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部屋を借りる際に何度も不動産屋に行かなくていい! 10月めどにネットでの重説がスタート

部屋を借りる際、契約前に宅地建物取引士から「重要事項説明」(以下、重説)を受ける。重説は対面で行うことが宅地建物取引業法で決まっていたが、借りる側としては店舗へ何度も足を運ぶ煩わしさがあるほか、遠方に転居する際は移動の手間がかかるなど、時間的・金銭的制約が問題だった。

そこで国土交通省では2015年8月から今年1月末まで、「ITを活用した重要事項説明」(以下、IT重説)の社会実験を実施。インターネットを利用し、スカイプなどでの重説試験をした結果、賃貸においては大きなトラブルがなかったことから、今年10月をめどに「IT重説」が本格運用される。

IT重説でも「書類内容の齟齬はなし」の回答が100%

部屋を借りる時の負担が軽減されそう!

部屋を借りる時の負担が軽減されそう!

賃貸契約では、部屋を借りる人は、「不動産業者の店に行き物件の紹介を受ける」「物件を見に行く」「重説を受ける」「契約を結ぶ」「物件の鍵の受け取りに行く」など時間を多く割かねばならないデメリットがあった。IT重説の運用がスタートすれば、借りる側としては移動の手間が省けることはメリットだ。

IT重説を利用した動機については、実験直後のアンケートでは、利用者の約8割が「直接店舗に行く手間が省ける」ことを理由に挙げており、重説のために店に行く時間や交通費を節約したい、という思いがうかがえる。IT重説時に使用した機器はスマートフォン(61.8%)がトップ。「パソコン」(27.7%)、「タブレット端末」(12.0%)が続いた。

社会実験前には、通信状態の悪さなどにより、利用者に事前に送付した書類などが鮮明に映らないのではないかという懸念があった。しかしアンケートでは約9割が「取引士証の写真も文字も十分確認できた」と回答したほか、説明内容の理解度についても、ほぼ全ての人が「理解できた」と答えている。IT重説利用後6か月後のアンケートでも、「入居後、重説と齟齬があると感じた点の有無」は「ない」の回答率は100%だった。

不動産業界関係者「利便性が格段に上がる」

本格運用をするのであれば、どのようなルールで実施されるのかが気になる。国交省は「IT重説マニュアル(仮称)」を作るとしており、キャリコネニュースが国土交通省不動産業課に取材すると担当者は「今年8月下旬をめどに完成させたい」と話していた。

マニュアルには、IT重説を行う際の手順や個人情報の取り扱いなど、社会実験のガイドラインを踏まえた内容が盛り込まれる見込みだ。同実験では、IT重説を行う事業者は、個人情報漏洩などのトラブル防止を目的とした同意書を利用者と作成することが条件付けられていた。同意書作成について前出の国交省の担当者は、「本格運用においても、同意書作成は有効だと考えている」とし、マニュアルに記載される可能性を示唆した。

賃貸でのIT重説について不動産関係者はどう見るか。不動産業者で働く安孫子友紀さんは、「本格稼働を待っていました」と歓迎する。

「借りる方としては、店舗まで何度も足を運ばずにすむので、利便性が格段に上がると思います」

法人印の持ち出しが難しくてもスムーズに契約可能

IT化することで、災害などで交通麻痺した際でも説明が受けられようになると指摘。昨年発生した熊本地震では、現地の人が転居の際にIT重説を利用し、混乱した状態の中を何度も移動することなく賃貸契約ができた、といったケースもあったという。

また、部屋を借りるのが個人ではなく法人の場合には、また別のメリットもある。

「特に大手企業の場合、会社印を社外に持ち出せないことがあります。しかしIT重説を行うことで、その場で捺印ができ、その後の契約がスムーズでした」

重説を受けると「説明を受けました」の証として書類に署名・捺印する。個人であれば捺印は容易だが、企業となると会社規定で法人印の社外持ち出しが難しいケースもあり、契約までに無駄な時間を要す原因となる。IT化によって契約までのスピードが上がるというのだ。

賃貸取引には重説だけでなく、物件の内覧など利用者が時間を使う面倒な動きが多い。IT重説は、そうした手間をなくす突破口となり、効率化が進むのではないか、と安孫子さんは期待する。

現在では、ネットを通じてありとあらゆることができる。賃貸取引においても、IT化が進めば、利用者の利便性は格段に上がるだろう。

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