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SaaS×Fintechでバックオフィスをサポートする、マネーフォワード社員の共通の価値観とは

2012年に家計簿アプリ「マネーフォワード ME」をリリースするや否や多くのユーザーを獲得し、現在では、個人事業主や法人企業向けに「マネーフォワード クラウド」などのBtoB向けプロダクトも数多く展開している株式会社マネーフォワード。現在、同社の売上の過半数を占めているのはBtoB向けサービスだ。

コロナ禍以降キャッシュレス化が急速に進み、またインボイス制度の施行も控える今、企業はさまざまな業務において変化を余儀なくされている。そんな中、マネーフォワードは「マネーフォワード クラウド」において、バックオフィスに関わるさまざまな業務の自動化やデータ連携機能を提供し、ますますBtoB向けプロダクトに注力している。さらなる事業拡大に向け、同社が求める人材や採用の現状について、マネーフォワードビジネスカンパニーHRBP室長の早川直樹さんにお話を伺った。(聞き手・文 藤間紗花)

企業のバックオフィス業務をシームレスに

株式会社マネーフォワード マネーフォワードビジネスカンパニー HRBP室室長の早川直樹さん

株式会社マネーフォワード マネーフォワードビジネスカンパニー HRBP室室長の早川直樹さん

――BtoC向けの「マネーフォワード ME」をリリースされた御社が、BtoB向けサービスにも注力するようになったきっかけなどはあったのでしょうか?

創業プロダクトである「マネーフォワード ME」のことを知ってくださっている方が多いのですが、実はBtoB向けプロダクトも創業翌年にはリリースしていました。マネーフォワードは、「お金を前へ。人生をもっと前へ。」というミッションを掲げ、すべての人のお金の課題を解決したいという思いで、サービスの提供を行っています。

スタートは個人や家庭のお金を「見える化」する家計簿アプリでしたが、世の中の大多数の方は会社員として企業から支払われる給与を家計の原資としています。こうした中で、企業の生産性の改善や事業成長をサポートすることは、個人のお金にも関わってきます。

――BtoBの事業では、SaaS×Fintech戦略を打ち出していましたね。「マネーフォワード クラウド」が急速に売上を拡大している中、具体的にどのような部分を今後強化される予定なのでしょうか。

当社が提供するバックオフィス向けSaaS「マネーフォワード クラウド」のカバー領域はかなり広がってきていると感じています。
直近では、インボイス制度の施行により多くの企業が、紙ベースで行われていた請求業務をデジタル化する動きが加速しています。SaaSを活用いただくことで、請求情報や債権・債務などの情報がデータとして蓄積されるため、これまでは活用できていなかった情報を元に、決済や送金、資金繰りなどに関わる新たなFintechサービスの提供が可能になると考えています。

――具体的には、ユーザーはどのような恩恵が受けられるのでしょう?

例えば、取引先に振り込みをする際には、窓口に向かわなくてはならなかったり、インターネットバンキングにログインし直さなくてはいけなかったり、請求書受領や会計領域のバックオフィスSaaSから全てを完結させることは難しいことが多いと思います。そこで例えば、企業向けの送金というFintech機能をSaaSである「マネーフォワード クラウド」に内包することによって、システム上で支払いがシームレスに完結し、より業務の効率化が見込めるはずです。

また、現在「SaaS×Fintech」の第一弾として個人事業主・法人向けのプリペイドカード「マネーフォワード ビジネスカード」を提供しており、独自の与信審査ロジックにより、最大10億円の利用限度額を算出し、事前チャージ不要でも利用ができる「あと払い機能」を提供しています。その他にも、「マネーフォワード クラウド会計」の債権データや「マネーフォワード クラウド請求書」の請求データを用いて、システム内でオンラインファクタリングが申し込めるようになるといったサービス提供も予定しています。

そのほかにもSaaSとFintech機能の分断は多くあるので、できることはたくさんあります。我々の目指すゴールはまだまだ先にありそうです。

社員の共通価値観であるMVVCとリンクする人材に期待

同社のエントランス

同社のエントランス

――「SaaS×Fintech」の実現に向けて、現在どのような人材採用をされていますか?

