イスラエルと技術提携したい日本企業はいませんか? 留学経験者が「文化の違い」を橋渡しします――ネタ・カルマンソンさん | キャリコネニュース
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イスラエルと技術提携したい日本企業はいませんか? 留学経験者が「文化の違い」を橋渡しします――ネタ・カルマンソンさん

日本とイスラエルとの間でビジネスをつなぐ

日本とイスラエルとの間でビジネスをつなぐ

日本とイスラエル間のビジネスコンサルタントとして、両国のビジネス開発に携わっている、イスラエル人のネタ・カルマンソンさん。この20年間、人々の言葉も考え方もかけ離れた両国の企業間を流暢な日本語で取り持ってきました。

このインタビューも、すべて日本語で行われました。技術提携したいと望む日本企業と、イスラエルの企業を結び付ける仕事に就くカルマンソンさんから見た、両国のビジネス文化の違いには興味を引かれます。(文:夢野響子)

注目されるイスラエルの「サイバーセキュリティ技術」

――ビジネスコンサルタントとして、どんなお仕事をしているのですか。
カルマンソン 日本企業から「ある種の技術を探しているけれども、どこかにいい会社はないか?」と依頼された時に、調査をして適切な会社を見つけて、両者が取引できるようにサポートします。また逆に、日本市場に進出したがっているイスラエル企業のために、日本のパートナーを探したりもします。

――これまでに日本企業から、具体的にどのような依頼がありましたか。
カルマンソン 例えば、サイバーセキュリティです。(イスラエルには)「どのようなスタートアップがあるのか」「サイバーのベテラン企業(歴史のある大企業)にはどんな会社があって、どんな製品を提供しているか」「サイバーセキュリティの特定分野の需要を満たしてくれる会社はないか」といったようなことです。

――そういう依頼を、すべて御社で調査するわけですか。
カルマンソン 依頼は多種の分野にわたって来ます。中には非常に専門分野に入り込んだものもあります。そういうときには、その分野のイスラエル企業の手を借りて調査します。スタートアップだったらエンジェル企業家グループとか、弊社の持っている様々なコネクションを駆使して調査するんです。

――日本企業とイスラエル企業では、仕事の仕方がかなり違うと思うんですが。
カルマンソン それはもう、ほとんど正反対です。まずリズムが違います。イスラエルはとても流動的で、リズムが速いんです。何にでもすぐに飛びつきますし、変更も平気でします。日本は下調べを確実にしてから進行させます。

「相手を尊重する日本文化」をイスラエル人に伝授

――リズムが違うと、問題が起きませんか。
カルマンソン はい、しょっちゅうです。ですから、私のような職業が必要になるのですが。そのために私はイスラエル企業に赴いて、日本と取引する前に日本文化についてのセミナーを開きます。日本の組織にある階級制度や相手を尊重する文化、予定を厳守することなどを説明します。実際に仕事が始まってからも、メールのやり取りや納品時のチェックなど、滞りなく行われるようにフォローします。

――日本企業にもイスラエルのやり方を説明するのですか。
カルマンソン はい。日本人の方には、イスラエル人は職場でもカジュアルな服装でいることや、質問をたくさんすることなど、前もってお話ししています。

――実際に起こったトラブルの例はありますか。
カルマンソン 日本企業は十分検討した後の結論を言ってくるので、その言葉を飲み込んでよく、変更もないのですが、イスラエル企業はまだ最終決定に至っていない進行中に発言しますから、値段が突然変わったり、日本への出張がぎりぎりでキャンセルになったりして日本人を驚かせることがあります。

この辺は、相手がどのレベルで物を言っているのかを説明しないとトラブルの原因になると、いつも考えさせられます。

一度、あるイスラエル企業が日本との契約には時間がかかるものだから、とのんびりしていたら、たまたま相手の日本企業が普通よりも早く契約に合意してしまい、肝心の製品が半分しかできていなかったことがありました。そのイスラエル企業は「こんなに早く進むと思わなかった」と驚いていました。

そのときは私が強く言ってフル回転で生産させ、2週間ぐらいの遅れで納品させたんですが。納品する製品にトラブルがないように、私が事前にQA(品質保証体制)を視察することもあります。

兵役を終えて日本の大学に留学

在日イスラエル大使館で、力士との通訳を頼まれることも

在日イスラエル大使館で、力士との通訳を頼まれることも

――ところで、日本との出会いは何だったのでしょうか。
カルマンソン 私はイスラエルの高校を出て、義務兵役に就きました。兵役後の若者は、大学へ進学したり就職したりする前に、しばらく海外を旅行します。行き先として人気だったのは、エキゾチックな東南アジアでした。私も東南アジアへ向かいました。訪ねたのはタイ、ビルマ、ネパール、香港、そして日本です。日本では、何もかもが他のアジアの国とは違っていました。

――どういうところが、ですか。
カルマンソン 何から何までです。どこにも規律がありましたし、清潔で、出されたお料理にも細部まで気が配られていました。それで日本に興味を持ったんです。帰国してエルサレムのヘブライ大学で、東アジア学と経済学を学びました。修士課程の途中で日本の文部科学省の奨学金を得て、大阪大学に留学しました。そこで2年勉強して、経済学の修士論文を書きました。

――今はどのくらい日本へ足を運んでいますか。
カルマンソン 年に3回ぐらいでしょうか。もうずっと、日本とイスラエルを行ったり来たりの生活を続けています。子どもたちが小さかった頃は、本当にたいへんでした。主人は私にキャリアを積んでほしいと思っているので、応援してくれています。

昨年の秋、初めて家族を日本へ2週間連れて行ったんです。これは私たちにとっては、ほんとにハイライトでした。家族は何年も私から聞かされてきた日本を、やっと見ることができたのですから。今でも日本への出張から戻る時には、スーツケース半分くらい日本食を詰めて帰ってきます。「柿の種」とか(笑)。それで許してもらっています。

日本はもっとイスラエルに進出して欲しい

――これから日本とイスラエルのビジネスはどう発展していくと思われますか。
カルマンソン イスラエルは革新的な新技術にあふれた国です。日本に役立つ技術がたくさんあります。日本はもっとイスラエル市場に進出して、サイバーセキュリティ、バイオテクノロジー、人工知能技術などの分野でR&D(研究開発)センターを作ってほしいと思います。

日本企業はじっくり調べてから提携しますから、日本とイスラエル間のビジネス開発は今のところゆっくり進んでいます(笑)。その中で私は、両国の信頼関係を強めるために、日本人の目でイスラエルを見るようにしています。そのために家庭では、味噌汁や寿司も手作りしているんですよ!

あわせて読みたい:イスラエルで働く人々

 

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