ライフネット生命が経験者採用を強化 エンジニア出身の新社長のもと「全自動の保険 」を目指す | キャリコネニュース
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ライフネット生命が経験者採用を強化 エンジニア出身の新社長のもと「全自動の保険 」を目指す

ライフネット生命 人事総務部 担当部長の篠原広高さん

ライフネット生命 人事総務部 担当部長の篠原広高さん

ライフネット生命は2008年、国内初の独立系ネット専業生命保険会社として創業しました。生命保険の手数料部分(付加保険料)を業界で初めて開示し、日本初のモバイルサイトによる生保申込サービスを開始するなど、斬新なマーケティングで注目を集めて成長。2012年には東証マザーズ(現グロース市場)に上場を果たしました。

その後、異業種との提携によるネット以外の販売チャネルの拡大を進め、保有契約件数を増やしてきた同社は、現在どのような戦略で事業を推進し、どのポジションでどのような人材を求めているのか。同社 人事総務部 担当部長の篠原広高さんに話を聞きました。(文・構成:キャリコネニュース編集部)

「ネット生保」から協業拡大へ

ライフネット生命 人事総務部 担当部長 篠原広高:人材サービス企業、フリーランスを経て、ライフネット生命に入社し、2022年より現職。大学でのキャリア支援や学生と社会をつなげる講座運営を副業で10年以上続ける。

ライフネット生命 人事総務部 担当部長 篠原広高:人材サービス企業、フリーランスを経て、ライフネット生命に入社し、2022年より現職。大学でのキャリア支援や学生と社会をつなげる講座運営を副業で10年以上続ける。

――御社は現在どのような事業を行っていますか。

当社は大きく分けて3つの事業を行っています。1つ目は、個人向け保険事業をオンラインで直接販売する「ダイレクトビジネス」。2つ目は、大手企業との協業による「パートナービジネス」。3つ目は、新たな事業領域として展開している「団体信用生命保険(団信)事業」です。

個人向け保険のダイレクトビジネスは、創業以来の当社の中核事業で、オンラインを通じてお客様に生命保険商品をお届けする形態です。創業以来「正直に、わかりやすく、安くて、便利に。」をマニフェストに掲げてきました。

強みは顧客満足度の高さで、J.D.パワー「2025年 生命保険契約満足度調査」では5年連続ダイレクト生保No.1(※)、「2025年 オリコン顧客満足度(R)調査」でも生命保険総合第1位を獲得しています。(※ J.D. パワー2021-2025年生命保険契約満足度調査。2025年調査は新規契約・更新手続きをした顧客1,271名からの回答による。)

パートナービジネスは、2014年に「ほけんの窓口」直営店での個人向け保険販売を皮切りに、2015年からはKDDIやセブン・フィナンシャルサービス、マネーフォワード、三井住友カード、エーザイなど異業種の企業と協業し、顧客接点の拡大を積極的に進めています。

団信事業も、協業から生まれたサービスです。2023年からKDDIグループのauじぶん銀行の住宅ローン利用者向けに、当社の団体信用生命保険を提供しています。団体信用生命保険とは、住宅ローン契約者に万一のことがあった場合に、生命保険会社が住宅ローン残高に相当する保険金を銀行に支払い、債務の返済に充当する保険のことです。

新たな経営方針及び中期計画の策定(2024年5月14日)より

新たな経営方針及び中期計画の策定(2024年5月14日)より

――パートナービジネスについて詳しく教えていただけますか。

例えば、現在進めている「ホワイトレーベル商品」は、顧客基盤を有する他社のブランドで当社商品を提供する形態です。お客様は提携先企業のブランド、例えば「auの生命ほけん」「セブン・フィナンシャルサービスの生命ほけん」「マネーフォワードの生命保険」「Vポイントが貯まる保険」といった名称で保険に加入します。

団信事業も、他社商品の購入の流れの中で当社の保険が提供される「組み込み型保険」ですので、パートナービジネスのひとつといえます。auじぶん銀行の住宅ローンを契約する際、当社の団体信用生命保険への加入が必須となっています。

「Rebranding(リブランディング)」など重点領域で成長目指す

――現在どのような戦略で事業を推進しているのでしょうか。

2024年5月に新たな経営方針と中期計画を発表しました。創業以来の経営理念はそのままに、目指す姿に「生命保険の未来をつくるオンライン生保のリーディングカンパニー」を、アウトカム目標に「安心して、未来世代を育てられる社会」の実現を設定し、今後の事業成長を支える3つの重点領域を打ち出しています。

新たな経営方針及び中期計画の策定(2024年5月14日)より

新たな経営方針及び中期計画の策定(2024年5月14日)より

1つ目の「Rebranding(リブランディング)」について、当社は長くオンライン生保の先駆者として活動してきましたが、今はそれだけでは差別化になりません。また、生命保険という商品を、人を介さずオンラインで契約することにまだ抵抗のある方もいらっしゃいます。

そこで、時代やお客様の価値観の変化に合わせてブランドを再構築しています。商品・サービスの強化やナーチャリング手法の確立など、若年層から選ばれ続けるブランドとなることで、さらなる成長を目指しています。

