働くお母さんに朗報! 子どもと過ごす時間は「長さ」より「質」の方が大切
子どもを持つ親、特に働く母親にとって、子どもと過ごす時間を確保することは、日々の大きな課題です。「子どもと過ごす時間が長ければ長いほど、子どもによい影響がある」という周囲の圧力に、押し潰されそうになることもあるでしょう。
しかし、それは単なる思い込みなのかもしれません。米国の最新の研究によると、子どもと過ごす時間で大切なのは「長さ」ではなく「質」であることが分かっているそうです。米ワシントン・ポスト紙にブリジッド・シュルテ氏が寄稿しています。(文:パッタナカーン山崎)
一緒にいても「テレビ見ながらダラダラ」では意味がない
この研究は、カナダ・トロント大学の社会学者メリッサ・ミルキー博士によるもの。3才から11才までの子どもを対象に調査したところ、親が子どもと過ごす時間の長さと、子どもの学力や行動、情緒の安定とは関係がないという結果が出たそうです。
むしろ、親(特に母親)が、仕事と子育ての両立でストレスを溜めていたり、子どもと長い時間過ごさないといけないという罪悪感や不安に駆られたり、そのために寝る時間を削って睡眠不足になる方が、子どもにとって悪影響だとも言っています。
母親が疲れきってイライラしていたら、その感情は子どもにも伝染してしまうからです。社会的通念や先入観に縛られた人の中には、母親が専業主婦として子どもと関わる時間を増やした方が将来の成功につながると考え、
「お母さんが忙しくて、子どもが可哀そう」
「子どもはなるべく母親と一緒に過ごした方がいい」
と言う人もいます。しかし、短時間でもリラックスして楽しく過ごす方が、親子の関係を築くためには大切だということを、この研究は証明しています。
いくら一緒に時間を過ごす時間が長いからといって、ただテレビを見たり、何もせずに子どもとダラダラ過ごすことは子どもにいい影響を与えません。常に子どもについて回って、何にでも手や口を出せば逆効果。子どもの成長には、1人きりの時間も必要なのです。
経済的サポートも大事。母親が働く意味は十分ある
子どもとの時間の質を高めるために、記事では本を読んであげたり食事をしたり、1対1で話をするなど、一緒にいる時の過ごし方を考えるべきとしています。家族で一緒に音楽を聴いたり、車の中で会話をしたり、宿題について話したり、旅行に行ったりすることも質を高める効果があるようです。
ただし、思春期のティーンエージャーにとっては、質だけでなく「親と過ごす時間」が行動に関係しているようです。非行や問題行動を起こすケースは、母親と過ごす時間が多い子どもの方が少ない傾向にあるのだそうです。
また、この研究では、親の学歴や収入が、子どもの将来に最も大きく関係していることも判明しました。今まで重要視してきた子どもとの時間ではなく、親には「精神的、経済的なサポート」が必要だということです。そう考えると、母親が自分の仕事を持ち、経済的な余裕を持つことも重要ということになるでしょう。
(参照)Making time for kids? Study says quality trumps quantity (The Washington Post)
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