マザーズ上場のバリューデザインが「プラスチック製の自社型プリペイドカード」にこだわる理由 そこには日本人ならではの消費性向があった

2016年9月26日に東証マザーズに上場したばかりの株式会社バリューデザインが、業務拡大に伴い人材採用を積極化している。主力事業は「バリューカード」ASPサービスで、いま注目のフィンテック(FinTech)業界の一角だという。

全国でチェーン展開する飲食店やドラッグストアなどが発行するプラスチック製の「プリペイドカード」を手がけているというが、その事業にどんな将来性があるのか。同社の尾上徹・代表取締役社長に編集部が聞いた。

500社・約5万店舗の 導入実績は国内最多

バリューデザインが手がけるプリペイドカードの例

バリューデザインが手がけるプリペイドカードの例

尾上社長によると、バリューデザインの事業は2本柱で構成されている。ひとつは「ハウスプリペイドカード」。特定のチェーン店でのみ使えるクローズ型のプリペイドカードで、500社・48,741店舗(10月末)の導入実績は国内最多だ。

新規顧客や来店促進につながるというが、どういう形で使われるのか。同社はこのプリペイドカードを単なる決済手段ではなく、売上をあげられる「商品」であり「マーケティングツール」としてクライアントに提案している。

「クライアントに『カード』という新しい商品のカテゴリーを作っていただくことで、1回の接点で複数購入の囲い込みができます。たとえばお客様に1000円のカードを1度購入していただくと、300円のハンバーガーを3回食べていただける。4回目に再び現金をチャージしてもらえれば、さらに取引が続くわけです」

紙のスタンプカードを利用していた飲食店が、このカードへの切り替えで購入単価が約10%、来店周期が約30%アップしたケースもあるという。マーケティングデータの蓄積やレジ精算時間の短縮、商品券管理の省力化などの効果もある。

創業以来、一貫して右肩上がりの業績

創業以来、一貫して右肩上がりの業績

同社のASPサービスは、モスバーガーやゼンショーのほか、コメダ珈琲店、すかいらーくなどが導入。店舗に設置した専用端末や店舗POSを通じて、 カードへの入金や利用状況をクラウドで管理。プロモーションキャンペーン用のクーポンを発行し、残高・利用履歴照会を可能にするシステムの利用料を、クライアントから得るビジネス。創業以来、一貫して業績は10年間右肩上がりだ。

汎用カードは「ポイントを使いに行く店が分散しがち」

現在、店舗で使うカードといえば、コンビニで使える「Tカード」や「Pontaカード」などの汎用性ポイントカードを思い浮かべる人が多いはずだ。そんな中、なぜクローズドの自社型サービスなのか。尾上氏は汎用型のリスクをこう説明する。

「汎用ポイントを導入したからといって、そのカードが多くのお客様を連れて来てくれるでしょうか。実は必ずしもそうではないのです。利用できる店が多ければ、確かにポイントは貯まりやすいけれど、行く店は分散しがち。加盟店の中で勝ち負けが決まると、自分の店で貯めたポイントを別の店で使われるなどの逆効果にもなります」

ハウスプリペイドカードであれば、貯まったポイントは自分の店やチェーンの中でしか使われないので、ロイヤリティの向上につながる。しかし、いまどきのスマホ時代にプラスチックカードは残るのだろうか。これにも尾上氏は、興味深い事例を話してくれた。

「カードを発行せずに、最初からスマートフォンだけで展開しようとした会社があるのですが、説明を書いたチラシを配り『アプリをダウンロードしてください!』と呼びかけても利用者が伸びなかった。そこで方針を転換し『今日から使えるお得なカードです!』と呼びかけたところ、利用者が伸びたというケースがありました」

まずはカードを発行し、「スマホに移行したい」という利用者だけアプリに移行させる――。一見すると遠回りだが、日本ではこういうプロセスが効果的に会員を増やしやすいらしい。ちなみに中国など、最初からアプリでも問題ない国もあるという。

「米国では12~3兆円」の新市場にチャレンジ中

代表取締役社長の尾上徹氏

代表取締役社長の尾上徹氏

もうひとつの事業は「ブランドプリペイドカード」だ。現在の売上規模は前述のハウスプリペイドカードの8分の1と小さいが、「米国では12~3兆円の市場がある」(尾上社長)ことから、将来性を見込んで同社が力を入れている事業である。

クライアントから請け負って、「VISA」「MasterCard」「JCB」の国際ブランドネットワークのマークと16桁 の番号がついたカードを管理する 。しかしこれはクレジットカードではなく、事前に入金を必要とするプリペイドカードだという。どういうことなのか。

「クレジットカードの世界では、国内外の店舗やインターネットショップ、銀行ATMでカードを利用した際、16桁の番号の情報がカード発行会社に飛ぶグローバルなネットワークが構築されています。これを当社はプリペイドカードの決済に使っているのです」

利用者が店舗でこのカードを使うと、通常のクレジットカードの場合は与信枠を照会する。しかし、ブランドプリペイドカードの場合は「事前に入金された残高」をバリューシステムのシステムに照会し、残高が十分であればOKと返す。カード会社は、店舗から得た利用料の一部を同社に支払うビジネスである。

国際ブランドネットワークを使った「お金を移動させるサービス」だが、未消化の福利厚生ポイントをプリペイドカードに移して買い物に使えるサービスなどへの発展性の余地も大きい。事前に支払った金額しか使えないため、米国ではギフトカードのほか、銀行口座を持たない人の給与や税金還付の支払先、若年者など低所得者向けのカードとしても普及している。

ブランドプリペイドカードも、ハウスプリペイドカードと同様にチェーン展開をする企業が導入するメリットがある。入金された金額は自社の買い物に使われる割合が高いし、他の店舗で使ったデータを分析して自社の品揃えを変えるなどの利用もできる。

月間100億円の入金をシステム面で支えるエンジニア大募集

今後、同社が力を入れる分野は「アジアを中心とする海外のプリペイドサービス展開」だ。すでに中国の重慶ローソンや韓国のエチュードハウス(コスメ)、タイやシンガポール、フィリピンのエステや飲食店などでプリペイドカードを展開している。

「スターバックスが世界中で『スターバックスカード』を展開すると、現地の競合店もプリペイドサービスを展開しようとします。しかしその国内にはプリペイドサービスの展開を支援する会社がない。このため当社のサービスを使うようになります。いまはスターバックスの後を追いかけていっている状態ですね(笑)」

スタッフは全員キャリア採用

スタッフは全員キャリア採用

いま欲しい人材は、同社の海外展開を支えてくれるエネルギッシュな社員。他の文化に積極的に飛び込み、現地採用を含めた外国人を上手に使ってビジネスができる人が望ましい。日本への留学経験のある人も歓迎ということだ。

国内でも、地方のスーパーやチェーン店での需要が高まっている。イオンの「WAONカード」などに対抗したいという要望があり、小売店プロモーションの成功体験があるマーケティングのコンサルティングができる人を求めている。

同社が管理するクライアントの残高は月間で100億円を超えており、システムの安定的な運用を支えるエンジニア人材の確保も急務になっている。テクノロジーを生活に密着した場面で活かしたい人には、魅力的な仕事ではないだろうか。

株式会社バリューデザイン(東証マザーズ上場)では「プロジェクトリーダー」「サービス運用エンジニア」「コンサルティング営業職(アソシエイト)」の人材を募集中。キャリコネの求人から応募して採用が決まると、いまなら転職祝い金「100,000円」を進呈!

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