「コンプライアンス違反倒産」件数が過去2番目の高水準 「粉飾」や「業法違反」などが多いが飲酒運転など事業外の違反が増加
2016年度にコンプライアンス違反をした企業の倒産件数は250件で、前年度から減少したものの過去2番目の高さであることが10月10日の帝国データバンクの発表でわかった。
違反の類型別では、粉飾や悪質な賃金不払いなどが上位に挙がる。粉飾決算や脱税などのコンプライアンス違反が判明した企業の倒産を「コンプライアンス違反倒産」と定義し、2016年度で法的整理された倒産について分析した。
総額1億円に上る出店料を集め、返金しないまま倒産した事例も
件数の推移を見ると、2012年度以降は200件以上のコンプライアンス違反が続いている。この理由について帝国データバンクは「首都圏を中心に景気回復傾向が続き、ヒト・モノ・カネの流れが活発化するなかで、行き過ぎた企業活動が表面化しやすく、コンプライアンス面での歪みを生じさせている状況が続いている」と分析した。
2016年度のコンプライアンス違反倒産を違反類型別に見ると、「粉飾」が79件で最も多い。元・ジャスダック上場の発電会社、石山ゲートウェイホールディングスは、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)で強制捜査を受け、元代表らが逮捕されている。
虚偽「業法違反」(57件)、「資金使途不正」(41件)が上位にランクインした。脱毛サロンを経営する企業では虚偽誇大広告や中と解約者への返金拒否が発覚。消費者庁から一部業務停止を受けた。また、イベント企画を行う企業がグルメイベント開催のため多くの出展希望者から総額1億円の出店料を集めたが突如日程を延期。返金しないまま破産して話題になった。
一方で、飲酒運転などの事業外での不祥事や悪質な支払い遅延などを含む「その他」は49件で、前年度の10件から大きく増えて過去最高となった。
「サービス業」や「小売業」な一般消費者向け業態の違反件数が増加
業種別では「サービス」が67件で最も多かった。同業種は2015年度から2年連続で60件を超える。「卸売」が49件、「建設」が48件で続いた。また、「小売業」(29件)や「不動産業」(13件)の件数が過去最高となっており、BtoC業態でのコンプライアンス違反倒産が増加している。
帝国データバンクは2016年度の違反の特徴として「粉飾決算などのこれまでの類型とは異なる事業外での役員の不祥事や経営者のモラルにかかわるような事案などが見られ始めた」との見方を示した。
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