フルスタックエンジニアとして国内外で活躍──テクノロジーの最前線で描く新たな社会
2020年に経験者採用で入社し、国の最先端の実証プロジェクトや開発に携わっているヴェストリン 瞳。国外での経験や高い技術力を活かしながら、取り組みの社会的価値向上をめざし、日々業務に向き合っています。そんなヴェストリンが、これまでのキャリアや大事にしている価値観について語ります。【talentbookで読む】
位置情報や空間情報を活用したしくみを作り、社会課題の解決をめざす
2020年にNTTデータへ経験者採用で入社したヴェストリンは、ソーシャルイノベーション事業部に所属し、フルスタックエンジニアとして新規サービスの創出に携わっています。
2023年3月現在、主として関わっているのは国の実証事業で、現在はふたつのプロジェクトが並走しています。ひとつめは日本の準天頂衛星システム「みちびき」の災害危機通報サービスを国外展開するプロジェクトです。
ヴェストリン 「災害危機通報サービスとは、防災機関から発表された災害情報を『みちびき』を経由して送信するサービスです。その国外展開を目的として、災害メッセージ生成ソフトや送られた信号を受信する受信機デバイスの開発を行いながら、国外の防災機関との調整にも携わっています」
調整業務においてはオーストラリアを主に担当しており、実際に現地へ足を運んで実証を行っているヴェストリン。現地では先端技術を使った日本の衛星を知ってもらうことから始めています。
ヴェストリン 「このサービスを通して何ができるのか、どういったメリットがあるのかなどを現地の方々に伝え、デモンストレーションを通して避難訓練を実際に体験してもらうことが実証の目的です。最終的にはこのサービスが各国で導入され、世界の人々を災害から救うしくみを作り上げることをめざしています」
並走するもうひとつのプロジェクトは、デジタルインフラの推進を目的とした3次元空間情報などに関する調査です。
ヴェストリン 「地球上のあらゆる空間をボクセルと呼ばれる3Dの立方体で区切り、ボクセルごとに空間情報を格納する構想の実現が本プロジェクトの目的です。この実現によって、屋内空間の移動や輸送の支援、地下埋設設備の情報の照会を容易にすることなどが期待されています。本プロジェクトで、私は空間をボクセルに区切るためのAPI開発に携わっています」
GISを学び、開発者として働いたスウェーデンでの経験を経て、NTTデータへ
入社直後から即戦力として活躍しているヴェストリン。学生時代に興味を持った地理情報システム(GIS)を起点に学びを深めていき、キャリアを広げてきました。
ヴェストリン 「大学では土木工学を勉強していましたが、測位に魅力を感じてGISに興味を持ち、大学院で学びました。その後、交換留学で測位の分野において著名な先生が在籍しているスウェーデンの大学へ行き、さらに技術的なことを学びたいと思ってそのまま大学院まで進学しました。
ちなみに大学院入学試験の際には、現在携わっている災害危機管理通報サービスの前身となるプロジェクトを基に研究企画を立てていたんです。当時はNTTデータで働く未来を想像していませんでしたが、運命を感じますね」
GISについてひと通り学んだヴェストリンは、スキルや知見を活かして就職することを決めます。就職先となったのは、スウェーデン南部の都市であるヴァールベリの市役所です。
ヴェストリン 「2017年から市役所でGISの開発者として働きました。GISに特化した開発を市役所全体で推進していましたが、私がその中で担当していたのはオープンソースを使った地図のプラットフォーム作りです。実際に測量もしながら、地図の生成を行いました。
市役所の仕事というと『与えられたタスクに専念する』といったイメージが強いかもしれませんが、スウェーデンでは自由度が高く、先に挙げたような取り組みにも挑戦できました。私は新しい技術を使った町づくりがしたいと考え、小さなプロジェクトをボスと一緒にいくつも企画していきました」
その後、帰国することになったヴェストリンが新たな活躍の場として頭に浮かんだのはNTTデータでした。大学院時代にNTTグループの担当者から聞いた話が、強く印象に残っていたことがその理由です。
ヴェストリン 「当時NTTグループ内で、衛星画像や位置情報関連のビジネスに取り組んでいるという話を聞きました。GISに特化した会社ではないのに、GIS関連のビジネスに着手していたほか、いろんなサービスを手掛けていたところに惹かれたんです。
