新人の「下積み期間」って本当に必要? 「貴重な数年を無駄にするだけの糞システム」との声も
どんな仕事でも新人が一人前になるには、ある程度の時間が必要だ。職人の世界ではそれが顕著で、「仕事は教わるものじゃない」と言うような師匠だったらなおさらだ。
しかし合理的な考えを好む若者からは、教わるべきことをきちんと整理して伝えれば、もっと早く上達するのではないかと疑う人もいる。9月5日の2ちゃんねるには「仕事は見て盗め」という風潮を疑問視するスレッドが立った。
スレ主は「そば打ち3年、こね8年」という職人の言葉を例にあげ、「ちゃんと教えれば1年で覚えられるだろ」「教えないから11年もかかってんだよ」と批判している。
「労基法違反でこき使われてるだけ」と批判
職人の世界では師匠に気に入られないと、薄給のまま何年も下積みをさせられる場合がいまだにあるようだ。5月にテレビ出演した寿司職人は、18歳から修業し始めたが、7年ものあいだ一度もお客さん相手にすしを握らせてもらえなかったと明かしていた。
ホリエモンこと堀江貴文さんも「寿司アカデミーで学べば数か月で(寿司屋になるための)ノウハウが学べますよ」といい、日本の職人が下積みと称して弟子たちになかなか仕事を教えないことに疑問を呈している。
このスレッドでもスレ主の意見に賛同する人は多く、辛辣な意見が集まった。
「弟子入りとかいう意味の分からないシステム教えてもらう方は技術習得までにさほど関係ない雑用を数年やらせて若いうちの貴重な数年を無駄にするだけの糞システム」
「料理店とかで最初は長時間薄給の雑用を数年間みたいな特集やってるけどあれ単に労基法違反でこき使われてるだけだよなぁ」
弟子が最初に下働きをさせられるのは、修業をえさにタダ同然で雑用をさせるため。早くノウハウを教えてしまえば、早く独立してしまう。教えるタイミングを遅らせれば、それだけ自分にとって都合がいいというわけだ。
ホリエモンも過去に、職人が増えすぎないよう「わざと教えないようにしてるんだよ」と発言。ネットでも「なんでわざわざ丁寧に教えてライバル増やさなきゃなんないんだよ」と同様の考えを表明する人がいた。
「痛い目を見て習得したものは強烈に残る」
その一方で、意地悪をして教えないのではなく、職人に教える技術がないために「見て盗め」ということになっていると指摘する人もいる。自分が教わらずに見て盗んできたため、他人に分かるよう言語化することが難しいというわけだ。
ただし、他人に教わらずに自分で試行錯誤するメリットをあげる人も。確かに失敗を通じて覚えることが多い、ということはあるのかもしれない。
「自分が痛い目を見て習得したものは強烈に意識に残るから二度と対応を誤らない」
教えてもらえるのが当然とばかり思っている人にも問題がある、という指摘も出た。これも失敗と同様、当事者意識を持って取り組むことが重要ということだろう。
「自分から聞こうとせず、教えてくれるのを黙って待ってる時点でどちらしろ物にはならんだろう」
「『必要な物があれば自分から取りに行く』って姿勢さえあれば問題ない。口開けてひたすら餌を放り込まれるのを待ってる奴は放置」
後継者不足を「偏屈コミュ障の自業自得」と突き放す声も
とはいえ、何もかも試行錯誤をしなければならないとすれば、修業に時間が掛かりすぎてしまうのも事実だ。理不尽なつらさが続けば、もっと手軽に豊かになれる選択肢はいくらでもある現代では、後継者不足に直結してしまうだろう。
「まあ完全に偏屈コミュ障の自業自得だからどうでもいいけど」
「まあこれをして廃業寸前な時点で間違ってるよね」
と職人の世界を冷ややかに見る声もあった。
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