タイムチケット村田裕一「才能はこちらから迎えに行く!」ライブ配信業界先駆者が地方拠点スタートアップに挑む理由
今回は17LIVEの日本進出期からTikTok LIVEの立ち上げまで、日本のライブ配信業界の成長とともに歩んできたタイムチケットの村田裕一氏。現在タイムチケットで執行役員兼クリエイターエンターテインメント事業部長として、地方から才能を発掘する新たな挑戦を続けている。そんな彼のこれまでの歩みと今後のビジョンについて聞いた。

【プロフィール】村田裕一(むらた・ゆういち)――1989年3月東京生まれ。 通信系企業の営業職などを経てライブ配信業界へ。2017年9月株式会社17Media Japan(現:17LIVE)入社。半年で事業部長に。2018年独立、ライブエージェンシー運営のかたわら、TikTokをはじめとする数々のアプリの運営に携わり、2022年にはByteDance株式会社 LIVE ops 中国直下のボードメンバーとして参画。2023年からタイムチケットライバー事業部に参画。現在、タイムチケットでは執行役員兼クリエイターエンターテインメント事業部長。
生活を変えたくてライブ配信業界へ

かつてはブラック企業で働いた経験も
――ライブ配信業界に入られたきっかけを教えてください。
実は私は最初からライブ配信業界をめざしていたわけではありません。まず最初は光通信系企業で営業職をやっていました。その後、元芸能人がプロデュースする事業をやっている会社に転職したのですが、そこがひどいブラック企業で、半年間無給で働くような状況に陥ってしまったんです。明日のこともわからないような状況が続いてしまい、とにかくどこか新しい職場へ移らなければと考えていた時に偶然17Media Japan (現17LIVE)と出会いこの世界に入りました。
――17LIVEではどのような仕事を手がけられましたか?
ライバーのスカウトやパートナー企業の開拓など、事業のスタートアップにかかわる業務全般をやっていました。今でこそライブ配信は誰でも知っていますが、当時はまだ知られてなくて、いかがわしい職業のスカウトと勘違いされたこともありました。そんな中、ライブ配信とはこんなサービスだよと理解を得ることから地道に取り組んでいきました。
創成期で培ったマネジメント経験

ゼロからイチを生むために走り続ける
――日本のライブ配信業界の創成期の思い出は?
17LIVEは、台湾から日本へ上陸をしたライブ配信サービスでしたが、初期は日本人になじめない部分もあったと思います。そんな中、私達は運営として、台湾での良いところを日本人向けにアレンジし、基盤を固めていきました。当時の日本ではライブ配信に関して、組織も制度も何もなかったので、一から作るしかなかったのです。そんなこともあり、入社後すぐにチームを任され、その後も入社半年で事業部長になりマネジメントの範囲を大きく広げることができました。絶えず結果をもとめられるような環境でしたが、創業フェーズだったので、勤続年数や年齢などに縛られることもなく自由に動くことができ、年商15億を達成しました。
――ライブ配信業界に入って大変だった思い出は?
業界自体が存在していないような状態だったので、人事制度も評価制度も今のようには整備されていませんでした。だから、実績に見合った評価がされていたかというと、そうではありませんでした。しかしながら、ライブ配信業界そのものには可能性を感じていたのでもっと幅広く事業にかかわりたいと考え、私はすぐに独立しライブエージェンシーを立ち上げることにし、17LIVEだけではなく、SHOWROOMやミクチャなどの複数のプラットフォームを横断し、ライバーたちの支援事業を始めました。Mildomの日本事業立ち上げにも参加しましたし、2022年にはTikTok LIVE JAPANの立ち上げにも携わりました。その後は、2023年からタイムチケットに参画し今にいたります。気が付いたら、国内のライブ配信業界の成長過程にほぼ全部とお付き合いしていたということになりますね。
――ライブ配信業界の魅力はどこにあると感じますか。
とにかくいろいろな人に出会えることです。一般的なサラリーマンですと、どうしても同じような人ばかりと接することが多くなってしまいますが、ライブ配信の世界はまったく異なります。ホームレスから富豪まで、さまざまな人たちが集っています。そして、どんな人にも可能性があってチャンスがあるという点も魅力的で面白いところだと感じています。
地方発ライバー発掘育成のモデル拠点を整備

新しい才能を発掘するため福岡へ
――現在はどのような取り組みをしていますか?
タイムチケットでは、以前から地方にスポットを当てた事業展開を考えていたのですが、2025年9月より福岡に拠点を立ち上げました。昔から夢のある若者は東京へ集まります。しかし、実際は東京へ行くことに不安を感じる人も多く、挑戦しても途中で挫折してしまうケースも多々あります。そんな中、こちらから地方へ出向き新しい才能を発掘しようという発想を持って、福岡にやってきました。私は東京出身ですし、地縁は特になかったのですが、福岡はイベントを通じて関わりができた地域だったので、ここをスタート地点にしようと決めました。
――福岡のオフィスについて教えてください。
事務所としての機能のほかに配信スタジオがあり、現在は「LuVinous」(ルヴィナス)という福岡在住ダンサーやアイドルで結成したダンスユニットが、ダンスバトルを毎日配信しています。その他にも住居機能を備えており、現在は3名のライバーが下宿のような感じで事務所に住み込みをしながら、ライブ配信に集中して活動をしています。とにかく、地方にいながらも本格的に活動ができる環境を整えています。
――タイムチケットでは全国展開も進んでいるそうですね。
そうなんです。タイムチケットプロダクションの拠点は福岡だけでなく、東京、名古屋、香川、熊本にもあります。どこもライバーたちが地方にいながら東京で活動するのと変わらないバックアップをライバー事務所から受けることができる環境を整えています。つまり「東京に来なくてもいい。才能はこちらから迎えに行く」という考えがその根底にはあります。ですので、将来的には47都道府県全部への展開も視野に入れ拠点を増やしています。
――村田さんは、どのようなライバーを求めていますか?
極端な言い方をすると、日本語が話せれば誰でもライバーとして成功できる可能性を持っています。もちろん全員がトップライバーになるわけではありませんが、どこをめざすかは人それぞれだと思っており、1人ひとりの目標に合わせたサポートさせてもらいたいと考えています。
――今後の目標を教えてください。
TikTokだけでなくさまざまなアプリ、プラットフォームを横断したクリエイターたちが集う大規模フェスを開催するのが夢ですね。ライバーの中には歌える人、踊れる人、モデル、アーチストなど本当に多様な才能がありますので、そういった才能を集めたイベントをやってみたいです。また、今よりももっとライバーという職業の価値を社会に認めてもらえるようにしていきたいと思います。
――本日は、お話いただきありがとうございました。
