クレディセゾンが非正規2200人を正社員化、「名ばかり正社員?」「メリットは?」 広報に聞いてみた
クレジットカード事業を運営するクレディセゾンは8月14日、アルバイトを除く全ての非正規従業員を9月16日から正社員化すると発表した。
AIやIoT技術の進化、FinTechなどが引き起こす変化にいち早く対応し、持続的成長を実現することが目的だという。転換対象の約2200人と合わせ、約3900人が同じ待遇になる見込みだ。
「いわゆる『ただ無期』とは異なります」と強調
同社の正社員はゼネラリスト育成のために、ジョブローテーションによってさまざまな部署を経験する。一方で非正規社員は3種類に分かれている。主に営業を担当する専門職社員、高度な専門知識を有していたり、定年退職後の再雇用として働いていたりする人が該当する嘱託社員、一般事務や電話対応などを担うメイト社員の3種で、どれも業務幅の自由度は正社員ほど高くない。
また同社広報担当者によると、これ以外にも賃金、賃金を決める評価テーブルや昇格ルート、教育機会、福利厚生面で正社員と非正規社員との間に差があったという。今回の人事改革ではこれらの格差を無くす。
その代わり、期待される役割に応じて処遇が決定する「役割等級制度」や、経営理念の実現に向けた行動を高く評価する「行動評価」を導入し、全ての社員が同じ基準で評価される仕組みを作るという。
非正規社員を正社員に転換する際、企業によっては雇用期間の無期化以外のメリットがないケースもある。年間収入総額が非正規社員の時より下回る条件で正社員化を打診する企業もあるため、ネットでは同社の正社員化の処遇を不安視する声もあった。同社広報担当者はこれについて
「懸念されているいわゆる『ただ無期』とは異なります」
と念を押し、雇用期間が無期になるだけの「見せかけ」の正社員化ではないことを強調した。
時間単位の有給取得、自己啓発のための短時間勤務も導入予定
待遇が大きく変わるメイト社員や専門職社員からは、「キャリアが築きやすくなる」と期待の声が出ているそうだ。一方で正社員の中には「評価制度が変更になったことへの不安を抱く社員もいる」というが、広報担当者は
「登用試験・昇格試験といった試験がなくなったことで現実の役割に沿った形で評価を得られるのでは、という期待も大きいようです」
と話す。今回の発表では、年間5日間分を上限に、有給を1時間から取得できるようにする「1時間単位有給」や、育児・介護や自己啓発にも使える30分単位での「短時間勤務」の導入に踏み切ることも明らかになっている。これまで正社員だった人の働きやすさも上がるようだ。同社はリリースで
「社員区分や年齢による賃金や制度の格差を是正し『同一労働同一処遇』を実現することで、”職務範囲”や”雇用期間”などの枠を越えて、長期的かつ多角的な挑戦を通じた自己のキャリア構築に取り組める環境を整え、『挑戦する企業文化』を創ってまいります」
と述べている。
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