不妊治療っていくらかかるの?「すべて自己負担」は思い込み 初期治療は保険適用、妻が42歳以下なら使える助成金も
不妊治療には、お金がかかるイメージがあります。身体的にも精神的にも負担が大きい上に、経済的にもとなれば、不安は尽きることがないでしょう。
1月25日のキャリコネニュース「不妊治療にかかった費用、『10万円~50万円』が最多 中には300万円以上かける女性も」という記事を見た女性が、そんな不安をガールズちゃんねるに書き込みました。(文:篠原みつき)
10万円から700万円まで 続ける期間で違いすぎる
記事を引用し、「不妊治療気になっています…。治療された方、費用は大体どれくらいでしたか?」と問いかけると、1000近いコメントが入り関心の高さが伺えました。
スレッドは、10万円から100万円、700万円かけたけれどすべて初期流産だったという人まで様々です。高額な治療費をかけても授からなかったときの精神的ダメージは、相当なものでしょう。
しかし、これはいくら他人の情報を聞いたところで、「人による」としか言えないことです。夫婦の年齢や疾病によって違い、どれだけ子どもが欲しいか、どこまで治療する意志があるかによっても異なります。
筆者も32歳のとき不妊専門外来を受診していましたが、病院に行ってすぐ、不妊かどうか判明するわけではありません。まず子どもができる仕組みの説明から始まり、タイミング指導、卵管造影など各種検査を行います。男性は精子検査もあります。この間2~3カ月。デリケートな人、意志の揺らぐ人はこの辺りでもう辛くなってきて、治療を辞めてしまう人もいます。実際筆者もそうでした。ですから治療費というより初期の検査費だけで、気にするほどのお金はかかっていません。一方、諦めず行う人はどこまでも高額になっていくでしょう。
医療機関にもよるが、タイミング法や排卵誘発法は保険適用
コメントには、「保険適用外だよね。こういうのに(国が)力入れてほしい」などとありましたが、これに対して「出来る人は出来るんだから税金で賄えってのはおかしいでしょ」など、「自己責任だよ」という反発が数多く上がっていました。
実は、国は「不妊に悩む夫婦への支援」として助成金を制度化しています。治療費が高額になる「体外受精及び顕微授精」(特定不妊治療)は、1回につき15万円の助成があります。色々と条件がありますが、自治体に相談すれば教えてもらえます。認められているものは使えばいいのです。
そしてスレッドを見ていて気になったのが、多くの人が「不妊治療のすべてが保険適用外」だと思い込んでいる様子です。厚生労働省のサイトを見ても分かりますが、治療費は保険適用と適用外があります。医療機関によっても違うようですが、タイミング法や排卵誘発法(薬物刺激で排卵を起こす)は保険適用となります。その後の人工授精は適用外で1回1万~3万円、前述の特定不妊治療が1回20万~70万円ほどのようです。それも受診してみなければハッキリとは分かりません。
ちなみに、特定不妊治療の助成は妻の年齢が40歳未満までに1回目の助成を受けた人は通算6回まで、40歳~42歳は3回、43歳以上は対象になりません。筆者は治療を挫折しましたが、「子どもがいなくても夫婦仲良く暮らしていこう」と気持ちを楽にしたところ自然妊娠しました。検査に行きながら自分たちの気持ちを確かめていくのも手です。悩みながら何もしないでいれば、妊娠の確率が落ちるだけ。他人の言葉は気にせず早めに受診してみることをお勧めします。