「体育会系」がウリになるのは若いうちだけ? マツコ「人間の本質が問われる年代に行き場なくす」
強靭な体力と目標達成への強い執念、厳しい上下関係――。大学でスポーツの部活動を経験した「体育会系」の卒業生は、日本のサラリーマン界で行き抜く要素を身につけており、就職にも有利とされてきた。
しかし、そういった単純な風潮は徐々に変わりつつあるのかもしれない。5月25日放送の「5時に夢中!」(TOKYO MX)では、「元体育会系40代男」が抱えるリスクに関する記事を紹介し、コメンテーターのマツコ・デラックスが持論を展開していた。
別番組でも「体育会系は礼儀正しく育つ」に疑問呈する
記事が問題視しているのは、中学から大学の期間のどこかで運動部に所属していた男性の生活習慣だ。そのような男性は就職後に運動量が減っているものの、食事自体は学生時代と変わらず肉中心のまま。お金にも余裕があるので、好きなように飲み食いする。
そういったことが重なると、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まるというのだ。この記事内容を読んだマツコは、その指摘を認めたうえで、「体育会系の本当のリスクは違う場所にある」と言い出した。
マツコによれば、彼らは30代までは勢いで仕事ができていたが、40代になって「人間の本質が問われ始める段階」になると、行き場をなくしてしまうというのだ。
「あたしそっちの方がね、問題だと思うのよ。いっぱいいる、電通とかにいっぱいいる」
マツコは以前から、サラリーマンの「体育会偏重」に疑問を抱いていたようだ。2014年9月3日放送の「マツコ&有吉の怒り新党」(テレビ朝日)で「部活の先輩後輩関係」を取り上げたときにも、こんな疑問を投げかけていた。
「体育会系は頭さげたりするから礼儀正しく育つ…あれって本当かな?」
ネットも「ブラック企業が使いやすい人材」と冷ややか
これには、有吉弘行も「ウソウソ、大ウソ! スポーツ選手の下品さ見てみろ!」と応じると、マツコも体育会系の礼儀正しさは「うまくその場をやり過ごす慇懃無礼」であり、「すごい閉ざされたコミュニティの中でだけの上下関係な気がする」と分析していた。
「体育会系は分かる。すぐ頭を下げるけど、『あんた、頭を下げておけばいいと思ってるでしょ!?』って」
一般社会では重宝されているように見える体育会系だが、マツコのほかにも冷ややかに見ている人はいるようだ。ジャーナリストの溝上憲文氏がある建設会社の人事部長に取材したところ、体育会系人材は「35歳ぐらいで失速する人が珍しくない」と明かしたという。
「共通するのは指示された目の前の仕事だけをやり、他のことは何も考えていないというか、創造性やクリエイティビティに欠けるのです。上司に対する忠犬ぶりはすごいが、後輩や周囲を巻き込んで創意工夫しながら仕事をこなす能力が低い」
これにはネットでは、「ブラック企業にとってこれほど使いやすい馬鹿は居ない。理不尽な命令にも素直に従い、死ぬまでこき使えるからなwww」と揶揄する声も。実は重宝されているのは、入社時と若いうちなのかもしれない。
就職活動でもアピールしない方がいい?
2015年2月23日のハフィントンポストには、株式会社ワールド取締役の足立光氏が「就職で『体育会系』を売りにするのはやめた方がいい」と題した記事を寄稿している。
足立氏は、体育会系の学生は「同じ製品をプロダクト・アウトで売りまくった時代には、ベストマッチ」だと認めたうえで、グローバル化が進んだ現在には、人材には自主性や柔軟性といった別の能力が求められると指摘。
足立氏は「今から就職するのであれば、就職活動で訴求するポイントは『体育会に属していたこと』ではない」と断言している。
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