医師の9割以上「ネットの医療情報の真偽を判別するのは一般の人には難しい」 「治療の遅れにつながる」「民間療法を信用」といった問題も
Mediplatは、インターネット上の医療・健康情報について、医師530人を対象にアンケート調査を実施。1月23日に結果を発表した。
テレビ・雑誌・新聞・インターネットで発信される医療・健康情報を信頼できるかどうか聞いたところ、ネットの情報を「かなり信頼できる」「少しは信頼できる」と答えた人は合計で66%に上った。この数値は、新聞53%、テレビ32%、雑誌30%を上回っており、ネットが最も信頼できるという結果になった。
テレビに対して「大げさに情報提供しないで欲しい」という医師も
ネットの情報については、
「玉石混交だか、選別能力があれば利用価値はある」(50代、麻酔科)
「真実とウソの情報をきちんと選択すれば、信頼できる情報も多くあると思います」(40代、泌尿器科)
といったコメントが寄せられていた。ネットには専門家が発信する情報もあるが、信憑性の薄い情報も多くある。信頼のおける情報を自ら選別できるかどうかが鍵になるということだろう。
新聞については、「疾患について綿密に取材していると感じられる記事もある」(50代、精神科)と評価する医師がいた一方で、「記者が書いたと思われる物は意味不明のものも多い」(60代、リハビリテーション科)といった手厳しいコメントもあった。
テレビについては「極端な事を言ったりするからそれで患者さんが沢山受診して困ることもある」(30代、呼吸器内科)、「患者さんは影響を受けやすいので、大げさに情報提供しないで欲しい」(40代、産婦人科)といった指摘があった。テレビ番組で”こうした症状は危ない”と言われると不安になって、診察を受けたくなる。しかし医師からすると無用な心配だという場合もあるのかもしれない。
「発達障害で、的外れな方針で育児を歪め、問題行動が激しくなっている例は幾らでもある」
情報の真偽を判別できればよいと答えた人の多かったネットだが、そうした判別は容易なことではない。「一般の人がインターネット検索で自分の症状に合った正しい情報にたどり着けるか?」と聞いたところ、「たどり着くのは難しい」が52%で最も多く、「たどり着けるがコツが必要」が42%で2番目に多かった。「絶対にたどり着けない」の2%を合わせると、合計で96%の医師が”簡単にはたどり着けない”と考えていることがわかった。
医師は、どのような傾向のサイトを疑わしいと思っているのだろうか。どうやら特定の商品を勧めたり、特定の治療法を手放しで肯定したりするようなサイトは疑ってかかった方がよいようだ。
「良い事しか書いていない、あるいは不安をあおるような内容のサイト」(60代、腎臓内科・透析)
「センセーショナルだったり、過度に断定的な言い方をするサイト」(40代、精神科)
「何らかの商品を購買させようと導くもの」(50代、小児科)
こうしたサイトに気を付ければ、信頼できる情報にたどり着ける可能性は高くなる。しかし、「インターネットで検索して自己診断するのではなく、まずは医師など医療従事者に聞いてほしい」と考えている医師が77%にも上っている。
自己診断で済ませてしまうと「治療の遅れにつながることがある」(30代、一般外科)というのが理由のようだ。他にも、ネットの情報を信頼することで、「民間療法を信用してこちらからの治療を拒否」(70代、神経内科)、「発達障害に対して、的外れな方針で育児を歪め、問題行動が激しくなっている例は幾らでもあります」(50代、精神科)といった問題が生じているという。