先日、5ちゃんねるに「Z見たんだけどシロッコってそこまでひどい悪人か？」というスレッドが立った。スレ主は「『許せないんだ、俺の命に代えても体に変えてもコイツだけは―！』とか主人公に言われて殺されるほど悪い事してたか？」と疑問視している。

あわせて、サラやレコアといった女性キャラをはべらせていただけ、とも書き込んでいる。スレッドに寄せられる意見には、そもそもシロッコの台頭を許したジャミトフに対しての疑問が多い。それ同時に、スレ主同様にカミーユにあそこまでシロッコを嫌悪する理由がわからない、という声もあった。

「シロッコがアマンダラみたいなラスボスになるには『Z』の展開は弱すぎるんだよな。ただの一部隊指揮官だし」
「シロッコは傲慢で無責任。自分が死ぬとはつゆとも思ってないからコロニーレーザー破壊をほうり出してシャアとハマーンの喧嘩を野次馬しに行くおバカ。元々マッチョ信仰が強くて、情けない大人に囲まれて戦争を経験するうちに過剰なまでの責任感を身に付けたカミーユからしたら許せないのも無理はない」
「本来なんの関わりもない戦争に首を突っ込んで、傍観者を気取りながら引っ掻き回すだけ。立場のためでも思想のためでも仕方なくそうなった訳でもなく、ただ遊びのために他人の人生を弄ぶ人間。だからどうあっても消しておかなきゃいけないって思ったんじゃね」

『重戦機エルガイム』のアマンダラ・カマンダラとシロッコはどこか立ち位置が似ている、というのは昔からファンによって囁かれているようだが、黒幕度で言えばシロッコはさほどではないようには思える。

また、指摘にもあるようにティターンズ艦隊を守るために単身でコロニーレーザーを破壊していたのに、シャアとハマーンの痴話喧嘩が始まるとわざわざジ・0を降りてでも見に行く。そういうところがちょっと無責任だし、ラスボスになったのも、あくまで成り行きっぽく思える遠因なのかも。

カミーユにしてみれば仲間を連れ去った迷惑な男だったのでは

やっぱり、カミーユとシロッコってあまりにも劇中で接点がなさ過ぎて、2人の間に確執めいたものを感じることはあまりできない。特にシロッコとしてはカミーユの名前を認知しつつも「少年」呼ばわりしている部分もあったし、あまり宿敵として認知なんてしていなかったはず。

ただし、カミーユはシロッコが初の可変MSメッサーラに乗って登場して以降、強く意識していたと思われる。なんといってもカミーユ自身が新型ガンダムに対して変形案を提示しているし、その意見を汲んだ上でプランが本決まりになっている。

メッサーラがなければ、そもそも変形しないMSとしてZがあったのかもしれないのだ（これはもちろん、劇中だけの都合であって、実際にはZは変形ありきでデザインされてるけど）。

ところが、メッサーラに負けじとエゥーゴでも可変機を開発することになったのに、いざZガンダムが実戦に出るとシロッコはもう可変機能に飽きていたようだ。最終的にはきわめてシンプルな武装に、変形機能も持たない、純粋に強いMSであるジ・Oを開発しているんだもの。

ここにカミーユは人知れずに苛ついていたのかもしれない。変形機能を駆使してシロッコをコクピットごと貫いたことにも、そういう秘めた怒りがあったのでは……と邪推したくもなる。

また、大人の都合を把握できない年齢のカミーユにとっては、貴重な仲間であったレコアをシロッコに奪われたことになる。挙句にはそのレコアとエマ・シーンがほぼ相討ち。「それもこれもシロッコさえいなければ防げた」と感じていても、そこまでおかしくはない。

最終的にカミーユをいささか舐めていた節もあるシロッコは、追い詰められてついに本気で渡り合うんだけど、そこに来てカミーユに「今日という日には生きてちゃいけない男」と指摘されるなど、まさに言われ放題。これが若さか。

はたから見るとシロッコって、変なヘアバンドをした天才ぐらいの印象なんだけど、カミーユにはそうは思えなかったようだ。逆にジェリドのことは比較的あっさりと倒していたのが不思議なぐらいだが、あのぐらいの年齢の子はそういうところがあるよね。