「俺は誇りが欲しいんだ」正社員になれない就職氷河期世代の投稿が話題に 「甘え」や「自己責任」で片づけられるか
はてな匿名ダイアリーに4月22日、「俺ら就職氷河期世代ってもう忘れ去られたのかな」という投稿があった。介護問題や保育所問題が取り上げられる中、自分たち就職氷河期世代への関心が薄れていることに危機感を持ったそうだ。
「努力が必要なのはわかってる。でも何をどう努力したらいいのかわからない」
就職氷河期とは一般に、90年代のバブル崩壊後から2005年頃までの期間を言う。不況に伴い企業の採用数が減ったことで有効求人倍率は軒並み1を割っていた。リーマンショックを知っている世代は、あのような不況が10年程度続いた時代とイメージすると理解しやすいだろう。
投稿者は
「努力が必要なのはわかってる。でも何をどう努力したらいいのかわからない」
「正社員の仕事の条件が『関連業界の正社員勤務経験3年』とかが必須になっている。正社員経験のない奴はどうやってこれパスすんだよ?」
と、八方塞がりな現状を嘆きつつ、なんとか脱出したいと考えている。しかし、自身でも「どうせ『甘え』だの『自己責任』だと叩かれるだろうと思ってた」と言うように、寄せられたコメントには辛辣なものもある。
「道筋を欲しがるんじゃなくてがむしゃらに自分で探す事をしないから現状なんじゃない?」
「需要満たすような人材じゃないんでしょ」
新卒一括採用が未だに慣行となっている日本では、就職活動時の経済状況が就職率を大きく左右する。人並みに努力を積み重ね、企業側にとって望ましい経験や能力、伸びしろを持っていたとしても、仕事に就けるか否かは時の運次第、という面は否定できない。
努力をしたところで、年齢制限の壁に阻まれる
働きたい人が働けないのは、年齢を理由に人を採らない企業が多いことも一因だと考えらえる。年齢を理由にした採用の拒否は禁じられているが、ハローワークの求人票では「35歳以下:年齢制限例外事由:長期勤続によるキャリア形成を図る観点から」などの表記で、合法的に年齢制限がかかっているケースも多い。
氷河期世代はこの制限が足かせになり、就職活動をしても応募できる求人が限られてくるようだ。前出の記事へのトラックバックとして翌23日に投稿されたエントリー「年齢差別で滅ぶ日本」でも、同様の指摘がされている。
「人口減少でいくら人手不足になっても、努力していくらスキルを身につけても、就職氷河期世代は永遠に正社員になれない」
「30代半ばを過ぎた人がたとえ専門学校やビジネススクールへ行って実践的な技術や知識を身につけても、それを活かす機会は与えられない」
同じ努力をしても、チャンスをつかめるかどうかは年齢次第。克服不可能な理由で門前払いされ、努力による向上が見込める部分で行動したところで見向きもされない。そんな現状を憂える声は、決して少数ではない。
最初に紹介したエントリーの投稿者は
「俺は『誇り』が欲しいんだよ(中略)ちゃんと周りから頼られてこれからも頑張れば次があるんだって思える仕事がしたい。まっとうな自己肯定感がほしい」
と主張していた。氷河期世代が持っている思いはここに集約されるのだろう。仕事を通じて将来への希望を見つけ、自分の役割を実感して生きていきたいという欲求は、誰しも持って良いものだ。コメントには
「毎日のように人が足りない工数が足りないって言って残業に苦しんでるというのに、この状況で氷河期世代に需要なかったら世の中本気で間違っている」
と、憤る声もある。不況の煽りを受け、もがいても現状を変えられないことで無力感に蝕まれた氷河期世代を、「甘え」や「自己責任」と一蹴するのは妥当なのだろうか。