「まずはやってみる」──パラレルキャリアで広がる豊かな人生
人と関わる仕事がしたいと、Adecco Groupに転職した加藤 弓子。大型拠点で約120人の派遣社員のサポートを行いながら、社内の「パラレルキャリア」の制度などにも積極的にチャレンジし、活躍の場を広げています。新しい自身の取り組みも進行中だという加藤が、仕事への思い、キャリアへの思いを語ります。【talentbookで読む】
大型拠点のスタッフアドバイザーとして約120人の派遣社員に寄り添う
加藤弓子は、スタッフアドバイザーとして池袋BPOセンターに勤務。現場で働く派遣社員の方々の就業支援がメインの仕事です。
池袋BPOセンターは、コールセンター業務やテレマーケティング業務を請け負う大型拠点。担当案件は、常時およそ350人の派遣社員が活躍しており、加藤は、そのうちの約120人の就業支援を行っています。
加藤 「担当案件にはスーパーバイザーをはじめとした社員が15人ほどいます。私の主な業務は、現場で働く皆さんの就業する上でのサポートやフォローになります。」
現場で働く派遣社員が安心して活躍できる環境を整えるのが加藤のミッション。入退社時の各種手続きのほか、定期的に面談を行ったり、職場の環境を整えたり、キャリアの相談にのったりしています。業務に関するトラブルや悩みを抱えている場合には、改めて話を聞くなど、一人ひとりに真摯に向き合うことを心掛けています。
加藤 「派遣社員の皆さんに活躍していただけるように、私ができることは何なのかを常に考えています。仕事に慣れるまでの環境面や職場の人間関係についてのサポートなど、一人ひとりに合わせて誠意をもって向き合いたいと思っています。
たとえば、廊下で会ったときのちょっとしたコミュニケーションの機会も大事にしています。短い時間の会話でも、その時の悩みや困っていることなどを話していただくことで、気持ちよく仕事に戻ってもらえることもあります。気軽に相談できる窓口のような感じですね」
現在、担当案件のスタッフアドバイザーは加藤1人。そこで働く派遣社員の皆さんの悩みや相談の内容は、人によって違います。もともとポジティブな性格で、相手の悩みを「ポジティブ変換」できるのが何よりの強みだという加藤。スタッフアドバイザーは自分に合っている仕事だ、と語ります。
一人ひとりのキャリアに向き合う姿勢に共感し転職を決意
2017年にAdecco Groupに入社する前、加藤はコンサルティング会社で人財関連の仕事に10年ほど携わってきました。約10年前には、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)試験にも合格し、現在の国家資格であるキャリアコンサルタントを所持しています。
前職で加藤は、企業間取引に関わる業務を中心に行っていましたが、いつしかCDAのスキルを生かし個人のキャリアに直接関わるような仕事をしたいという希望を持つようになっていました。そうして、転職を考え始めた際にAdecco Groupのスタッフアドバイザーという仕事に出会ったのです。
加藤 「面接に行ったとき、会議室に2020年に向けたAdecco Groupの日本のビジョンである『キャリア開発があたりまえの世の中をつくる。』と書かれたポスターが貼ってあるのを見て、すごくビビっときたんです。私自身、キャリア開発をあたりまえにしたいと思っていましたし、それがきっちりと言語化され、こうして社内に掲示されている会社に興味がわきました」
キャリア開発とは、働く人一人ひとりの職務や能力・スキルを中長期的な視点で育てていこうとする考え方。加藤もこれまでの自身のキャリアや学びの中でその重要性を強く感じていました。
加藤 「入社して就いたスタッフアドバイザーの仕事は、まさに『人と関わる仕事』。しかも、キャリアコンサルタントの知識が役立つシーンも多いので、とても充実しています。とはいえ、現状に満足はしていません。派遣社員の皆さんに寄り添い、皆さんのキャリアをこれまで以上に支援していきたいと考えます。
コロナ禍もそうですが、世の中が変わっていく中で、少し先の未来の自分のありたい姿を想像し、自分の意志を持ってキャリアを選択し、より良い人生を歩んでいただくためのサポートができればと思っています」
加藤は、自身のキャリアについて考え、充実した人生を歩んでいただけるよう派遣社員の皆さんに働きかけ、より一層の支援をしていきたいと考えています。
「自分らしく、しなやかな選択」を大切に。社内パラレルキャリアに挑戦
Adecco Groupで仕事をする中で、加藤にひとつの転機が訪れました。それは「社内パラレルキャリア」の開始です。
Adecco Groupでは以前から社員一人ひとりのキャリア開発につながる、自らの個性や強みを生かした自己研鑽のための活動を、パラレルキャリアとして、当社における仕事と並行して行うことが認められていました。社外の活動に加え、社内の業務を専門性の高い社員が個人として受託する「社内パラレルキャリア」も導入が開始され、加藤もその「社内パラレルキャリア」に挑戦することに決めました。
