部下の相談を真面目に聞いて、すぐ行動を起こす上司は「よい上司」といえるのか?

上司たるもの部下には好かれたい、頼られたいと思うのは自然なことです。部下から「ちょっと話があるのですが」と声をかけられれば、真剣に耳を傾けて共感的理解を示し、すぐに対処に動いてあげたくなるものです。

しかし、その「部下のためにひと肌脱いでやろう」と張り切りすぎる気持ちが、現実には仇となることも少なくありません。特に組織や職場の人間関係に関わる悩みであった場合には、上司が拙速に動くことがかえって事態を悪化させることもあるからです。(文:人材研究所代表・曽和利光)

本当は「困っていること」を伝えたいだけだったりする

例えば、部下のA君から「B先輩は、いつも自分に対して辛く当たる」という悩みを上司が相談されたとしましょう。これに対して上司が、

「そうだよなあ。Bもそういうダメなところがあるからなあ」

と反応し、解決に向けたアクションを即座に取ろうとすることは、部下の信頼獲得にとってよい行動だと思われています。しかし実際には、A君が「いや、Bさんが悪いと言っているわけではないのですが……」と困ってしまう事態が往々にして生じます。

上司からすれば割り切れない態度に見えますが、その理由はA君が完全に先輩が悪いと思っているわけではないからです。