社会情勢の変化が大きかったこの10年。学生が就職したいと思う企業ランキングに、どのような影響を与えただろうか。学情は2月初旬、「就職人気企業ランキング」について、過去10年分の比較レポートを発表した。
2016年卒の「就職企業ランキング」では、1位ANA(全日本空輸)、3位オリエンタルランド、4位JTBグループ、7位JAL(日本航空)で、「航空・旅行・レジャー」業界が人気を集めた。
なかでもANAは2019年卒までの4年連続で首位、JALもトップ10に入り続け、現在の社会人5年目から8年目にあたる世代が就活生だった時期には航空会社が高い人気を誇っていた。
また、2016年卒の5位には三菱東京UFJ銀行(現三菱UFJ銀行)、10位に三井住友銀行がランクインしている。三菱UFJ銀行は2017年卒でも10位だったことから、「金融」も人気だったことがうかがえる。ところが2018年卒から金融がトップ10から外れ、航空業界も2021年卒からランク外となった。(文:長田コウ)
直近では講談社、集英社、任天堂が上位に
2020年卒から2025年卒までの6年間で一貫して1位だったのが伊藤忠商事だ。味の素やアサヒ飲料も毎年ランクインするなど食品業界も人気が高い。ゲームや電子コミック、動画など、デジタルコンテンツを提供する企業も、デジタルネイティブである学生から支持を集めた。
任天堂は2021年卒で9位に入ってから、2022年卒で6位、2023年卒で5位、2024年卒で2位と順位を上げ、2025年卒では4位だった。また、講談社と集英社は2022年卒からランクインし、以降トップ10に入り続けている。
結局、10年間でトップ10に入り続けた企業は、伊藤忠商事のみだった。トップ10に入る企業は、時代の変動とともに入れ替わることが多いなか、伊藤忠商事は継続的に学生からの人気を集めているようだ。