さらに、今後は国内だけでなく世界に向けて展開していきたいとNTTデータが発信していたこともあって、これまでの私の経験を活かせるのではと感じました」
念願かなってNTTデータで新たな一歩を踏み出したヴェストリンですが、入社してすぐに予想外のギャップを感じることになります。
開発職だけでなくPMとしても成長──自分の意見を持ちながら、周りの声に耳を傾ける
ヴェストリン 「実はNTTデータがプロジェクトマネジメントに強みを持つ会社だとは知らず、開発だけに従事できると思っていたんです。前職でもPM(プロジェクトマネージャー)に近い役割を担ってはいましたが、プロジェクトの規模はずっと小さいものでした。
経験者採用として入社したため未経験者向けの研修などに参加することもなく、とにかく自分で学びながら進めていこうと先輩の話を聞き、その真似をしながら試行錯誤しました」
努力を重ねてギャップを埋めつつ、ヴェストリンは小規模なプロジェクトを複数担当するようになりました。あるプロジェクトではPMを担当し、またあるプロジェクトでは開発に携わるといったように、さまざまな立場が求められるように。これまでとは異なる働き方に、難しさを感じることもありました。
ヴェストリン 「私は周囲の意見を大切にしていたのですが、それではプロジェクトがスムーズに進まないこともあります。自分の意見を発信しなければ物事が進まないということは転職後の大きな学びであり、今もまだ経験を積んでいるところです。上司からも、自分の軸を持ってプロジェクトを進めることの大切さを教わりました」
新たな視点を獲得し、自身の働き方に落とし込みながら前向きにプロジェクトに取り組む日々。VRやARのアプリケーション開発に携わるようになったことで、新たな言語や開発手法を学び、エンジニアとしての成長も感じています。そんなヴェストリンが業務に向き合う上で大事にしていることは、こだわりを持たないことです。
ヴェストリン 「NTTデータには、経験値や専門領域などの観点でさまざまなバックグラウンドを持つメンバーがいます。そうした環境下で、こだわりを持たず意見を素直に受け入れる姿勢が、新しいソリューションを生み出すことにつながっています。自分の意見を伝えること、相手の意見を受け入れること。その双方を大切にしていきたいです」
なりたい自分をめざせる環境で、テクノロジーとマネジメントの両輪を担いたい
ヴェストリンが感じているNTTデータの魅力は、自身のスキルとやりたいことをマッチさせられる環境があることです。
ヴェストリン 「NTTデータは幅広い事業、業界に強みがあり、さまざまなフィールドで業務に携われることがとても魅力的だと感じています。私自身、上長に自身のスキルを伝えたことで、その価値を発揮しやすいプロジェクトにアサインしてもらえました」
今後は時代の進化に合わせて、新しいテクノロジーを学び、開発スキルを伸ばしていきたいと考えるヴェストリン。同時に、NTTデータでの仕事を通してプロジェクトマネジメントの重要性を認識できたことから、PMとしても成長していきたいという目標を掲げています。
ヴェストリン 「開発スキルとマネジメントスキルの両方を伸ばしていかなければ、新しい価値を生み出すのは難しいでしょう。もしも突然マネジメントする立場に立っても、開発されている技術的な内容をしっかり理解していなければ、お客様にそれを説明することは難しいですから。テクノロジーの領域に根を張りながら、マネジメントにも取り組むビジネスパーソンになることが目標です」
また、ヴェストリンが自身のやりたいこととして知見を深めてきたGIS領域での今後の展望は、デジタルツインを実現する技術を向上させることです。
ヴェストリン 「現実世界の情報を仮想空間で再現し、リアルタイムで更新していくデジタルツインが実現すれば、そこからさまざまなサービスが提供できるようになります。しかし現状では測位の技術が追いついておらず、3次元のデータを正確に作れないなどの課題から、十分なサービス化には至っていません。
今後Society5.0と呼ばれる社会に向かって、本格的なスマートシティ化が進んだとしても、その実現にあたってはデジタルツインの技術は必要不可欠です。その基盤となる技術向上に、今後も携わっていけたらと考えています」
高い技術力や語学力、豊富な経験を活かし、国内外で活躍するヴェストリン。豊かな知的好奇心を原動力に現状に満足することなく、自身の新たな可能性を常に探り続けている彼女は、これからのNTTデータをリードしていく存在となるでしょう。