画・マーケティング部門、そしてITエンジニア部門です。

次の成長エンジンとして有力な事業であるBaaS事業については、パートナー企業のブランドを使って預金を獲得できる強力な武器になりますので、積極的な採用を行っていきたいと考えています。

BaaS事業で求めているのは、大手企業の意思決定ラインを意識したアプローチができる方です。業種問わず法人営業の経験者が望ましいですが、お客様に金融機能を提供するサービスなので、銀行出身者のほか、証券会社や保険会社、カード会社など金融業界での経験を持つ方を特に歓迎しています。

また、BaaSはコンサルティングファームでの経験者も募集対象としています。これは、BaaSがパートナー企業のカスタマープログラムに貢献するコンサルティングビジネスであり、銀行機能を使ってお客様の課題をどう解決するかを提案していく仕事だからです。

データサイエンス部では業務支援アプリを内製開発

データサイエンス部では業務支援アプリを内製開発

今後も生成AIやデータサイエンティストといった先進領域の人材についても積極的に採用を進める予定です。

デジタルバンク事業では、銀行の企画部門などでの実務経験を持つ方のほか、既存の銀行業界とは異なる視点も求められるため、他業界でのマーケティングに実績を上げてきた方も歓迎しています。

ITエンジニア部門では、テックカンパニーとしての当社を支えるシステムエンジニアやインフラエンジニアのほか、SIerやITベンダーでの経験者を中心に、PM(プロジェクトマネージャー)やPL(プロジェクトリーダー)として活躍できる人材を求めています。

当社では全社員の約3割がエンジニアで構成されており、先端技術の内製化にも積極的に取り組んでいます。また、金融特有の複雑なデータ処理を支えるシステムの構築など、スケールと社会的意義のある開発テーマに携わることができます。

テクノロジー志向と公正を重視したカルチャー

――御社ではどのような企業文化を大切にされていますか。

当社は「テクノロジーと公正の精神で、豊かさが循環する社会を創っていく。」というコーポレートスローガンのもとで、さまざまな社会課題解決型ビジネスを推進していますので、この考え方を理解してもらうことが前提となります。

当社の特徴は、銀行でありながらベンチャー気質が強いことです。スピード感を持って新しい価値を生み出し、お客様に提供することにこだわっています。また、チームワークを重視しており、ほとんどの業務がプロジェクト型で進められるため、様々な人と協働する力も求められます。

「テクノロジーで開拓する。」というメッセージも特徴的です。多くの銀行が「金融サービスの提供を通じて…」というフレーズを使うのに対し、私たちは「テクノロジー」を明確に打ち出しています。このメッセージングの違いも、私たちのユニークな立ち位置を表しています。

住信SBIネット銀行の「6つのバリュー」

住信SBIネット銀行の「6つのバリュー」

また、当社では「6つのバリュー」という行動指針、具体的には「Integrity(公正)」「Curiosity(好奇心)」「Flexibility(臨機応変)」「Agility(即断即決・即実行)」「Passion(情熱)」「Leadership(率先垂範)」を策定し、社員にはこれを意識して行動してもらっています。

この行動指針は人事評価制度と連動しており、各バリューについて自分がどれだけ行動発揮できたかという軸で評価し、還元する仕組みになっています。これによって、バリュー自体が社員に浸透していく効果があります。

――採用においてもカルチャーフィットはやはり重要でしょうか。

カルチャーへの共感度の高い人は、入社後に活躍してくれる場合が多いと感じており、コーポレートスローガンやバリューとの親和性や共感性は重視しています。単純な金銭報酬だけでなく、自分がやっていることの意義づけができるため、自発的に動いてくれる方が多いです。

「6つのバリュー」にある通り、当社は機動性、柔軟性、スピード感が武器なので、年齢や肩書きに関係なく、こうした価値観に共感できる方は活躍できる環境があります。すべてのバリューを持っている方はなかなかいらっしゃいませんが、どれかに強く共感する方や、強く当てはまりそうな方は活躍できる可能性が高いと考えています。

キャリア入社が9割超。「ガラスの天井」はない

――キャリア入社組の活躍をサポートする取り組みはありますか。

まず、当社はキャリア採用の比率が高く、全社員に占めるキャリア入社者の割合は9割を超えます。新卒採用が中心の一般的な銀行とは異なり、キャリア採用がマジョリティを占めていますので、入社時の疎外感を感じることはないと思います。

キャリア入社組の「ガラスの天井」も存在せず、部長クラスもキャリア採用者の方が多いです。入社後すぐに活躍できる機会が用意されており、自分のキャリアを積極的に形成していける点が、特に若手層には魅力となっています。

キャリア採用の年齢層も様々です。20代後半から30代前半が中心ではありますが、特に専門性の高い職種は30代後半や40代の方も活躍しており、特定の経験や専門分野でのスキルを持った方をジョブ型採用で迎え入れています。

住信SBIネット銀行のオフィスより(同社提供)

住信SBIネット銀行のオフィスより(同社提供)

当社の特徴として、年功序列ではないという点があります。一般的な銀行員に「あの人は何年目ですか?」と聞くと、入社年次や出身大学がすぐに返ってくることが多いのですが、当社の場合は社員同士がお互いの年齢も知らないケースが多いです。

若手の抜擢も積極的に行っています。一番若い層だと、課長クラスで20代、部長クラスや執行役員で30代です。経営陣も40代半ばが中心層で、他の銀行と比較すると若い経営陣で運営されています。

――実際に入社される方にはどういう応募動機が多いのでしょうか。

当社を選んでいただく理由としては、「会社も自分も成長できると感じたから」という方が多いです。ネット銀行は金融機関の中では新規参入的な立ち位置ですが、その中でも当社は特に急成長を続けており、そういう環境で自分自身も成長できる点を評価してもらっています。

新しいことへの挑戦機会も多く、フラットなコミュニケーションが活発に行われています。経営会議を毎日開催し、現場から上がってきた案件をどんどん議論し、迅速に意思決定する文化があります。

少数精鋭の事業運営。若手の給与が高水準

――働き方についてはどのような特徴がありますか。

柔軟な働き方の環境を整えており、コアタイムなしのフレックスタイム制を採用しています。午前9時から午後5時20分の間で1日3時間以上勤務すればよい「ミニマムタイム」のルールがあり、一部の部署ではテレワークも可能です。転勤がないことや、年功序列ではないので若手社会人の給与水準が高い点を評価する社員も多いです。

給与面では、初任給を33万円に設定していますが、これは銀行業界ではトップクラスの水準だと認識しています。20代の年収水準も他の金融機関と比較して高い水準となっており、若手抜擢を積極的に行っているため、年齢にかかわらずキャリアアップの道が開かれています。

約750人と少数精鋭の社員で事業運営しており、従業員1人当たりの時価総額は約7億円を超えています(2025年4月末現在)。これは、他社と比べても圧倒的に高い水準です。最先端のテクノロジーを駆使し、少人数でも高い付加価値を生み出す仕組みを構築できていることが当社の強みといえます。

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