2つ目の「Embedded(エンベデッド)」は、英語で「組み込まれた、埋め込まれた」という意味で、当社が「パートナービジネス」と呼んでいる領域です。私たちが保険を直接届けるだけではなく、すでに顧客基盤を抱えている企業と掛け算をして保険を届けていくアプローチです。

すでに素晴らしいパートナー企業と連携させていただいており、各協業先との取り組みの強化とともに、今後も新規協業先の開拓に努め、成長を加速させていきます。

3つ目は「Tech & Services(テックアンドサービス)」です。当社はオンラインで生命保険を届ける会社であり、テクノロジーとサービスは我々の事業の真髄です。2025年6月には、システム関連部署とデータサイエンス推進室を担当する上級執行役員を務めていた横澤淳平が新社長に就任しましたが、彼が掲げるキーワードのひとつが「全自動の保険」です。

例えば、お客様が病院で診療を受けた際、マイナポータルとの連携により、請求手続きをしなくても自動的に給付金をお支払いするような世界が今後考えられます。実現にはまだ時間がかかりますが、様々な実証実験に参加しながら、生命保険の未来に向けた取り組みを進めています。

なお、システムエンジニア出身の横澤は、これまで「テクノロジーを活用した保険サービスの進化」を推進してきました。今回のトップ交代は、単なるバトンタッチにとどまらず、お客さまに最高の保険体験を届けるべく、「保険×テクノロジー」領域への本格的なシフトを象徴しています。

3つの重点領域にひもづくポジションで採用強化

――現在どのようなキャリア採用を行っていますか。

まず、当社は採用の入口として3つの形を設けています。1つ目の「定期育成採用」は、30歳未満の方を職歴問わず受け入れる枠で、いわゆる「新卒採用」や「第二新卒採用」に当たります。学卒・院卒者はもちろん、社会人経験のある方も含めて、ライフネット生命で働く中でキャリアを育成していきます。

2つ目の「通年即戦力採用」は、いわゆる「中途採用」に当たります。ポジションごとにジョブディスクリプションを用意し、書類と面接を通じて、候補者の方のスキルやご経験・ご担当業務が限定的でないか、スキルを活かせそうか、当社のカルチャーにフィットする方か、などを確認しています。現状、当社に新たに入社する方の8割から9割は、この通年即戦力採用の枠で決まっています。

3つ目の「パラレルイノベーター採用」は、副業として当社を選ばれる方向けのものです。正社員になると労働時間や就業場所などは会社独自の就業規則などに縛られます。様々な働き方が選択できる昨今では、正社員以外の雇用形態を希望する方もでてきました。ライフネットのカルチャーにフィットするけれど、正社員以外の形で活躍したい方のための枠組みです。

当社では「多様性が競争力の源泉」という考え方を大切にしています。創業者の出口治明は、組織を「石垣」に例えていました。石垣は、遠くから見ると整然と積まれているように見えますが、実際には様々な石が組み合わさって強固な構造を作っています。同様に、組織にも様々な役割や個性を持つ人がいるからこそ、変化に対応し、新しい価値を生み出せると信じています。

“Open, Natural, Friendly & Fun”をコンセプトにした新オフィス

“Open, Natural, Friendly & Fun”をコンセプトにした新オフィス

――具体的に注力している即戦力採用のポジションはありますか。

先ほど説明した3つの重点領域にひもづく採用を強化しています。「Rebranding」については、主に個人向け保険事業のダイレクトビジネスにおけるマーケティングに関連する職種で、若年層からの支持向上を目指し、ブランドの再構築やナーチャリングの促進、商品・サービスの強化に取り組む人材を求めています。

具体的には、WEB広告のメディアプランニングやコミュニケーション設計、クリエイティブ制作や分析レポーティング、電話やチャット、LINEなど様々なコミュニケーションチャネルのデータ集計・分析や、それをふまえた企画をお任せします。

「Embedded」では、パートナービジネスの運営、具体的にはパートナー企業向けサイト開発や、募集人の登録や管理、必要な資料の提供などを行うサポート部門の強化に関わる人材を強化しています。加えて、各パートナーの経済圏におけるシナジー向上の取り組み推進や、新規パートナー開拓を行う人材も求めています。

「Tech & Services」では、オンライン生保としてシステム人材の不足がボトルネックにならないよう、様々な職種で採用を行っています。例えば、情報セキュリティ・システムリスク・ITガバナンス管理全般の企画・実施、ToC(個人)向けのウェブアプリケーション開発、サーバー・ネットワーク・クラウド環境等の設計・構築・運用などをお任せできる人材を求めています。

新社長の横澤は、お客さま自身は何も手を動かすことなく保険金や給付金が受け取れるようにする、いわば「全自動の保険」というコンセプトを掲げています。生命保険の未来を共につくっていただける仲間と出会えるように、積極的に採用活動を行っていきます。

「Lifenetter Values」へのフィットを重視

――採用される方のバックグラウンドにはどのような傾向がありますか。

私たちは「生命保険会社出身者」にこだわっていません。生命保険会社出身者が3~4割、金融・証券・銀行などの周辺業界出身者が3割、それ以外の業界出身者が3割程度で様々なバックグラウンドを持った方々を採用しています。