エンジニアに関していえば、やはり昨今国内のマーケットでの採用が難しくなってきているところはありますので、「SaaS×Fintech」領域含めて他国籍の方も積極的に採用しています。エンジニア組織は、2024年度中の公用語英語化を目指しており、具体的なロードマップも引いて組織開発を行っている最中です。

現在すでにベトナムに2箇所の開発拠点を置いているほか、新たにインドの開発拠点も準備中で、CTO自身もインドに本拠地を置いています。今後も多くの他国籍エンジニアを採用していく予定です。

また、ほかのチームに関しても、性別・国籍にこだわらない多様な人材を採用しています。当社ではリファラル採用もかなり多い比率で取り入れており、現場で働く社員たちも自分たちのチームをより良くするため積極的に採用に参加しています。

――先ほどビジョンについては少しお話がありましたが、御社では、ミッション(M)・ビジョン(V)・バリュー(V)・カルチャー(C)の「MVVC」を定めているそうですね。こうした共通価値観は、どのように社員間に浸透させているのですか?

私が入社したのが半年前と比較的最近ではあるのですが、入社して最初に驚いたことに「共通の価値観が浸透している」というのがありました。

私も過去に他社で人事業務を担当した経験があるので、中途社員を勢いよく増やしている企業では、社の理念や価値観といったものが上層部だけで盛り上がりを見せていて、社員たちは「自分には関係ない」と捉えているパターンが多いと感じていました。なので、当社の雰囲気には驚きました。

「どうしてこの会社は違うのだろう」と個人的に興味深く見ていたのですが、社員ひとりひとりがMVVCについて「自分たちのものだ」と当事者意識を持っているというのが一番大きいのだと気づきました。

ではなぜ社員が当事者意識を持っているのかといえば、採用の際にMVVCをかなり重視していることが大きいと思います。自分たちの持っている価値観にリンクしている人材かどうかも採用基準の大切なひとつです。

――採用の段階から価値観のすり合わせを行っているのですね。MVVCにリンクする人材かどうか、どのように判断されているのでしょうか。

その方の素に近い状態でコミュニケーションを取れるようにするためにも、なるべくカジュアル面談に近い空気感で場を設定させていただいて、少しでもリラックスしていただけるように意識しています。加えて、やはり一人の判断だけだと偏りが出やすくなったりもしますので、できるだけ多くの社員とお話していただき、その方がどういう方なのかを多面的に見ていくようにもしています。

また中途採用の場合ですと、即戦力が期待されるので経験やスキルにフォーカスしてしまいがちですが、その方がその経験の中でどんなことを感じられてきたのか、表面だけではわかりづらいバッググラウンドについても深掘りするなど、その方に関する情報をさまざまな側面から得られるようお話をさせていただいています。

その方の価値観や思考性、時には幼少期の思い出まで聞かせていただくこともあります。ひとりひとりの言葉で、その方なりの価値観や大事にされていることなどを伝えてもらうことで、当社のMVVCとの親和性を見させていただいています。

私たちには、ユーザーのお金にまつわる課題を解決することでそれぞれの人生を豊かにし、より良い社会づくりに貢献したいという思いがあります。そのために、今後も同じ志を持つ仲間を増やしていきたいと考えています。

【プロフィール】
早川 直樹(はやかわ・なおき)
株式会社マネーフォワード マネーフォワードビジネスカンパニー HRBP室室長
2005年、30人規模のアーリーベンチャーで新規事業立上げを経験したのち、2009年から株式会社ワークスアプリケーションズで人事を経験。その後2014年に新卒採用領域で起業し2018年に売却。2019年代表退任後売却先企業へ転籍、2020年に退職。その後、ITミドルベンチャーで人事責任者として人事部門を管掌。2022年マネーフォワード入社。

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