ウメハラの「背水の逆転劇」の裏側を解説 入力誤差0.08秒の「連続ブロッキング」にマツコ・有吉も驚愕

先日のこと、コラムの仕事などをさっさと済ませるつもりが、オンラインゲームにハマってしまい、僕は気が付けば14時間ほどプレイしていた。子供の頃は、近所の駄菓子屋に置かれたアーケードゲーム機でよく遊んだものだが、自分が30代になってもゲームに没頭する人間になっているなんて考えてもみなかった。

9月30日放送の「マツコ&有吉の怒り新党」(テレビ朝日系)で面白い企画をやっていた。「新三大・アーケードゲームのスゴい職人技」と題して、アーケードゲームをやりこみまくった挙句、とうとう達人になってしまった人々の動画が紹介されていたのである。(文:松本ミゾレ)

常人には理解できない「テトリス」プレイ動画に唖然

アーケードゲームのスゴい職人技

アーケードゲームのスゴい職人技

「アーケードかぁ、子供の頃を思い出すなぁ!」と気軽に視聴したんだけど、その内容ったら半端なかった。有り体に書けば、紹介された3つの動画はいずれもとんでもない達人技の応酬だった。

最初に登場したのが「テトリス・グランドマスター3」という筐体のプレイ動画。テトリスといえば非常にメジャーなブロック崩しゲーム。この筐体は落ちてくるブロックが直近3つまで表示されている。

つまり、上手な人は3手先まで読んでプレイするというんだけど、紹介された動画のプレイヤーは、この筐体の制作メーカー、アリカの社員さん。この人がまさに化け物で、超高難易度のステージを信じられない速度でクリアする。

しかしそれはまだ序の口だ。直後にスタートする特別ステージでは、ブロックが透明になってしまう。ブロックを置いても画面上には何も表示されないため、積み上げたブロックの配置を記憶しなければいけないのだが、それでも間にクリアしてしまうのだ。まさに化け物……。

そして、「虫姫さまふたり」というシューティングゲームもやばい。紹介されたのは、謎のゲーム達人ユセミSWY氏のプレイ動画だ。このタイトルは、弾幕ゲーと呼ばれるジャンルの中でも最高峰難易度を誇ることで知られており、画面いっぱいに敵の弾が飛び交うため、どう考えてもまともにクリアできるとは思えない。

ところがユセミSWY氏は当たり判定のない瞬間が発生する微妙なタイミングを狙い、傍目には「え? それ被弾してるでしょ?」という状況を次々とくぐり抜けていく。弾幕が画面を覆い尽くす中、敵を撃破する模様は、まさにシューティング界の超絶技巧である。

ウメハラ氏、「世界一長期間稼いでいるプロゲーマー」としてギネス認定

個人的にどうしても最後に紹介したかったのが、「ストリートファイターIII 3rd STRIKE」の動画だ。ここで登場する職人技の持ち主が、梅原大悟氏。ネットではウメハラの愛称で知られる、日本人初のプロ格闘ゲーマーだ。

大晦日と元旦を除き、毎日6時間以上もゲームをして腕を鍛えるというウメハラ氏。これまでに世界最大級格闘ゲーム大会で7回も優勝し、世界一長い期間稼いでいるプロゲーマーとしてギネスにも認定されているという。

動画は、「エボリューション」という毎年アメリカで開催される格闘ゲームの大会の模様を収録したもの。ネットでは「背水の逆転劇」としてよく知られている動画だ。場内のファンの熱気が凄まじい。ウメハラ氏はこのとき、アメリカ最強のゲーマーことジャスティン・ウォン氏との対戦を繰り広げる。

ウォン氏は「負けるだけでニュースになる」ほどの実力者というのだから、まさに相手にとって不足なし。案の定、動画では序盤、中盤にかけてウォン氏の使う春麗に、ウメハラ氏の操るケンが押されまくる。あっという間にケンの体力ゲージは削られ、もはやKO寸前という状況に。会場では誰もがウォン氏の勝利を疑わなかったに違いない。

とうとう進退窮まった状態に追いつめられたウメハラ氏。ところがここからの展開が、まあとんでもない。防戦一方だったケンに、とどめとばかりに繰り出す春麗の連続攻撃。これをなんと、ウメハラ氏は全てガードでダメージ0にしてしまったのだ。

オーディエンスのざわめく会場で成功させるのは神業

このゲームではこのような動きを「ブロッキング」と呼ぶ。数多の格闘ゲームに搭載される防御の挙動の範疇の一つと考えれば、ウメハラ氏のこの対応は別に珍しくないと思いがちなんだけど、本タイトルのブロッキングは、とにかくタイミングがシビア。相手の攻撃がヒットした瞬間に、相手のいる方向に対してレバーを倒してガードしなければならないのだ

その際の入力受付時間は、たった0.08秒しかないというのだから、常人が狙って出せるものでもない。それをウメハラ氏は、なんと15回連続で成功させ、ウォン氏の技が終わったスキを突いて、一気に倒してしまったのだ。

また、ブロッキングは通常、相手の攻撃が当たる音を頼りにタイミングを合わせるが、オーディエンスのざわめく会場で成功させるのはまさに神業だ。番組では、ウメハラ氏本人が登場し、そのときの手元を再現。相手の動きに合わせていとも簡単そうにレバーを操作していた。

これにはスタジオの有吉弘行とマツコ・デラックスも唖然呆然。この動画は、アメリカで投票された「最も印象的なゲーム動画」として第1位を獲得したという。

これにて「エボリューション」で優勝したウメハラ氏。彼にはこのとき、200万円の賞金が授与されたという。そう、プロゲーマーはこうした大会に出場して勝利をもぎ取り、多額の報酬を得ている人々のことを指すのだ。好きこそ物の上手なれ。まさに趣味が高じて仕事になった、日本においては非常に稀な成功モデルと言えるだろう。

世の中色々な仕事があるけど、やっぱり自分が打ち込めるものがあれば、それでご飯を食べていけるようになりたいと、誰もが一度は考えるもの。それを実現するのはなかなか難しいが、しかし一直線に打ち込み続ければ道は開けるのかも。ウメハラ氏の動画を眺めながら、ぼんやりと考えた。

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