消費者庁が健康食品に注意喚起 「病気を治す効果はありません」「体験談は利用者の感想にすぎません」
サプリメントで食事の偏りを補おうとしたり、ダイエット食品で楽に痩せようとしたりしている人は気を付けた方がいいかもしれない。消費者庁は、健康食品に関するパンフレットとリーフレットを発行し、10月2日にサイトにも掲載した。
「健康食品Q&A」というパンフレットには、消費者からの質問と回答が掲載されている。「痛みの症状を軽くしたり、病気を治したりする」ために健康食品を利用したいという質問に対しては、
「健康食品は、あくまでも食品ですので、(中略)薬のように、痛みの症状を軽くしたり、病気を治したりする効果が期待できるものではありません」
「現時点で、病気の人を対象に治療効果を証明した健康食品はありません」
と回答している。病気の治療のために、健康食品に頼ろうとしても、効果はないということだ。
「天然・自然由来だから安全とは言い切れません」
また健康食品を選ぶ時には、利用者の体験談や専門家の評価などを参考にすることもあるが、
「体験談は個人の感想で、都合の良い部分のみ抜き出して掲載されている場合があります」
「専門家の説は一つではありません」
「動物実験の結果は、人にも同じように効くことの根拠にはなりません」
と注意を喚起している。健康食品には、食品由来、天然・自然由来の製品も多く、安全だと考えている人もいるかもしれない。しかし、
「天然・自然由来だから安全とは言い切れません。食品として食べられているものでも、一般的ではない食べ方をしたり、特定の成分だけをとり過ぎたりすると、これまでの食経験ではわからなかった身体に悪い影響が出る可能性があります」
と指摘している。また友人や知人に効果があったとしても、「全ての人に同じように効くとは限りません」という。
「好転反応」についても説明があった。症状が改善される途中で、一時的に体調が悪化することを「好転反応」と呼ぶことがある。しかしこれは科学的には存在しない。もし健康食品の使用で、体調に異変を感じたら、「好転反応」だと思わずに、使用を中止した方がよいという。
消費者庁の担当者は、「近年、健康食品を利用する人が増加し、健康被害にも注目が集まっている」とパンフレット作成の背景を説明。「健康食品には適切な使い方があるので、上手く使ってほしい」と呼びかけた。
流行の「プエラリア・ミリフィカ」でバストアップ? 健康被害の報告も多数
健康食品による健康被害は後を絶たない。つい最近も、厚生労働省が、マメ科のハーブである「プエラリア・ミリフィカ」を原材料に含む健康食品の危険性を指摘したばかりだ。
主にサプリメントとして販売され、バストアップなどを目的に購入する人が多い。しかし厚生省が9月に発表した文書によると、同食品に含まれる「女性ホルモン(エストロゲン)様物質」が原因と考えられる健康被害が多数報告されているという。
他にも、健康食品による被害は多数報告されている。国立健康・栄養研究所の「『健康食品』の安全性・有効性情報」によると、例えば61歳の女性は、腰痛を軽減するためにグルコサミンなどを含む製剤を服用したところ、薬剤性肺炎に罹患したという。
また32歳の女性は、月経前症候群の改善のため、健康茶を5年間飲み続けたところ、嘔吐や倦怠感、筋力低下で入院することに。健康茶をやめたことで症状はよくなったものの、腎機能障害が残ったという。
※ウェブ媒体やテレビ番組等で記事を引用する際は恐れ入りますが「キャリコネニュース」と出典の明記をお願いします。