はてな匿名ダイアリーに12月下旬、「息子がニートになった」という投稿があり注目を集めた。息子はこれまでなんの問題もなくトップクラスの成績でいい大学に進んだ。ところが、四年生になり就職活動を始めると、「俺には無理だ、もう疲れた」と言い出したという。息子は、
「どこの業界のどんな仕事にもいっさい魅力を感じず、就職活動に打ち込むことができない。一応何社か受けてはみたが、面接で全部落とされた。落とされてもショックはなく、むしろホッとしている。働いてまで今後生きていきたくはない」
とまで言ったそうだ。真剣な様子に叱り飛ばすこともできず、もう少し就活を続けて無理なら就活浪人してもいいと伝えたが、その年はどこも受からず大学を卒業。翌年息子は就活をせず、ずるずるとニート状態が続いているという。(文:okei)
「就活は命削るかならな……」と息子への同情相次ぐ
責めると自殺してしまうのではと怖くなり、厳しい態度に出られないと葛藤する投稿者。しかし「現実問題として我々が死んで貯金も尽きたら息子は詰み状態になる」として、働いてほしい気持ちを吐露した。さらに、楽しめない老後や孫を見たかった気持ち、「それなりに優秀だと思っていた息子がいきなりニート化して、期待を裏切られたという気持ちもある」などと心情を明かし、
「自殺するなんて口だけだと思って、甘やかすのをやめたらいいのかな。それで本当に死なれたら立ち直れるのかな」
などと苦しみを綴った。息子が自殺するくらいならニートでも生きていてほしいだろうが、この状態が続いても本人は生きる力を失っていくばかり。親としてはいずれ自立すると信じたいが、不安で生きた心地がしないだろう。
この投稿にはブックマークが700近くつき、さまざまなコメントが入っている。息子が就活で挫折していることから、最も多かったのは「就活が嫌」という共感だ。
「働くことより働くためには就活しなければならないのが嫌」
「仕事し始めたらそうでもないけど、就活は命削るからな……(ロスジェネ感)」
「もう疲れたって言いたくなる気持ちが凄くわかる。就活は消耗戦」
息子は「働くのが嫌というより、就活が嫌なのだ」という論調が相次いだ。中には息子をクズと見下し家から出すように勧める声もあるが、多くは親子の心情を思い、あれこれ助言する人のほうがはるかに多い。
「子ガチャ、ハズレあるから気をつけてネ」という息子
しかし実はこの投稿、追記でニートの息子本人が”子持ちの反応を見たくて”書いたことを明かした。「実際の親はこの感じよりかなりマシ」「勉強しろしろとも言われてない」とした上で、
「俺は幼稚園への登園を渋りまくって毎日超泣いてた根っからのカスなんだよな。子ガチャ、ハズレあるから気をつけてネ ということを俺は言いたい」
と自虐的に締めくくった。親の育て方は悪くない、自分が”ハズレの子ども”だと言いたいのだろう。
しかし、働かない理由にはさまざまあり、また働かなくても生きていけるなら、それはそれで悪くない生き方だ。息子は自分をハズレ扱いすることで、向き合わなくてはならない現実問題から逃げているのではないか。子持ちの反応を見たいという心情は、「親を心配させているのが辛い」という気持ちの現れだろう。かといって生きる活力も出てこない、如何ともし難い状況が察せられ痛々しい。
またコメントには、「この就活ってシステム自体、結構な数の若者を殺したりニートにしたりしてると思うんだけど、なんとかならんのかね」と、新卒就活システム自体を問題視する人も多かった。日本のニートの数は71万人を超え、「親戚の誰かがニート」ということは珍しくない。「就活が嫌」「働くのが嫌」に共感する人が多いことは、本人だけの問題ではないことが窺えた。