「エリート外国人学生」の争奪戦が日本でも始まった! グローバル対応待ったなし
日本企業にとって、海外進出・グローバル化は欠かせない。そのために、語学や専門知識に秀でた優秀なアジアの若者を採用したいと考えている。日本語を学び、日本で働きたいと考える海外アジアの学生も、この30年で急激に増加しているという。
しかし現実には、企業と学生の双方を結ぶルートが確立されておらず、思うように採用は進んでいなかった。2014年9月16日の「ガイアの夜明け」(テレビ東京)は、名だたる大企業が優秀なアジア学生を効率的に獲得しようとする姿を紹介した。
「日本の大企業の本社」で働ける外国人をスカウト
東京・神田にある人材紹介会社の日経HRは、昨年から日本に就職したい東南アジア8カ国の学生を日本に招き、日本企業への就職をバックアップしている。インドネシアの国立大学を訪れた石渡順也氏は、探しているのは「世界が欲しがる優秀な人材」だと明かす。
「欧米の会社、韓国・中国の企業も、必ずここに人を獲得しに来る。日本の本社で働いてもらう優秀なアジアの学生を、とにかく一人でも多く見つけたい」
国立大学や工科大学など各国の名門大学の学生2000人以上の応募者から、日経HRが選抜。渡航費と1週間の滞在費は企業が負担し、今年は103人が選ばれて合同面接に挑んだ。
今年参加した企業は、日立製作所や第一生命、丸紅など一流企業ばかり22社だ。面接は企業側からの指名制で、1人4~5社の予定だが、3カ国語が完璧に話せるという中国人の女子学生は10社に指名されていた。
インドネシアのハンドン工科大学で学ぶトーマス・ディカスさん(23)は、「エンジニアとして環境問題を解決する乗り物を作りたい」と志を語り、面接では日本語で専門知識を披露。ヤマハ発動機の内定を獲得していた。
博多ラーメン「一風堂」は留学生に注目
佐川急便の中核会社、SGホールディングスの漆崎博之取締役は、この企画に参加した理由をこう明かす。
「会社が一国ずつ出向いて採用面接会をするのがベストだが、期間と人員(の余裕)が必ずしも企業内にあるわけではない。この方法なら費用が少なく、採用活動を効率的にできる」
昨年は80人が来日して、24人が合格。今年の合格者は、103人中45人と狭き門だ。選ばれて来日しても、1社も合格できない学生が半数以上いたということになる。かなり厳しい選別を勝ち抜いたトップクラスの人材ということだろう。
世界各国に40店舗を展開し、今後も海外店舗を増やしたい博多ラーメン「一風堂」も、人材確保に頭を悩ませている。目をつけたのが、日本で勉強する外国人留学生だ。
一風堂グローバルオフィスで採用を担当する原智彦さんは、日本語学校やアジア大学と提携して、優秀な留学生を紹介してもらう戦略に出た。
今年8月、福岡の日本語学校から紹介され、初めて店にやってきたのがネパールから来た留学生。まずはアルバイトから入ったが、店長は「彼らは自信満々に仕事をやってくれている。次に何をしたらいいですか、と自分から聞いてくる」と意欲を高く評価していた。
優秀な人材を欲しがる「ライバル」はたくさんいる
今後は幹部候補生として、留学生にも店舗経営のノウハウを教育する。原さんは、
「受け身で待っていても、向こうからは来てくれない。ライバルもたくさんいる。自分たちから歩み寄って、切り開いていく」
と意欲を語り、外国人留学生を今後も採用し続ける方針だ。
少子化で若者が少なくなる中、政府の外国人受け入れ政策があろうとなかろうと、民間企業の人材確保は海外にも向いている。その障壁はどんどん少なくなっていくのだろう。
日本で就職活動する若者にとっては、ライバルが海外からやってくると思うと頭が痛くなるが、このような動きから企業がどんな人材を求めているかも窺い知れる。同じ土俵に立つことを諦めず、自分を磨いていって欲しい。(ライター:okei)
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