例えば「Rebranding」の領域では、生命保険業界が未経験の方も多く入社していただいています。保険のことは入社してから勉強できるので、むしろ他業界での経験を掛け合わせていただくことで新しい価値が生まれると考えています。

「Tech & Services」の領域では、前職までに生命保険会社のシステムに様々な立場で携わったことのある方の入社が多いですが、システム関連の業務経験は業界問わず活かしやすいので、生命保険業界未経験の方も歓迎しています。

新たな経営方針及び中期計画の策定(2024年5月14日)より

新たな経営方針及び中期計画の策定(2024年5月14日)より

――キャリア採用で特に重視されていることは何ですか?

カルチャーフィットは重視しています。どのポジションでも、最終面接は社長と人事担当役員が行い、スキル・経験のチェックだけでなく、経営目線で「ライフネット生命という船に乗って一緒に切磋琢磨していける人かどうか」を確認しています。上場企業でジュニアポジションでも社長が最終面接を行っているのは珍しいのではないでしょうか。時間をかけて相互理解を深めることで、ミスマッチを防ぎ、当社で早期に活躍いただける人材を採用できています。

当社では、目指す姿を実現するためには人材が重要であるという考えから、役職員が大切にする価値観として2024年5月に「Lifenetter Values」(ライフネッター=ライフネット生命に勤務する人)を策定しました。「Manifesto driven:お客さまを起点にする」「Ownership:自ら動く」「Teamwork:多様な仲間を力にする」「Growth mindset:変わりつづける」「Be ambitious:元気に、明るく、楽しく」の5つの価値観を掲げています。

これらは日々の業務を行う時や目標設定をする際の指標にもなっていますが、採用面接の質問にもこうした価値観は投影されています。「お客さまを起点に物事を考えられる人なのか」「変わり続けられる人なのか」「チームで仕事ができる人なのか」といった点を質問を通じて確認しています

入社後に自分でキャリアを創造できる柔軟性も

――御社で働く魅力をどのように候補者に伝えていますか。

転職活動をする際に、企業や仕事に求めることは十人十色です。候補者の方によって、お伝えする内容は変わってきますが、お話しすることの多い魅力は3つです。

1つ目は「業務範囲の広さ」です。当社の社員数はおよそ240人ですが、ビジネスのスケールが大きいので、1人が担当・経験できる仕事の幅、責任、裁量も大きいです。候補者の方からは「240人の会社とは思わなかった、もっと社員数が多いと思っていた」と驚かれることが多いです。

2つ目は「仕事に集中できる環境」です。言葉にされるかどうかにかかわらず、転職理由のひとつが「人間関係」にある方は少なくありません。入社した人たちからよく言ってもらえるのが、「いい人」が多く、仕事に集中できる環境があるということです。これまでの社会人経験の中でそういった悩みに直面されたことがある方には、特に安心していただける点だと思っています。

3つ目は「キャリアに寄り添える会社」という点です。同じ仕事を続けたい方も様々な経験を積みたい方も、個人の希望に寄り添いながらキャリア形成ができます。「来風面談」という社風を確認できる面談の機会が月1回以上あるので、自らのキャリアについて内省したり、希望を伝えたりできる機会が多いです。

新たな経営方針及び中期計画の策定(2024年5月14日)より

新たな経営方針及び中期計画の策定(2024年5月14日)より

――入社後もスキルやキャリアの開発ができることはキャリア入社組には重要です。

中期計画では事業成長を支える人材戦略として、「多様性」と「成長機会」の重視を打ち出しています。人材育成の基本は配属部門でのOJTですが、それを補完する仕組みとして、汎用的なスキルを学ぶ「ポータブルスキル研修」や、自己啓発を支援して費用の半分、最大100万円まで会社が負担する「セルフデベロップメント支援」もあります。また「ピアラーニング」という社内勉強会も月に1回以上開催され、社員同士の知見共有を促進しています。

新入社員のオンボーディング施策としては、入社時研修、ウェルカムランチ、サポーター制度、メンター制度などがあります。ウェルカムランチは、合計4回、のべ16名の社員とのランチの機会(会社負担)を設けて横のつながりを広げるものです。サポーター制度は、入社後6か月間業務上の不明点などの質問窓口としてサポーター社員がつく制度です。

メンター制度は、所属部門の異なる斜めの関係の先輩社員・役員がメンターとなり、2か月に1回以上のメンタリングを実施するものです。当社では通年即戦力採用による入社者が毎年の採用全体の8~9割を占めるので、早期に当社の環境に慣れていただけるように複線的に施策を行っています。

働き方については、出社6割・在宅4割のハイブリッドワークを基本としています。2024年11月にオフィス移転を行い、全員が快適に出社できる環境を整備しました。オフィスでは創発や集中を促す仕掛けを用意し、対面コミュニケーションを取りやすくしています。最終面接やオファー面談は原則としてオフィスにご来社いただいて行っていますので、ぜひ社内の雰囲気も感じていただきたいです。

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