加藤 「私自身、やはり複数の選択肢やよりどころを持っていたいという想いがあります。時代も世の中もすごいスピードで変わっていく。そんな中、何かひとつのことだけ、あるいは今までやっていたことだけに固執すると、これからの生き方が辛くなるんじゃないか、と考えたこともきっかけです」
もともと持っていたキャリアコンサルタントの資格に加え、社内認定のキャリアコンサルティングスキル資格を取得し、2021年4月より、社員向けのキャリアコンサルタントとしてのパラレルキャリアを始めました。
加藤 「自分が自分らしく、しなやかな選択ができるのがパラレルキャリアの魅力です。やりたいことはたくさんありますから、興味があることはどんどんやっていきたい。うまくいかなければそのとき考えればいいかな、と。まずはやってみて、自分が続けたい、いいなと思うことが残っていくと考えています。
社員向けのキャリアコンサルティングでは、今後のキャリアや自己理解の相談が多いです。価値観や人生観、抱えている感情といったテーマで話を聞く1時間。相談者と同じ景色が見られるように丁寧に傾聴するよう心がけています。キャリアコンサルティングを通じて、明日からの行動や意識に変化を起こす後押しができるように関わりたいと思って取り組んでいます。
同時に、相談を受けることで、私自身もたくさんの気づきをもらっています。一人ひとり、違った人生を歩んできたからこそ、物事に対してどう向き合うかやこれまでどのように課題を乗り越えてきたのかといった話を聞くことはとても有意義でためになり、私の人生を豊かにしてくれます」
社内パラレルキャリアへのチャレンジは、加藤にとって学び直しのきっかけにもなりました。2020年、折しも新型コロナウイルスの感染拡大によってオンラインの講座や研修が増えていた時期に、そうした世の中の変化も、むしろうまく活用できた、と加藤は話します。
加藤 「オンラインセミナーに参加したり、友人とお互いに知見のインプットをし合ったり。そんなことも、オンラインなら身軽にできますよね。研修やセミナーもオンラインがほとんどなので、1カ月に1回は何らかのセミナーに参加しています。もしこれが対面の研修であれば、時間や場所の関係もあってここまでの頻度では参加できていなかったと思うので、ここ1年半ほどの経験は得難いものですね」
Adecco Groupでは、社員一人ひとりのより豊かな人生へとつながる自分らしい働き方を実現していきたいと考え、その一環として、パラレルキャリアを導入しています。加藤も社内パラレルキャリアを実践してみることで、多くの知見を得ることができています。
人と出会って学び、人の記憶に残る自分を実現したい
社内パラレルキャリアによって、自分自身の経験や引き出しを今後も増やしたいという加藤。これからは、「社外でのパラレルキャリア」も視野に入れています。
加藤 「現在のAdecco Groupにおける日本のビジョン『「人財躍動化」を通じて、社会を変える。』の中にある『人財躍動化』の大切さを心にとめ、人と向きあっていきたいと考えています。
また、会社の仕事以外に個人の活動でも、『キャリア開発』や『人財躍動化』につながる取り組みを広げたいですね」
日本文化や伝統工芸などに関心があり、着物の愛好家という一面もある加藤。趣味の場面においても、加藤の「人」に対する考え方は根本的なところでつながっています。
加藤 「着物の世界でも事業を引き継ぐ方がおらず、とても貴重な染物の工房が廃業してしまうという現実的な課題に直面しています。
今はSDGsが盛んに言われるようになってきていますが、日本の文化や伝統工芸の世界では、もともと地球環境に優しいもの、長く使える良質なものが作られています。そういった伝統技術に携わる人たちと周囲の人たちとをつなぎ、日本ならではの『よいもの』を守り、魅力を発信していきたいです。
直接的に現在の仕事とは結び付きませんが、人を大切に考え行動するという意味では、現在のキャリアとも結びつく活動だと思っています」
そんな加藤が人生で大切にしている価値観は、「人と出会って学び、人から何かを受け取ったぶん、自分も何か相手の記憶に残るようなことをする」ということ。これまでも、仕事で出会った人に「加藤さんとあのとき話して、ちょっと考え方が変わりました」と言われたことが仕事への大きなやりがいにつながってきました。
同じように、プライベートでも着物のイベントなどで、ちょっとした工夫により若い人に着物に興味を持ってもらえると大きな喜びを感じるといいます。
加藤 「自分の思いを、小さな『ギフト』として人に渡せたらいいな、と常々思っているんです。きっと私自身、気づかないうちにも人からいろいろといただいているものがある。それを自分なりに返せたらいいな、という想いです」
メインの業務、パラレルワーク、そしてプライベートの活動。活躍の場を広げ、人との出会いを重ねることで、加藤はより自分らしく充実したキャリア、そして可能性や豊かな人生を手に入れながら、今後も力強く歩んでいきます。